340-16-20_王宮騎士団の隊員
玄関ホールに行くと、オスカルと二人の部下が姿勢を正して立っていた。彼らは王宮騎士団の制服に身を包み、オスカルは剣を、そして、二人の部下は男の方が切先にカバーを着せた十文字槍を、女の方が緑色の魔石が仕込まれた魔術師の杖を所持している。後ろから着いてきていたモートンは、オスカルに一礼すると、彼らから武器を預かり、来客用の武器保管棚に置いた。
「オスカルさん、ご苦労さま!」
「ご協力、感謝いたしますっ!」
オスカルはそう言って敬礼する。そして、彼の部下たちも、オスカルの後ろで小気味良く胸を張り、サッと右腕を上げて敬礼をした。
わぁ〜、なんだか勇ましいっ!
オスカルは敬礼を解くと、少し表情をリラックスさせて話しかけて来た。
「エリア様、このような時間に申し訳ございません」
「大丈夫よ。ところで、オスカルさんの方は上手くいったの?」
「ええ。お陰様で、無事奴の企みを阻止することが出来ました」
「そう。それは良かったわ」
そして、オスカルは、後ろの部下たちに振り返ると、彼らに前に出るよう促して言った。
「このお方が、さっき話したエリア様ですよ。二人とも、エリア様に自己紹介して下さい。じゃぁ、マーカスから!」
「……」
ん?
「どうしたんですか? マーカス。ほら、ここに来て自己紹介を」
オスカルに指名された背の高い彼は、なぜか、敬礼を解かずに、口を閉じたままモグモグと動かしている。すると、もう一人の部下が、やれやれと言った雰囲気で言った。
「隊長。マーカスは緊張しちゃって、ダメみたい」
ホントだ。なんか、私とは目を合わせてくれないみたいね。
「この男は、綺麗な人の前に来ると、いつもヘタレちゃうんだから!」
「フフフ。そうですか。まぁ、初めてお会いすればエリア様のオーラに圧倒されますからね……」
そんなの言われたこと無いんだけど……。
ところが次の瞬間、オスカルは、ニッと笑みを浮かべたと思うと、一瞬で殺気を纏う! そして、彼は、マーカスに向かって、突然、後ろ回し蹴りを放ったっ!
わっ!
オスカルの右足は、マーカの顎を狙うっ!
えっ!
ところがマーカスはそれに即座に反応し、右足を後ろに下げてオスカルの一撃をかわすと、すぐさま次の攻撃に備えて腰を落とし、身構えたっ!
おぉ〜、いい動きねっ!
そして、二人は、向き合った姿勢で睨み合うと、しばらくしてから気を緩めた。その場の殺気が徐々に霧散していく。そうして、お互い礼をし起立の姿勢に戻った。
「へぇ〜、凄い凄い! パチパチ!」
思わず拍手をしてしまう。
「いや〜、恐縮です」
オスカルはそう言って、マーカスを見やる。すると、マーカスはオスカルの脇まで進み、大きくお辞儀をした。
「た、大変失礼いたしましたっ! 私は、王宮騎士団中央広場警備隊のマーカス・グランツ、十八と申しますっ!」
口に手を当てる。
ハハハ、可笑しいっ!
彼は、ブロンドのショートボブをしており、切れ長で精悍な顔立ちをしているイケメンだ。背も高く、多分、百八十センチ以上、いや、百九十センチくらいはあると思う。
ちょっとおっちょこちょいね。でも、誠実そう。
「グランツさんは十八歳なんだ。フフフ」
そう言って、思わず笑ってしまった。
「えっ? お、俺、今、歳まで言いましたっけ!?」
「あんた、思いっきり言ってたわよ、名前のついでにね。ウケでも狙ってるの? 合コンじゃあるまいしバカみたい」
「バカって言うなっ!」
もう一人の女性隊員は、やれやれと言うように掌を上に向けて呆れた顔をした。そして、ニッコリと笑って雰囲気を変えると、改めて姿勢を正し、自己紹介を始めた。
「エリア様、私は、王宮騎士団中央広場警備隊のペディット・バーリーと申します! 十六歳ですっ!」
彼女はそう言うと、頭を傾げて笑顔を見せた。
元気な子!
「お前だって、歳言ってるだろっ!」
「今、そう言う流れでしょ」
この二人仲良さそうね。
「バーリーさんは十六なんだ。じゃぁ、私、一応十八だからマーカスさんと同じね」
「嘘? 全然そんなふうに見えないんだけど。なんか凄く美人さんだけどまだあどけないと言うか、ちょっと年下かなぁって思っちゃった。じゃ、じゃぁ、エリア様って呼ばないとダメね」
「エリア様に失礼ですよ、ペディット」
「ううん、全然いいよ。私もあんまり堅苦しいのは苦手だしね」
この子、凄く人懐っこそう! 私よりはちょっと背が低いけど、栗色のカーリーヘアで大きな瞳をしていて、とても可愛いわね。
「本当に! それなら、やっぱりエリアちゃんって呼んでもいいかな? 私も、ペディットって呼んで欲しい!」
「うん。その方が嬉しかも。じゃぁ、よろしくね、ペディット!」
「うんっ! よろしく! エリアちゃん!」
「あの、お、俺の事もマーカスと呼んでくださいっ!」
「分かったわ、マーカスさん!」
「いえっ! よ、呼び捨てでお願いしますっ!」
「真似しないでよね。それに、なんか必死感がしてキモい!」
「うっさいんだよ!」
夫婦喧嘩?
「それにしても、エリアちゃんって、ホント超美少女っ! ほら、髪が銀色で輝いてるよ〜、ん? あれ? よく見るとピンク色? じゃないか。どうなってんの? 不思議ぃ〜!」
彼女はそう言いながら、手を後ろに組み小足で近寄ってくる。そして、私の顔を仰ぐようにしてまじまじと観察し始めた。
な、何……?
「……へぇ〜、肌も真珠みたく艶々だし、あっ! 瞳が水色なんだね。それに、目の中になんかキラキラ光ってる〜、綺麗〜! 本当にこんな人いるんだね〜。マーカスじゃ無くても緊張しちゃうでしょ、これは。私もドキドキして来ちゃった!」
「……ぺ、ペディット、顔が近いよ……」
「ペディット、エリア様が困ってますよ」
「でもほらっ! 隊長も近くで見て下さいよ、いいでしょエリアちゃん? だって凄いよぉ〜。な、何でこんなにまつ毛長いのぉ〜。もうヤバいよ」
「そうですか? で、では、私も、よろしいでしょうか?」
ちょ、ちょっとオスカルさんまでっ!
「……この上なく無垢で神聖な女神様をこの様に見るのは、少々恐れ多いですが……」
オスカルの顔が、ニュウ〜っと接近する!
そ、そんなにジロジロと……。ちょ、ちょっと、恥ずかしいって。
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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