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トラウマ女神のやり直し〜 隷属の女神の伝説/王国編〜 ♡♡♡TSして最強美少女になったはいいけど、心まで女になるなんて聞いてない!♡♡♡  作者: トンブタ
第4章 ローズ家事件

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063-4-12_エインセルのエイル(挿絵あり)

 女神の祝福のことか? キスをすれば、きっと、この妖精は進化する。そうやって力を得たいのには、何か理由があるんだろうね。この妖精は悪い妖精には見えないし、話を聞いてあげてもいいか。


「どうして妖精さんは、女神の祝福が欲しいの?」


 そう聞くと、エインセルは、一瞬、間を置いて言った。


「……だって、あの子……ずっと女神様にお祈りしてたのよ。それでも、あの子の両親は帰ってこないんでしょ? だったら私、強くなって、あの子の力になりたいのっ!」


 なるほど。エインセルはあの子の事が心配なんだ。それにしても、こんなに小さい妖精が、本当に強くなるのかな? それに……。


「僕とキスをすれば、僕の眷属になっちゃうけど?」


 そう言うと、エインセルは、それがいいのと言う。


「女神様の眷属になるのは妖精の誉なのよ。みんなこの機会をどれだけ待ってるか。それに、眷属になっても私はあの子お友達だわ」


「そりゃそうか」


 それならいいのかな? 


 少し考えていると、後ろに立っていたヴィースが徐に言葉を挟んだ。


「エインセルが眷属になれば、エリア様はいつでもエインセルを呼び出すことができるでしょう……」


 彼が言うには、エインセルという妖精はある程度の範囲なら瞬間的にどこにでも現れることができるらしく、常に転移魔法で移動しているようなものだそうだ。


 エインセルは転移魔法の達人なのね。


 それにしても、さっきは特徴がない妖精だ、みたいな言い方してた割には、ヴィースもいいとこあるよね。きっとエインセルがあの子の力になりたいって聞いて、エインセルの助けになろうとしているのかな? 


「ほら、私、役に立つのよっ!」


 エインセルはそう言って、目の前で宙返りをした。


 ヴィースもああ言ってるし、問題なさそうだな。


「分かった。じゃぁ、いつでもいいよ」


 そう言って、エインセルに唇を突き出した。彼女は、そっと近づいてきて小さな手を僕の唇に添えると、ゆっくりと口づける。


 妖精の手は本当に小さかった。しかし、その手の温もりを唇で感じることが出来た。


 妖精も温かいんだね。


 女神エネルギーが妖精に流れていく……。二、三秒してエインセルが離れると、彼女は目の前でホバリングし、両手を交差させ胸に重ねて目を閉じた。彼女の身体が光り始める。そして、その光は眩しくなって広がり、やがて消えていった。


 進化が起こったんだね。エインセルはどうなるんだろう? 大きくなったりして……なんてね。


 しかし……。


 う、嘘っ!? マジで? ど、どうなってんの?


 いちっ、にいっ、さんっ、しっ、ごー、ろく、した、はち……す、凄い!


 な、なんと、エインセルが二十体にも増えた!


「なになに? これ、何?」


 エインセルが答える。


「増えたのよ」


「見りゃ分かるよっ!」


 いや、そうじゃなくて!


「あの、これみんな別々のエインセルなの?」


 そう聞くと、エインセルは、「全部、私よ」と言って一斉に宙返りをし、次の瞬間、また一体になった。そして、「私、分身できちゃうわっ!」と言って、また二十体になった。


「へぇ~、驚いたね」


 エインセルは進化すると数が増えるんだ。ほぅ~! 


 すると、今度はエインセルが二体になって、一体が僕の肩にとまり、もう一体が目の前でホバリングした。


「私、あの子のところに居てあげてもいい?」


「もちろんいいよ」


 そう言うと、そのエインセルは嬉しそうに家の中へと飛んで行った。


 肩に留まっていた方のエインセルが、説明する。


「女神様、私たちいつでもつながってるから、あの子のこともちゃんと分かるわよ」


 彼女はそう言うと、また残り十八体のエインセルが現れて四方に散らばり、それぞれが小さな光を放つと空中でかき消えた。


「あらら、消えちゃった?」


 でも、妖精の飛ぶ姿って綺麗だね。線香花火の火花みたいに儚い光だ。すると、肩にとまっているエインセルが言った。


「ちょっと待っていてね。今、みんなから通信が入るから」


 そう言って肩からポンと頭の上に飛び移る。


「通信?」


 何が始まるんだ? 


 しばらくすると、エインセルは、「来た来た」と言って、伝わった情報をあれこれと話し始めた。


「え〜と、教会は、真っ暗で誰もいないようね。あっ、向こうの農家の家ではまだ仕事をしているようだわ。働き者ね。うわっ! 男爵の屋敷にいる男、酒臭っ! 酔っぱらってるわ。みっともない。最低っ!」


「何? 何? どういうこと? もしかして、離れた場所の様子が分かるってこと?」 


「ええ、そうよ」


 エインセルは得意げにそう言った。


 マジか! こ、これって、とんでもない事なんじゃないの?


