343-16-23_天然?
ペディットに何を言うつもり、ククリナ?
「エリア様は、この世界の女性にとって光となるお方ですわ……」
「はい、そのようなお方だとは知らずに、申し訳ありません……」
「……その事は、お分かり頂ければそれで良いのです。それよりも、お気づきの通り、ご本人様はさっきのような事を周囲を気にせずやってしまう天然ちゃんですわ」
アリサが、うんうんと頷いている。
て、天然ちゃんって! アリサだってククリナだって、あ、あの時は、赤ちゃんみたいになっちゃうくせに! ムゥ〜。
しかし、ペディットも腕組みして納得しているようだ。
「私も、さっきはそう思った!」
ペディットぉ〜。
「……ペディットさん、あなたは、女神様の加護をお持ちですね?」
ん? あー、そうだった。
さっき彼女の目を見て、その事には気が付いた。
ククリナも、ペディットに魔法でヒーリングしたから分かったのね。という事は、女神の祈りの加護持ちに出会ったのは、これで三人目かぁ。
最初に会ったのは、奴隷商の荷馬車にいた司祭風の若い女の子。
あの子も奴隷だったけど、今頃どこにいるんだろう? もう誰かに買われてるよ〜。でも、きっと、助けに行くからっ!
二人目は、ザリッパたちに攫われていたグレース。
治療術師の卵だね。妖精女王との話が付けば、あの子たちの魔法訓練も話が進むんだけど……。
そして、三人目が、ペディットだ。
ペディットは風魔法の使い手だわ。今の彼女は中級魔法術師のようだけど、まだ伸び代はありそうね。あと、ウィンディーネが、もしかしたらイリハも持っていたかもしれないって言ってたっけ。もしそうだとしたら、四人になるのか。
ペディットは、胸に手を当ててククリナの質問に答えた。
「はい。女神の祈りという加護を持っていますけど……」
「その加護は女神様からの授かり物ですわ。あなたは過去生で女神様との絆を結んだのです」
「そうなのですか? 私の家系では、どうやら私が初めての魔法術師みたいで、あんまりそんな話は聞いたことがないんですけど……」
彼女は、考えるように少し視線を斜めに落とし、また顔を上げた。
「……でも、どうして私にこの力が備わっているのか、とても不思議に思ってたんです」
ククリナがペディットの両手を取った。
「ペディットさん、あなたのその力は、女神様の真の覚醒にこそ役立てるべきですわ! それこそが、あなたの疑問に対する答えでしょう!」
「め、女神様の真の、か、覚醒?」
「ククリナっ! そんな事いきなり言っても、ペディットだって戸惑っちゃうよ!」
ククリナが、顔だけこちらに向けた。
「エリア様、あなたをお守りするのに仲間が多い事に越した事はございませんわ。なにせ、エリア様は、天然ちゃんなのですから!」
うっ!
「あのっ、私、どうすれば?」
「何も特別な事をする必要などございません。ペディットさんは、もう、エリア様のお友達なのでしょ?」
「友達?」
「ええ!」
「も、もちろんですっ!」
ククリナがニッコリと笑う。
「ペディット、ホントに友達になってくれるの?」
「当たり前だよっ! じゃぁ、私、やっぱりエリアちゃんって呼ぶね! いいでしょ? エリアちゃん!」
ペディットはそう言うと、私に右手を差し出した。彼女の手とククリナの手を取り、三人で輪になった。
「うんっ! ありがとうっ、ペディット! それから、マーカスにあんな事して、ごめんなさい!」
「えっ? エリアちゃん、私、あれよ。マーカスの事なんて何とも思ってないって!」
「ホントかなぁ?」
「ホントだって! だから、エリアちゃんがマーカスの事好きになるのは、自由だよ」
「だから、私、男の人を好きになったりは……」
しないわ! って言おうとすると、ククリナとアリサが力強く言った。
「しませんっ!」
「しませんっ!」
何で、あなたたちが……。
まぁ、でも、ペディットは、明るくてサッパリした性格のようだ。
彼女となら、気が合いそうね!
