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トラウマ女神のやり直し〜 隷属の女神の伝説/王国編〜 ♡♡♡TSして最強美少女になったはいいけど、心まで女になるなんて聞いてない!♡♡♡  作者: トンブタ
第15章 奴らの狙い

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314-15-9_明日への備え

「セシリカ女史、何か心配事でもあるのか?」


 男爵は、少し顎を引いてセシリカに視線を向けた。


「はい。これは奴らでなくともそう考えると思うのですが、どうしてあの様な広大な畑が生き返ったのかと……」


「なるほど。言われてみれば、エリアの力を知らない者にとって、そこは大きな疑問だな」


「そうなのです。普通なら、理由としてまず毒の弱体化を疑う事が現実的ですが、しかし、教会の寄合でエリア様に珍しい魔法を使わせてしまった事が気掛かりでありまして、エリア様の存在が奴らの目に留まるような事にでもなれば、その矛先がエリア様に向かってしまうのではないでしょうか?」


「うむ……」


 男爵様まで考え込んじゃった。僕自身は、あんまり心配してないんだけどね。


「それなら大丈夫だよ、セシリカ。確かに、農民の中にはレックスと繋がっていた人がいたようだけど、今はレックスもククリナのお腹の中だからね」


「それならいいのですが」


「エリア、用心に越した事はない。あまり一人で突っ走らんようにな」


「男爵のいう通りだよエリアちゃん。ククリナ様だって、ほら!」


 ピュリスはそう言って、ククリナに笑顔を向けた。すると、ククリナは、背中からギュッと僕を抱きしめた。


 ごめんね、ククリナ。心配ばっかりかけちゃって……。


 心の中でそう言って、ククリナの手を握る。それを見てピュリスは微笑むと、話を切り替えた。


「ところで、今回の作戦は王宮騎士団にとっても渡りに船なんだよ……」


「ピュリス様、それは、どういう事でございますか?」


「……実はね、男爵。この計画に便乗して組織浄化をしたいと思っているんだ。団員の中には陛下への忠誠よりも派閥の利益を優先しようとする者も多いからね。この際、そういう者たちには騎士団から籍を抜いてもらおうと考えているのさ」


「なるほど、しかし、ピュリス様のお立場を考えますと、いずれかの派閥に肩入れされない方がよろしいのではないですか?」


「そうだね。確かに男爵が心配する通り、間違った対応をすれば、彼らの不満が王宮に向かいかねない。しかし、組織浄化を図りたい理由がもう一つあってね。それは、情報漏洩さ」


「情報漏洩ですと?」


「ああ。どうやら、騎士団の内部事情や捜査の情報が外部に漏れているようなんだ。特に、カバール商会の人間が関わっていると見られる事件では、毎回、容疑者を取り押さえる事が出来ていないし、そもそも、捜査をしようにもアトラス派貴族からの横槍が入る始末さ」


「それは、王宮騎士団内部にスパイがいると?」


「ああ、そうだよ」


「ピュリスさん、そのスパイを捕まえれば、王宮騎士団の組織浄化も併せてできちゃうって事?」


「もちろんだよエリアちゃん。騎士団の団員には二種類の人間がいるんだけど、心から陛下に忠誠を誓っている団員は、決して内部情報を漏らすことはないんだ。彼らは、本当に王国に命を捧げているからね。でも問題は、貴族の派閥争いに執心しているような団員なんだよ。恐らく、カバール商会に情報を流している奴は、そういう団員から情報を得ているのさ。そのスパイを捕まえれば、そいつと懇意にしている者を炙り出す事ができる。そんな輩と繋がりのある団員は王宮騎士団から追い出されたとしても、文句は言えないだろう」


「それでは、ピュリス様、騎士団に潜入しているスパイがいたとして、その人物はどうやって捕まえるおつもりなのでしょうか?」


 男爵の疑問に、ピュリスは右手の人差し指を立てて答えた。


「実はもう、どの団員がスパイなのか目星を付けてあるんだ。後は証拠を掴んで押さえるだけ。セシリカの予測どおりなら、この作戦でカバール商会の奴らは、奴隷狩りのザリッパがいないと分かって焦り出すはずだろ? こちらから少し情報を流す事で、その焦りを上手く利用できないかって思っているんだよ。今回は、またアトラス派貴族から横槍が入らないように、確実な現行犯逮捕でね。それで、男爵やエリアちゃん、それとククリナ様にお願いしたい事があってさ……」


 ピュリスはそう言って、彼女の考えを話した。それによると、こちらが奴隷狩りたちを捕らえているという情報を敢えて流し、さらに、少し隙を見せるようにする。そうする事で、奴らを罠に嵌めるという内容だ。


 ピュリスは続ける。


「……そこで、さっき言いかけた話なんだけど、エリアちゃんが捕えているザリッパたちを、今晩、王宮騎士団の極秘任務として引き取りに行くっていう筋書きはどうだろう? 任務は中央広場の警備隊に当たらせて、秘密裏に準備をさせる。とは言っても、護送車を用意する時点で隊員には極秘任務だということが薄々分かってしまうから、我々が目を付けている者はそこで必ず動き出す筈さ」


