036-3-1_レピ湖の住人(挿絵あり)
突然、慌ただしいノックの音がした。ドアの向こうに誰かいる……。
ん~っ!? 眠い……。
頭がぼんやりして、身体が重い。しかし、ノックの音は止む気配がない。
誰ぇ〜?
でも、瞼を上げると目が覚めちゃいそうで、上げたくない……。
ノックは鳴り続ける。
あ〜、誰かが起こしに来たよ〜。
「ん~、誰~?」
「エリア様っ、申し訳ございませんっ!」
今度は、はっきりと声がした。
ん? モートン? 今、何時だろう?
時計の針が夜中の二時を示している。
う~、夜中だよ。
「はい~、今開けるよ~」
暗い暗い。ライトライト……。
掌に魔力のライトを小さく灯し、部屋履きを履いて、扉に向かった。
「どうしたの~?」
扉を開けると執事服姿のモートンが、ランプを持って立っている。昼間のモートンと一緒だ。
この人、ちゃんと寝てるのかな?
彼は、姿勢良く会釈をし、少し早い口調で言った。
「このような時間に申し訳ございません。得体のしれないものが屋敷内に侵入し、メイドが一人倒れてしまいまして……」
「得たいが知れないもの?」
こんな時間に何だ? 幽霊かな? なんちゃって。怖~い。
「エリア様、ホールの方へ、起こしいただけませんか?」
モートンは、そう言って扉の外で立っている。
「わかった、ちょっと待ってね」
何があったのか良く分からないけど、僕が行くまでモートンが動きそうにない。椅子に掛けてあるカーディガンを羽織って、サンダルに履き替えた。
「お待たせ」
廊下に出ると、モートンが先導し、彼に遅れないよう足早に玄関ホールへと向かった。ホールに着くと、一人のメイドが別のメイドに支えられ床に座り込んでいた。
大丈夫かな?
「何があったの?」
モートンの説明では、メイドはいつものように、二人ペアで定刻の見回りをしていたらしい。そして、ホールまで来て、玄関の鍵を確認しようと扉に近寄ったところ、扉の隙間から煙のような青白い何かが入り込んできたというのだ。その青白い光は、屋敷の内部へと入ると丸く固まり、驚いて後ずさりするメイド達の内の一人にそのままぶつかった。そして、次の瞬間、ぶつかられたメイドは気を失ってしまったらしい。幸い、彼女は気を失っただけのようで、すぐに意識を取り戻し、被害という被害はなかったようだ。
やっぱり、幽霊だったりして。前世の世界なら大騒ぎになるところだ。
モートンが言った。
「幽霊か、妖精の類かもしれません」
普通に、幽霊もありなんだ。モートンが聞いてきた。
「一体、何をしにこの屋敷に……。エリア様、いかが思われますか?」
「そうだね……」
う~ん、何となく心当たりのようなものはあるんだけど……。
その時、ガウンを羽織った男爵が階段から降りてきた。
「エリア、夜中なのに、すまんな」
どうやら、既にモートンが男爵への報告を済ませていたようだ。僕を呼ぶように言ったのは男爵だったのか。それで、モートンは、僕を呼びに来たんだ。
男爵が言った。
「どうだろう、エリア、何かわかるかな?」
「男爵様、これはもしかしたら、レピ湖からの使者かもしれない」
考えられるとしたら、それくらいだ。
「使者か。誰への使者と思うかね?」
男爵も、やっぱりそう思うよね。僕もそう思うよ。
使者は僕に会いに来たんだと思う。昼間、レピ湖の湖畔にいる時、湖の方からずっと、何かに見られていたようだったから。
「男爵様、使者の目的は不明だけど、男爵様が思っている通り、僕に会いに来たのかもしれない。だから、この件は僕に任せてもらっていい?」
男爵は頷いた。
「もちろん、お願いしよう。真相が判明したら教えてくれ」
男爵はそう言うと、この場は、一旦、部屋に戻るよう皆に言った。座り込んでたメイドも、自分で立ち上がると、もう一人のメイドに抱えられて使用人棟に戻って行った。
僕も部屋に戻って待つことにしよう。多分、相手の方から現れるはずだ。
ーーーー。
とりあえず、部屋に戻ってきた。
ランプをつけて、ベッドにでも座って待っていようかな。
すると、しばらくして、思っていた通りそれはやってきた。メイドの話のとおり、青白い煙のようなふわふわした光だ。その煙は扉の隙間から、音もなく部屋の中へと入ってきた。
来たな。こういう輩はちょっと脅しを使うと正体を明かすっていうのがセオリーだ。右手に魔力を溜めてぇ、青白い煙に向ける。そして、放つっ! ふりだけど。
すると……。
「いや、やだ、やだーっ! うえぇーん……うえぇーん……」
えぇ〜~~っ、泣いちゃった? ちょっと効きすぎたかな?
でも、不思議だ。煙のあたりから泣き声だけがしている。ところが……。
あっ、煙がまとまってきて形になったてきたよ。
「ん? お、女の子だ?」
小さいね。小人かな?
その子は、背丈が小さく、僕のおへそくらいの身長だ。そして、半袖のワンピースを着ているけれど、ぼやっと光っていて、存在全部が青白い色をしている。髪の毛も青い炎のように揺れていて、幽霊にしか見えない。
やっぱ幽霊? いや妖怪かな? 何だろう?
その小さい女の子はまだ泣いている。
「うえぇーん、女神様怖いよぅ……」
いや、君も、うちのメイドには十分怖がられてるよ。
「ごめん、ごめん、本気じゃないから。君だって、メイドを一人、気絶させているんだからね」
そういうと、その子は泣きながら謝った。
「ごめんなさい……グスッ、ウィルもびっくりしてぶつかっちゃったの……グスッ」
どうやら、ワザとやったんじゃないようだ。
「それなら、君は何者なの?」
小さな女の子は答えた。
「グスッ……ウィル・オ・ウィスプ……グスッ……」
「ウィル・オ・ウィスプ?」
何だろう? 聞いたことないな。まぁ、それほど危険は無さそうだし、この子の正体を考えるのは取り合えず置いておくか。それより、この子がここに来た目的だけど……。
「君、何しに来たの? 僕に何か用?」
すると、 ウィル・オ・ウィスプが答えた。
「女神さまに来てほしいって、主が言ってるの」
ーーーー
ウィル・オ・ウィスプ
AI生成画像
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
と思ったら
下の ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願い申し上げます。
面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に励みになります。
重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。