 どうやら、エインセルは離れた場所から双方向での情報をやり取りすることができるらしい。思わず、「凄いっ!」と言うと、エインセルが顔の前に移動し、両腕を腰に当て、「エヘンっ!」とわざとらしく言って自慢する。


「どう? 私だってやるときはやるのよ。エインセルの力、分かったでしょ?」


「うん、びっくりしたよ!」


「それなら、私に名前をちょうだい。女神様」


「名前か、そうだな……」


 え〜と……うん!


「君の名はエイル、エインセルのエイルだ!」


「私はエインセルのエイル。女神様の三の眷属にして、目となり耳となる者よっ!」


 そして、エイルが指をパチンと弾く。すると、十八体のエインセルが現れた。エイル達に、「ヨロシクねっ」と言って肩を差し出すと、また一体に戻って肩にとまった。


 隣にいたヴィースがエイルに挨拶をする。


「よろしく頼む、同胞よ」


「イケメンは大歓迎よ!」


 エイルは上から目線でヴィースに返事をした。彼女は、普段は見えないようにしているけれど、僕が何処にいても呼ぶと直ぐ現れるそうだ。


 妖精って凄いね。


 エイルを肩に乗せ家に入ると、おじさんの顔が、もう、ぐちょぐちょな感じで鼻水まで出して泣いている。


 まだ泣いてたんだね。ハンカチ、ちゃんと洗って返してよね……。


 上がりこまちに座ると、おじさんが話し始めた。


「お、お嬢様のお名前は、ラヒナ・メリアル・ローズ様ですじゃ」


 ラヒナというのか。


 ラヒナは音が聞こえるのが楽しくてたまらないのか、そのあたりのものを小さな棒で叩きまわっている。彼女のエインセルもラヒナの周りを楽しそうに飛んでいた。ヴィースは、相変わらず、無表情で立っている。しかし、ラヒナが直立不動のヴィースの手を取って、また 外に出て行った。ヴィースもラヒナに抵抗もせず、彼女に引っ張られるがまま一緒に外に出て行った。


 ヴィースは、決して冷たいわけじゃないんだよね。


 彼はぶっきらぼうだけど、小さい子どもには、なんだか優しい。それに少女からもモテモテだ。


 イリハにも好かれている様だしね。


 その様子を見ていたおじさんが、ぽつぽつと、これまでの経緯を話し始めてくれた。


「……ワシは、ホルトラスと申しますじゃ。エリア様でしたかのぉ、この領内で起きた事の調査をされておられるとおっしゃっておられましたな。実は、ワシは、お屋敷の庭師でしたんじゃが、旦那様から、村の者に小麦の栽培指導をするように言われましてな……」


 ホルトラスは、このローズ男爵領全体の小麦栽培指導員をしていたようだ。そして彼は、この男爵領が、綺麗な水と日当たりの良さ、風も穏やかで、とても豊かな大地だったと言った。


「ここは、小麦の栽培にはうってつけですじゃ......」

 

 この地域は、農業以外にこれといった産業はないものの、小麦の生産高はクライナ国随一と言われているらしい。夏になればしっかりと実った麦の穂が夕日に照らされ、辺り一面が黄金の海のようになったという。小麦が実る夏、そして秋には収穫祭と、村々は大いに賑わっていたようだ。しかし、明らかな異変が起きたのは三年前の秋、小麦の種まき後、本来なら一週間もあれば殆どの種が発芽するはずが、一粒も発芽しなかったのだそうだ。そして、それは、全ての畑で同じ状況だったという。


 ホルトラスは言った。


「すぐに種を撒き直したんじゃが、それでもだめじゃった。じゃが、よく考えれば、その前に収穫した小麦もいつもの年より量が少なかったですじゃ。そういうことは、天候によってもありますのでな。気にせんようにしようと言っておったが、もしかしたら、それが前触れじゃったのかもしれません……」


 ホルトラスによれば、その時以来、ローズ男爵領は大飢饉に陥って行ったそうだ。ローズ家事件が起こったのは最初の飢饉が起きた年の秋、今からちょうど二年前だ。

 領主を失ったこの地域の農家は、なんとか懸命に踏ん張ったようだけど、飢饉が三年続いて、完全に疲弊してしまい、奴隷に身を落とす者まで出始めたのだった。そうすると、奴隷狩りにも目を付けられることとなり、いくつかの村が襲われてしまったらしい。そして、四年目の今年、もし発芽が悪いようなら、農家を続けていくことは難しいと考える者もいるということだった。


 ホルトラスは話を続けた。


「ここにいる村人は、もともと奴隷だった者も多いですじゃ。旦那様は奴隷を連れてきては解放し、土地を貸し与え、農家に育てられた。よくできたお人じゃ。だから、みな、旦那様に感謝しておりますじゃ……」


 彼はそう言った上で、農家が小麦の栽培を諦めてしまうことも理解できると言った。村人たちも生きていくために、辛い決断をしたようだ。そしてホルトラスは、ローズ家事件について触れた。


「使用人には、何故あのような事故が起きたか、よう分かりませんが、旦那様は決して咎人などではありゃせんです。旦那様は……」


 ホルトラスが言うには、第二王女一行の出立を日延べするよう進言したにもかかわらず、一行は王都への帰途に着いたということだった。


 へぇ〜、これは、何か裏がありそうだね。


ーーーー

挿絵(By みてみん)

エインセルのエイル

AI生成画像

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!


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重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。

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