304-14-15_悪夢のパーティ
「こんなに若ぇ娘は久しぶりなぁ、おいっ! どうする? 順番でも決めるか?」
「バカ言え、折角二人いるんだ。三人づつ別れて代わる代わるやっちまおうぜ!」
「そりゃいい! それにしても見てみろよ、コイツら二人ともいい乳してやがるっ!」
「ホントだな、早く拝みてぇ!」
「そりゃ、あっちの方も全部だろ?」
「う〜〜〜、早くしようぜ!」
「まぁ、待てって! オメェは娼館に行きゃぁいっつも早ぇじゃねぇか? ここは、間近でゆっくりじっくり目でも楽しんでからがいいんじゃねぇか? 俺たち男六人からスケベな所まで全部見られちまうんだ、そりゃコイツらだって、花が開いてトロトロな具合に反応するってもんだ」
「お、俺も、それ見たいっ!」
「それにしても、このままじゃつまんねぇな。声を出せるようにするか。黄色い悲鳴を聞くと盛り上がるだろ?」
「お前、趣味悪りぃ! でも、そいつは賛成だ!」
「よし、じゃぁ、沈黙解除だ! 英明なる霊木の杖よ、我の命に従い、その者共に弁明の機会を与えよ! アポロージャ! どうだ、これで声を出せるだろ?」
男がそう言うと、女の子たちの悲鳴が聞こえてくる。
「い、嫌っ、やめて下さいっ! お願いしますっ!」
「やだっ! 怖いっ! た、助けて下さいっ!」
「ヘッヘッヘッ! いいねいいね! よし、お楽しみの始まりだ。服を切り刻んで剥ぎ取っちまうか!」
「オッシャーーーーッ!」
「オッシャーーーーッ!」
「オッシャーーーーッ!」
「オッシャーーーーッ!」
「オッシャーーーーッ!」
扉の向こうから、盛りのついた獣のような雄叫びが聞こえた。
「うわっ! もうヤバそうよっ!」
エイルが小声でそう言った。男たちの血走ってひん剥かれた目が、ハッキリとイメージに浮かぶ。
「もう……こんな世界……」
力の無い声で、考えもしない言葉が自然と口から漏れる。
「……終わらせたい」
するとその時、ドクンッ!!! っと一際大きな鼓動が鳴る! 自分でも驚き、思わず右手で胸を押さえた!
いっ! 痛くは……ないか。 でも、あれ? なんか変……。
すると、突然、朝方のまどろみの中にいるようなぼんやりとした感覚になり、意識が遠のき始めた。
め、めまい……? じゃないっ! こ、これはもしかして?
目を閉じたまま手探りのように左手をククリナに差し出すと、彼女はその手を掴んでくれた。
「エリア様!」
意識が薄らいでいく……。
「ククリナっ、お、お願いっ! 私の意識がなくなっちゃったら、どんな手を使ってでも私を、しょ、正気に戻してくれないっ?」
「……わ、分かりました。どんな手を使ってでも、エリア様をお守りいたします!」
「どうしちゃったの? エリア様?」
「ありがと……」
エイルに返事する余裕はなく、何とか、それだけ言えた。しかし、右手は取手を掴み扉を押し開けると、足は勝手に前へと進む。
身体が……私の身体じゃ無いみたい……。
意識が奥に追いやられて、別の人格に身体を明け渡した様な感覚だ。でも、状況だけは、なんとか分かる。
倉庫の中は、明かりが付けられているけれどやはり薄暗く、無機質な紙の匂いと埃っぽいカビの匂いがする。奴らは部屋の隅にある作業台のところで、硬い台に乗せた女の子たちの手足を押さえつけ、彼女たちを蹂躙する事に夢中になっていた。
「ヒィッ、ヒィッ、ヒィッ! ほらっ、ほらっ!」
「ウヘェ〜〜〜〜ッ! おいっ! そっち、しっかり押さえてろって!」
「ウィ〜〜〜〜ヘッヘッヘッ! もう見えちまうぞっ! どうするっ、どうするっ?」
「イヒヒヒヒッ! そ、それ早くっ切っちまえって! 下もっ! 下もっ!」
男たちは興奮し、我を忘れて女の子たちの衣服を切り刻む。
「オッホゥーッ! いい眺めだっ! コイツはいいっ! 早くやっちまおうぜっ!」
「おいっ、誰からいくっ?」
「俺だっ! 俺っ!」
「俺にやらせろっ!」
「最初は俺だっ!」
「もう我慢できねえって!」
「三人同時にできるじゃねぇか? ヘッヘッヘッ」
