249-11-28_少女の記憶
レックスに囚われていた三人の女の子たちと話をした後、今度は、ザリッパに妻にされていた少女たち十人に集まってもらった。彼女たちの年齢はまちまちで、十五歳から十七歳までの女の子たちだ。セイシェル王女の話では、彼女たちはローズ男爵領内の様々な場所から攫われてきたということだ。
女の子十人は、詰め詰めになりながら何んとかソファに座った。
「みんな、ヒーリング魔法で少しは元気になった様に見えるんだけど、本当のところどうなんだろう? 話せそうかな?」
そう言って尋ねると、彼女たちは、お互い顔を見合わせた。彼女たちの中には、はにかむように笑っていたり隣の子の後ろに隠れようとしたりする子がいるけれど、うつ向いて悲しそうにする子は誰もいない。
悲壮感が全然無いね?
そう思って見ていると、一番端っこに座っている女の子が話し始めた。彼女は桃色の髪を肩まで伸ばし、丸い顔立ちをした愛らしい女の子だ。
「あの~、エリア様……ですか?」
この子、僕が最初に魔法診断してあげた子だね。
「うん。僕がエリアだよ」
「か、可愛い~。あ、あの、私たちのために女神様を召喚していただいたんですか?」
彼女は、目をクリクリとさせて、身を乗り出すように話をする。
「ま、まぁ、そうだね……」
か、可愛いって言われちゃった!
ところが、彼女は、突然うつ向いて目に涙を浮かべた。
あらら……。
「ごめんね。辛かったら無理に話さなくてもいいよ」
やっぱり、思い出しちゃったのかな?
他の女の子たちは、彼女を心配そうに見ている。その子の隣の女の子が、彼女の両肩に手を添えてあげた。すると、彼女は、顔を上げた。
「大丈夫?」
「は、はい。あの、女神様の事を思い出しちゃって、あ、あんなに、救われた気持ちになれるなんて……」
彼女たちを見ると、何人かの女の子も同じ様に目に涙を浮かべている。
そうなんだね。みんな、悲しい記憶を思い出したから泣いたんじゃないんだ……。
でも、彼女たちの中には、まだ恐怖の記憶が押し込められているかもしれない。もしそうだったとしても、今は、その記憶を無理に引っ張り出す必要は無い。
心のケアには、時間を掛けてあげないと……。
僕に、可愛いと言ってくれた少女の目は、涙で潤んでいた。彼女は、その透き通った瞳で僕を見つめる。するとその時、彼女と目が合ってその子の記憶をが入ってきてしまった。そして、そっと目を閉じる。
ーーーー。
あぁ、これは、彼女の記憶だ……。
イメージが瞼の裏に広がる。
とても、薄暗い……。ここは……どこだろう? 家の中?
真っ暗ではなく、ぼんやりと景色は見える。すると、目の前に人が座っているのが分かった。
男だ。誰だろう? 謝ってるの?
その男の後ろにも、誰かが座っているようだ。
小さい人影だな。五人くらいいるかも。子どもかな?
でも、薄暗くて表情が見えない。しかし、目の前の男は泣いているようだ。悔しそうに。そして、”自分”は、覚悟を決めている。”自分”の犠牲は家族の糧だ。そう、思っている。
場面が変わった。
ここは? 祠? 周囲は岩に覆われている。洞窟の祠だ。目の前に台座があって、そこに、丸い石が置かれている。村の神様? でも、何かが存在しているような気配は感じない。ただの丸い石だ。でも、”自分”は、それを神様だと思っている。どうやら、両隣にも人がいるようだ。二人とも女の子。
何してるんだろう?
”自分”の気持ちに意識を向けた。
あ! 神様に操を捧げるって思ってるんだ。そして、ここで……心を捨てるって……そう思ってる。
そして、みんなでお祈りを始めた。
また、場面が変わる。
今度は、激しく揺れる鉄格子の中だ。荷馬車で運ばれている。一緒にお祈りをした三人だ。誰も顔を上げないし、話もしない。首には重い枷が嵌められている。自分の意識はぼんやりとしていて、床から伝わる揺れの痛みは感じるけれど、もう、どうでもいいと思っている。
次の場面だ。
自分は、白装束を身に着けたまま、檻の中で膝を抱えて座っている。他にも、ここに連れてこられた子たちがいて、その子たちも同じようにしていた。
誰かが自分を呼びに来た。抵抗はしない。もう、自分の身体じゃないみたいな感覚だ。それから大きな部屋に連れていかれるとベッドの上に拘束された。その後、痩せた男が入ってきて何かを言っている。けれど、男の言葉は耳に入らない。間もなく”自分”は、この男に妻にされると知っている。
でも、心は村の神様に預けてきたから、この身体は私じゃない……。
「面白いかも!」
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