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トラウマ女神のやり直し〜 隷属の女神の伝説/王国編〜 ♡♡♡TSして最強美少女になったはいいけど、心まで女になるなんて聞いてない!♡♡♡  作者: トンブタ
第16章 カバール商会

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349-16-29_空の三日月

 応接間の扉の影から、しばらくの間、呆然とその景色を眺めていた。壁に使われていた建材の残骸は、破砕機で噛み砕いたように床に散らばっている。そして、舞い上がった埃は、サリーダが発していた陰湿な殺気と共に開いたままの玄関から徐々に吐き出され、外の空気と入れ替わっていく。そうして、玄関ホールに再び静けさが訪れた。


 なんか……まだ、時間が止まってるみたい。あ〜、でも何だか凄くスッキリ〜。


 激しく破壊された現場には、あまりしっくりもこない言葉だけれど、心は妙に晴れやかだ。断捨離した時の気持ちがストンと落ち着いた感覚に似ている。


 アイリッシュ、大丈夫かなぁ?


 どうやら、彼女は気絶しているようだ。


 生意気な子だけど、こうして見ると結構可愛い顔してるわね……。


 そうして、アイリッシュの髪を撫でる。するとその時、支えを失っていた応接間の扉が、スゥーッと静かに、奥に倒れていった。影を作っていた弊害物がなくなり、周りが応接室の明かりで照らし出される。


 あー、明るくなった。なんだかホッとするわ〜。


 応接間の方には人の気配がしている。当然だ、彼女がいるのだから。そこには、真っ赤な色の長い髪をストレートに靡かせた灰色の目の美人が、露出の多い赤い戦闘服に身を包みニッコリとコチラに手を振っている。


「エリア様、お怪我はございませんか?」


「ええ。大丈夫よ、カリス。来てくれたのね。ありがとう」


 フフフ。


 まだ、なんとなく現実感がない。決して、目の前の状況を見ないふりしている訳ではない。ただ、気持ちがまったりしているだけ……。


 ところが、その時、ピアスが揺れてラーシャが現れた。


 ん?


 彼女は、私の腕の中に無理やり身体を捩じ込んで来ると、アイリッシュの頭を抱いた。


「どうしたの?」


 掛けた言葉には無視されて、彼女は徐に一言口にした。


「契約」


 えっ?


 ラーシャがその言葉を口にした瞬間、大きな雷鳴が轟いた。


 雷神様?


 その音はたちまちの内に大きくなり、屋敷を揺らす振動となる。そして、またラーシャが一言。


「ドン!」


 ……嘘よね。


 何も考える間などある訳ない。


 だって、雷なんだから……。


 次の瞬間、それは耳をつん裂き、周囲の色を白色一色に変えて、刹那の時間、辺りの物質を強烈な光の中に蒸発させた……。


 ーーーー。


 床にぺったんと座り込み、空を見上げる。


「アリサ、ほら、あれを見て。三日月が綺麗だわ〜。お屋敷から見るお月様って、素敵!」


「本当ですね、エリア様。フフフ。生きてるって素晴らしいです!」


「私もそう思うわ……」


 アリサが身体を寄せてくる。


「……ところでアリサ、どうしてあなたの髪はそんなに濡れてるの?」


「はい。これは、ククリナ様によくしていただいたお陰です」


「そう。それは良かったわね……」


 アリサは優しく微笑んでいる。


「……ねぇ、アリサ、雨でも降ったのかしら? そこに水たまりが出来てるわ」


「はい、エリア様、とても激しい雨が」


「そう。風邪を引かないようにしないとね」


「はい」


 アリサが湿ったハンカチで額を拭いてくれた。


「ねえ、アリサ……」


「もう、それぐらいにしたら? エリア様。仕方ないでしょ」


「……仕方ないってどういう意味? エイル?」


「だって、みんなエリア様のやろうとした事でしょ?」


 やろうとした事?


「そうよ! あんたが指示した事じゃないの。私だって後始末を手伝ってあげたのよ! 感謝しなさいっ!」


 指示って、ウィンディーネまで何言ってるの……?


 脱力した気持ちのまま、破壊され、屋根に大穴が空き、水たまりのできた屋敷の玄関ホールをぐるりと見渡した。急激に意識が現実に引き戻される。


「うううう〜〜〜〜、どうすんの、これぇ〜〜〜? 男爵様に怒られるぅ〜〜〜。現実逃避したいよぉ〜〜〜〜」


「いいえ、エリア様、旦那様ならご心配こそすれ、お屋敷が壊れた事でエリア様をお咎めになったりは致しません」


「グスッ。本当に?」


「はい。大丈夫ですよ」


「ううう……」


 廊下で倒れていたメイドや使用人たちのところには、カリスとよく似た戦士の格好をした二人の女性が着いていて、倒れている使用人の上体を起こして何かを飲ませていた。


「エリア様、完璧なご命令でしたわ。まぁ、エリア様のご命令が無ければ、私がこの女どもを大地の糧にしていたところですけど、たまには、カリスにも出番を作ってあげてもいいかと思いましたわ。そうでしょ、カリス?」


「ありがとう、気を使ってくれたのね、ククリナ。でも丁度良かったわ。私もエリア様にご報告があったしね」


 みんなも何の話? 命令なんてした覚え無いんだけど……グスッ。


「本当でございますね。私もエリア様のご命令をククリナ様にきちっとお伝え出来た事に、誇りを感じております」


「流石はアリサよね。妬けちゃうけど、エリア様と以心伝心だもの」


「恐れ入りますククリナ様。そう仰っていただけると、私も皆様からお認めいただいたようで、大変嬉しく思います!」


 一体、何の話してるの……?


「あ、あの〜、ア、アリサ……」


「何でしょう? エリア様」


「い、今言った命令って……」


「はいっ! もちろん、エリア様の指文字のご命令ですっ! フフフン!」


 アリサ、とても嬉しそうね……。


 彼女は、小躍りする勢いで私の指文字がどういう内容だったのかを話した。アリサによると、二人で、という部分を、ハサミと理解し、蛇のニョロニョロを雷のバリバリと理解し、そして、彼女はその通りククリナに伝言したようだ。


 ククリナが言った。


「アリサから伝えられた伝言から、エリア様のお考えをすぐに理解いたしましたわ。それで、アリサを呑み込んだ後、エイルにお願いして、カリスとラーシャに伝えてもらったのです……」


 へぇ〜、それでカリスとラーシャが……そ、そうよねぇ……この結果を見ればそういう事だよねぇ……。


「……それにしてもエリア様、まさか、悪党への雷撃に乗じてアイリッシュの試練までも見越されておいでとは思いも致しませんでした」


 ククリナはそう言ってニッコリと微笑んでいる。


 いやいや、そんな訳ないでしょ。だいたい、お屋敷の中で雷撃なんておかしいよね。まぁ、何にしても結果オーライだけど……。


 お屋敷を壊しちゃったことは、男爵様に謝るしかない。そして、周囲に集まっているみんなを見上げた。


「カリスも、本当に助かったわ……」


「当然の事です」


 カリスは、両膝を床につけて、片肘を抱いた姿勢になってそう言った。すると、そこに、女戦士が現れ、カリスの後で姿勢を低くすると後ろから何かを報告した。カリスの肩越しに彼女と眼が合う。


 あれ? どこかで見たことあるような……。

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


と思ったら


下の ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願い申し上げます。


面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!


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重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。

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