獲物の内蔵を貪り喰らうハイエナのようだ……。
「ヒャッホォォォーーーーッ!!!」
「ギャァァァーーーーッ!」
「ギャァァァーーーーッ!」
女の子たちが断末魔の叫びを上げた。しかし、彼女たちの悲鳴が男たちをさらに興奮させる。
「泣いちまってるぜっ! ヘッヘッヘッ!」
「うううっ! あの目がたまんねぇーーーーっ!」
「ほらっ、もっと叫べっ!」
「クゥーーーッ!」
「も、もういいだろっ!」
男たちは、我を忘れてこちらに気づきもしない。
「エリア様……」
ククリナの促すような声がした。
「そうね。殺すわ……」
話し方が私じゃないみたいだ。それに、感情が消えて、心の中は静寂の森の泉のように波一つ立ちはしない。
「はい……」
「こ、こんな奴ら、や、やっつけちゃってよ!」
ククリナもエイルも緊張している。きっと、私の雰囲気がそうさせているんだ。
そして、自分では殆ど意識する事なく右手がピストルのように形を作ると、手の甲が上に向けられて腕が伸ばされ、その指先が男たちに向いた。
あの魔法を使おうとしている……。
さっき、心臓の鼓動とともにトラウマに苛まれているエリアの意識が降りてきた。多分、今の私は、九割近くが彼女の意識だ。でも、彼女との意思の疎通は出来なくて唯一の繋がりはこの身体を共有しているという事。ただ、私には感じる。過去生エリアの心は、ずっと泣き叫んでいる……。
太古の時代に、私が恐ろしさのあまり蓋をして切り離してしまった心。でも、今は彼女を邪魔したりはしない。これは、私たちのヒーリングプロセスに他ならない。この魔法を使えば、警報器も鳴るだろう。そうすればコイツらの仲間が駆けつけてくるかもしれない。しかし、そんな事、どうでもいい。顔が見られたところで関係ない。どうせ、奴らはみんな、この世から消してしまうのだから……。
男たちの隙間から女の子の顔が見えた。彼女は、男たちに手足を押さえられ、白い肌の殆どが露出してしまっている。
"可哀想な子たち。……あれは……私だ……"
エリアの感情が伝わってくる。その時、片方の子と目が合った。そして、彼女の動きが止まる。その女の子は、腕と足を押さえられ、開脚させられた姿勢のまま、泣きじゃくった真っ赤な目をして唇を噛んでいた。すると、男たちの狂気が一瞬緩み、一人の男がこちらの気配に気付いて振り返る。
「な、何だ、テメェっ! 何処から入って来やがったっ!?」
男が大声を上げた。すると、他の男たちも全員振り返る。
「なんだコイツ。隷属の首輪を嵌めてやがる。もしかして、コイツも会頭の差し入れじゃねぇのか?」
ナイフを片手にした男が、涎を手で拭きながらそう言った。
「ヘッヘッヘ、ワザワザこんな倉庫までやって来てくれてよ。俺たちに遊ばれてぇってか? 何して欲しいんだ? 言ってみな」
「ウッヒョーッ! 見てみろよっ! コイツはとびきりの上玉だぜ! 折角、首輪を嵌めてんだ、誰か鎖持ってこいよ! こりゃ、奴隷プレイだなっ!」
「まぁ、乳はそんなにデカくねぇが、その分美形で俺の好みの女だ。おいっ! 俺ぁ、コイツを貰うぜっ!」
「バカ野郎! 早い者勝ちだっ!」
一番手前の男がそう言って、ナイフを持つ手を伸ばそうとした。しかし、腕は機械のようにその動作を行う。そして、身体の輪郭が白く発光すると、ブーンという低周波音が波紋のように周囲に広がった。外の階段では警報器がけたたましく鳴り響いたかと思うと、弾けるような音を出して、突然、静かになった。
目の前では、男のナイフがその切先を光らせ、首元目掛けてまっすぐに向かって来る。男の顔が愉悦に歪む。しかし、全ては刹那の世界の出来事だ。
「輪廻に還るがいい……」
エリアの声だ。
「……魂昇華魔法」
あぁ、彼女が、死の言葉を紡ぎ始めた……。
「スブリミタス・レイ……」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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