そして、ペディットは、サリィメイドのショーツがとっても気に入ったと言って喜んでいたので、それに合わせてスポーツタイプのブラもプレゼントしておいた。
「私、サリィさんのお店ができたら、絶対、まとめ買いするよっ!」
ペディットはそう言って、拳を握る。
まだバーゲンじゃないんだけど……。
そうして、ようやく護送馬車へと向かった。
ーーーー。
護送馬車の任務には、王宮騎士団の本部からも応援が来ているようだ。彼らは、この極秘任務のために集められた精鋭隊員らしい。
「やぁ、エリアちゃん」
「ピュリスさん、ご苦労様!」
「そうだ、エリアちゃん。ジャブロクが王宮に魔獣で攻撃を仕掛けるかも知れないっていう話を、エイル様から連絡を受けたよ。教えてくれて助かった。少しでも変な動きがあったら応戦できるように、隊員の配置を整えられたからね」
「でも、そんな事はさせないって顔してる!」
「もちろんだよ! そんなの、昇華ブレストで瞬殺だ。テロリストに遠慮なんていらないさ」
「ピュリスさんらしい!」
「ハッハッハ。そうかい? ところで、出てくるのが遅かったね。みんなで何してたんだい?」
「今、ククリナのお説教を受けてたの。そのお陰でペディットと友達になったわ」
「ハハハ。何だかよく分からないけど、うちの隊員と仲良しになれたのなら良かったじゃないか」
ピュリスは軽くそう言うと、後ろ振り返って隊員たちに号令を出した!
「奴隷狩り捕縛にご協力していただいたエリアさんに、敬礼っ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
オスカルやマーカス、そして、ペディットの他、本部隊員たち合わせて八名が、一斉に敬礼した。
「なおれっ!」
かっこいい!
「やっぱり、ピュリスさんは団長さんなのね」
「ハッハッハ。まぁ、私は、あんまり締まりが無いお飾り団長さ」
「謙遜なんかしちゃって。みなさんの顔を見れば分かるって」
「そりゃ、ザリッパたちの護送は重要任務だからね、みんな緊張してるのさ。それに、裏切り者の思考から得た情報では護送馬車の襲撃が計画されていた形跡もあるんだ。その男が捕まった今じゃ、奴らが襲ってくることも無いだろうけど、いつ戦闘になってもいいように気は抜けない」
ピュリスはそう言うと、荷台の幌を捲り上げるよう隊員に指示した。そして、近くにいた隊員は幌を捲って固定すると、手持ちのランプを翳して中を見せた。
「どうぞ」
隊員がそう言うと、ピュリスは荷台の中の人物を顎で指し示した。
「奴がスパイ活動をしていたプロディ・オービタスだ……」
「オスカルさんと一緒に、セシリカの事務所にやってきた人でしょ?」
「ああ。この男は、カバール商会では中堅クラスの人物さ。これで、我々王宮騎士団の情報が漏れなくて済みそうだよ」
「全くですね。エリア様、本当に助かりました。奴隷狩りどもの話が無ければ、奴を誘き出す作戦は立てられなかったでしょうからね」
オスカルは、ピュリスの言葉に続いてそう言った。
「ザリッパたちを捕まえたのは、ククリナなんだけどね」
そう言うと、ククリナが不満そうに言う。
「捕まえただなんて、それは仕方なくですわ。本当なら呑み込んだ物は消化して大地の糧にするのですから。エリア様のお許しがいただければ、今すぐにでもそうしたいところです」
「ハハハハ」
オスカルは、頭に手を当てて苦笑いだ。
「あの、ピュリスさん、ザリッパたちが極刑になったらどんな刑罰になるの?」
「エリアちゃんの証言が決め手になれば、それは恐らくは火炙りだろうね。なにせ、貴族のお嬢様と従者を襲ったんだからそうなるよ。それに、刑の執行が公開される可能性も高いんじゃないか? エリアちゃんは、何か気になるのかい?」
「ええ。ザリッパに酷い目に遭わされた女の子たちが次の一歩を踏み出すために、彼女たちは、処刑の様子を自分の目で確かめたいって言ってるのよ。でもねぇ……」
「なるほど、エリアちゃんは迷ってるんだね? 確かに、火炙り刑は最も残酷な刑罰の一つだからね。でも、見るかどうかを決めるのも彼女たち自身の問題だと思うよ」
「そうかなぁ」
「大丈夫さ、エリアちゃんが治療してあげたんだから。その子たちを信頼すればいいよ」
ピュリスがそう言って肩を握ってくれた。
「そうね。ありがとう、ピュリスさん!」
「あの〜……」
ピュリスとの会話を近くで聞いていたペディットが、不思議そうな顔をして言葉を口にした。
「……団長とエリアちゃんって、どういう関係なんですか?」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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