353-17-3_女神覚醒へのステップ
そんな事言ってたっけ? そう言えば、眷属の名乗りをするときに、ヴィースが、自分は女神の剣だって言ってたのは覚えてるんだけど、でも……。
「さっき戦ってた時は勝手に出てきたりしなかったじゃないの?」
「そのように意図をして下さい。そうすれば、エリア様のお背中にいつでも現れます。これもご説明いたしましたが」
「そうだっけ?」
ヴィースの説明長いから、聞いてるの面倒なんだよね〜。そんなに使い勝手がいいなら、最初から、もっと私が興味を持つように言って欲しいわよね。まったく!
「……まぁいいわ。じゃぁ、ヴィースと破山剣とはいつでも繋がってるって事なのね?」
「はい」
そこでククリナは、彼に釘を刺すように言った。
「水竜、言っとくけど、男子禁制の場面に顔出すんじゃ無いわよ」
「ククリナ、いくらヴィースでも流石にそれは無いでしょ」
「いいえ、エリア様、この男なら分かりませんわ」
「私は、常にエリア様と共にある者だ」
「ほら。聞きました? エリア様」
ククリナは、視線だけをヴィースに向けてそう言った。彼女の目は、既に怒っている。
「なんか引っかかるの? ククリナ」
「この男、とんでもない事を言いましたわ」
「そうなの?」
「ええ……」
そして、ククリナは、腕組みしてヴィースに向き直った。
「……ちょっと水竜。あなた、今、聞き捨てならない事言ったわよね……」
「何の事だ?」
「とぼけないでくれる? あなたもしかして、エリア様と私の幸せな時間を、剣の中から見てた訳じゃ無いでしょうねっ?」
ヴィースも腕組みしているけれど、顔はククリナから背けている。
「フンっ! 貴様、エリア様に、あ、あの様な無防備な格好をさせておいて、油断が過ぎるぞ!」
「ほら、ご覧んなさいっ!」
ククリナは、ヴィースを指差したまま顔だけコチラに向けた。
「さっき、この男に見られてましたわっ、エリア様!」
嘘っ、マジで!?
「耳は塞いでいた」
「そんな問題じゃないでしょうっ! ムムムムゥ〜〜〜、こ、この変態竜っ!」
「ま、まぁ、ククリナ、落ち着いて。私は大丈夫だから……」
ど、どうしよう? やっぱりヴィースに見られてたの!? ぜ、全部、見られちゃったのかな? あんな事やっちゃったのに? ま、まぁ、人間の男ならともかく、眷属精霊だし少しくらい見られても、ど、どうって事ないよね? で、でも、なんか、全身の肌がゾワゾワして、へ、変な感じ……。
「ちょっとククリナ、さっきから何の話してるのよ?」
「カ、カリスには関係ないわ……」
「ダメよ、ククリナ。ちゃんと白状しなさい。さっきも温泉がどうとかって言ってたでしょ!」
ククリナは、プイッと横を向いた。するとその時、目の前の空間に沢山の光の粒が煌めいて、それらが一つにまとまって大きく輝くと、中から薄い白のドレープを羽織った金色の髪の美しい女性が現れた。
「あらあら、三角関係ですか?」
「セイシェル王女、来てくれたのね」
「もちろんですわ、エリア様。それにしても、ククリナ様。私も、そのお話、ゆっくりと伺いたいですわ……」
「お、王女、私がアリサとククリナに頼んで、手伝ってもらったのよ。ほら、こうやって身体を成長させると、後が大変だってことが分かったし、だったら事前に準備しておいてしっかりケアもしておかないとってね」
「エリア様の仰っている事に間違いはない」
「ヴィースは黙っててっ!」
「あら? ヴィース様もご一緒に?」
「違いますっ!」
「違いますっ!」
「フフフ、宜しいのですよ。エリア様の女性性がよりオープンになっていくのを拝見すると、私もワクワク致しますから。しかし、出来ましたら、私もその場に居合わせたいですわ。エリア様のご成長をお支えする事は、私たちの誉でもありますので、ぜひ、皆で分かち合いましょう」
「そうよ、ククリナ!」
「ムゥ〜。何よ、カリスったら偉そうに……」
「分かったら返事っ!」
「わ、分かったわよ」
セイシェル王女は、ニッコリと笑って話を続ける。
「……と言う訳で、エリア様、次の満月の儀式ですが、私たち全員で妖精の国に赴き、皆でお世話させていただきますわ……」
全員?
「セイシェル王女! ヴィ、ヴィースも一緒って事は無いよねっ!?」
「お望みであれば」
「私はエリア様と共にある」
「絶対、嫌っ!」
「絶対、ダメっ!」
は、破山剣だけは、確実に忘れていかないとっ!
セイシェル王女はしっとりとした表情をしながら、私の左腕に彼女の腕を絡めてきた。
「それで……エリア様……」
「な、何? 王女」
「妖精女王様とのお話は、とても上手くまとまりましたわ……」
王女が、耳元に唇を寄せる。
ゴクリッ!
「そ、そうなんだ……」
お、王女、い、いい匂い……。
「……マブ女王様なのですが……妖精王国始まって以来のお祝い事になると仰って、それはそれは大層お喜びになられましたのよ……」
王女の左手が、いつの間にかおへその辺りに当てられている。
「へ、へぇ〜」
「……女王様は……王国の行事として……エリア様の儀式を執り行いたいと仰っておられましたわ。フフフ、どんな儀式になりますでしょうか?」
ど、どんな儀式って……。
王女の左手は、人差し指だけを這わせるように、胸の真ん中をゆっくりと上がってくる。
ん〜〜ん……。
さらに彼女の指は、デコルテのところまでやってきた。
ううう。
「で、でも、それって、す、少し注目され過ぎじゃないの?」
ぎ、儀式って言っても、あの透明な石を、い、入れちゃうだけよね。そ、それが王国の行事って、ど、どういう意味? 大丈夫かな? ま、まさか、人前で恥ずかしいことする訳じゃないよね、も、もの凄く不安なんだけど……。
さらに、彼女の細い指先は、ドレスの胸元に沿って地肌の上を右側にゆっくりと移動する。
ちょ、ちょっと……。
「エリア様……」
「は、はい……」
「……この儀式は……女神様の覚醒に必要な、とても重要なステップなのですわ……」
「め、女神の、か、覚醒……?」
「はい……エリア様が……全身をお使いになり……お感じになるあらゆる体験の積み重ねが……女神様の覚醒への機会となるのですわ。ですから、みな、この祝福すべき稀有な出来事の瞬間に居合わせたいのです」
彼女の指が、首筋を通って顎の先から唇に辿り着いた。
んんっ!
そして、王女はその指を自分の唇に当てると、一度、ゆっくりと目を閉じ、再び目を開けてうっとりと目を細めた。
「お、王女、く、詳しいのね……」
「マブ女王様の受け売りです」
「な、なるほど」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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