 なるほど! さっき、ピュリスさんが改まって話そうとしたのは、この事だったんだね。


「ふむ。目星の者はそこにおるのですな? それは良い考えかもしれません。ジャブロクどもにも大いにダメージを与えることが出来そうですし、我々もその方が助かりますな」


 男爵は、僕に同意を求めるように視線を向けた。


「うん! それ、面白そうだね!」


 これはきっと、大捕物になるよ。ザリッパを餌に、さらに悪い奴を捕まえるなんてね。ムフフ。出来ればその現場を見てみたいよ。


 ピュリスは、セシリカの同意を求めるように言った。


「セシリカはどう思う、今の話?」


「このタイミングならではのいい作戦だと思いますよ。それでさらにジャブロクは頭に血が上るでしょうから、ますますコチラの思う壺ですね!」


 そして、セシリカは、右手で小さくガッツポーズを取り、皆に向かって言った。


「エリア様、ピュリス様、ボズウィック男爵様、奴らを潰すなら今です! 畳みかけましょう!」


 彼女はそう言って、口元を引き締めた。


「そうだねっ!」

「ああ!」

「うむ!」


 セシリカの自信に満ちた掛け声に、三人とも同時に頷いた。そうして、明日に備えての打ち合わせが終わった。ソファから立ち上がると、セシリカが恐縮しながら話し掛ける。


「あの、エリア様、ライラお嬢様の事なのですが……」


 彼女は、心配そうに眉根を寄せてそう言った。


「ライラさんの居場所の事だよね?」


 ライラさんからレイナードお兄様に届いた手紙の事は、男爵様からセシリカに話していたようだけど、夕方、男爵様とレイナードお兄様の三人で会話していた内容は、まだ彼女に言っていない。


「はい……」


「その事なんだけど、作戦会議の前に、男爵様とレイナードお兄様と三人で色々と話していたんだよ。その時は、ライラさんが、ジャブロクの屋敷かカバール商会のどこかで囚われてるんじゃないかって言ってたんだけどね」


「皆様もやはりそうお考えですか? 私も、恐らく、お嬢様は、ジャブロクの屋敷で囚われている可能性が高いと思っているのです」


「やっぱり? でも、セシリカはどうしてそう思うの?」


「はい。私も詳しくは分からないのですが、どうやら、過去に、旦那様とジャブロクとの間で何かトラブルがあったようなのです。旦那様はよく、カバール商会との取引には注意しろと仰っておられました。出来れば彼らを相手にするなと。もしかすると、旦那様は、奴らから恨みを抱かれているのかもしれません」


「そうなんだね。じゃぁ、ライラさんはジャブロクの復讐相手の娘って事か」


 そう言うと、後ろで話を聞いていた男爵が会話に入ってきた。


「なるほど、そういう事情があるのだな。それなら、彼女が本当に奴に囚われているのか、出来るだけ早く確かめておく必要がありそうだ……」


「だよね」


「……しかし、もし、ライラ嬢が奴に囚われていると分かったとしても、彼女の救出は奴らの混乱に乗じて行わなければならん。出来れば、セシリカ女史の言う通り、ジャブロクが魔獣を王国内で暴れさせ犯罪者の顔を明かしおった辺りでな。万が一タイミングを誤れば、奴らは、王宮がローズ男爵の処分をまだ出していない事を盾にして、我々がライラ嬢を誘拐したなどと言い出すであろうし、挙げ句の果てに先物契約にも難癖を付け、契約自体が無効だと言い掛かりを付けてくるやもしれん……」


「そうですよね……」


 セシリカは、視線を斜め下に落とした。


「セシリカ女史、ライラ嬢の事は気掛かりであろうが、君は明日に備えて事務所に戻っておる方が良いだろう。先物契約市場の混乱は相当なものになるのだからな。その代わり、ジャブロクの様子は、ワシらで監視を続けるとしよう。エリア、どう思う?」


「うん。僕もそれがいいと思うよ」


「では、それで良いかな? セシリカ女史」


「分かりました。お二方ともよろしくお願いします」


 セシリカがそう言うと、ピュリスが彼女の肩にポンと手を置いて言った。


「セシリカ、君は君の心配をする必要があるよ、奴らがどんな手を使って来るのか分からないんだからさ。まぁ、ククリナ様が君の警護をして下さってるから大丈夫なんだけどね。それに、何かあったら、私にも連絡をくれれば隊員を向かわせるから安心しておくといい。部下には、ローズ家案件は全て私の名において対処する様に言ってあるからね」


「それは助かります!」


 ピュリスは、セシリカの返事を聞くと、「では、作戦に備えるとしよう」と言って、セシリカとともに屋敷を後にした。

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


と思ったら


下の ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願い申し上げます。


面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に励みになります。


重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。

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