023-2-4_ 美少女(挿絵あり)
023-2-4_ 美少女
「宿に言ったら湯おけくらい貸してもらえないかな?」
「エリア、湯浴みって言っても大変だよ。お湯なんてもらえないんじゃないかな? それに……」
「お湯なら大丈夫だよ。ほら!」
そう言って両掌を上に向け、右手で小さな水の塊を浮かせ、左手で炎を出してみた。
「す、凄い! わ、分かったよ、ちょっと待ってて!」
ダニールはそう言って部屋を出ると、早速、宿の主人に言って桶を借りて戻ってきた。僕の身体なら何とか納まりそうな大きさの桶だ。
「丁度いいの借りられたんだね。それなら、早速……ウォーターッ!」
掛け声は気分だけどね。
彼の借りてきた桶に水魔法でたっぷりと水をはり、両手を桶に入れて火炎魔法を発動した。すると水はすぐに温まり、ほどよい湯加減になる。
「これでよし、と」
ダニールが目を丸くして言う。
「魔法って本当に便利なんだなぁ、実は僕、エリアと会うまで、魔法は見たことがなかったんだ」
「そうなの? そう言えば、最初の時も驚いてたよね。魔法って、そんなに使う人少ないの?」
「当然じゃないか。魔法が使えるなんてなったら、どこかの国に仕官できるよ。場合によったら王宮付きになれるさ」
「へぇ~ 凄いね」
「君のことだよ!」
「ハハハ……」
そうなのか。そんなに珍しいなら、頻繁に使うと目立っちゃうな。あんまり人前で使わない方がいいのかな? ま、いいか。
「さぁ、準備できたよ……」
そうして、服を脱ごうとした時、ダニールが部屋の外に出て行こうとした。
「どこ行くんだよ? 一緒に身体を拭けばいいじゃないか」
「ダ、ダメだよ! いくら子どもでもエリアは女の子なんだぞ!」
「え? そんなの……」
気にしなくていいよ、と言う前に彼が扉を閉めてしまった。
大人のくせにね。この身体じゃ男も女もないだろうに。まぁ、これでも歳は十八なんだけど……。
仕方ないから、先に湯浴みさせてもらう。
彼が部屋を出た後、服を全部脱いで桶の横で身体を拭いた。
女の子は清潔にしないとね、ふぅ~、サッパリして気持ちいい〜。
身体を綺麗にする魔法はできたけど、やっぱり、こうしてリアルに身体を擦るのは、魔法で綺麗にするのと全然違う。気分までスッキリできて最高!
「あ~、温まるね〜」
最後に桶にしっかりと浸かり、身体を綺麗に吹いた。さっきから気づいていたけど、部屋には半身大の鏡があるのだ。
ようやく、自分の顔が見れる!
鏡の前に椅子を移動して、その上に立った。
どれどれ……。
まじまじと自分の姿を見る。
マ、マジか……。
息を呑む。
ホ、ホント、き、綺麗な顔……でも……。
何だろう、はしゃぐ様な気持ちにはならない。確かに、見たこともないような美少女だ。けれど、何て言うのか、可愛いくてキュンキュン、という感じでは決してない。
う〜ん、ちょっとシャープな感じ?
そうして、一つ一つのパーツをじっくりと見ていった。
瞳は水色で、よく見ると虹彩の中にキラキラとした星のような小さな光がある。
「銀河のようだな」
髪の毛は鮮やかなシルバーだけど、角度によって濃淡に違いがあるようにも見える。
「メタリックな感じだね」
艶があって、長さはやっぱり背中まで伸びている。
「顔は……」
……目は切れ長だ。眉毛もきりっとしていて、澄ますと凛とした表情になる。目を座らせるとシャープさが増して、ちょっと親近感が感じられないような顔になる。そして、鼻はスッと通っていて、唇は薄めで小さい。
「そうか分かった。そうなんだよ。この顔は美少女なんだけど、凛としていて、澄ましてるとどこか孤独な感じ? そう、子どもの愛くるしい雰囲気が無いんだよね……自分で言うのもなんだけど……」
……とても、神秘的なオーラがあって……決して、ぞんざいに扱っては、いけない……。
そんな風に思えてしまう。
それにこの身体……。
鏡には全身が映っている。
「こ、これが……女の子なんだね」
頭の上から足元まで、ゆっくりと目線を撫でおろしていく。そして、最後に、もう一度、首元のところで止めた。
トラウマの首輪……。
そこに、そっと右手を添える。
「自分への……呪いか……」
何も身につけていない身体に、首輪だけが銀色に鈍い輝きを放っている。
自然と、言葉に出てしまった。
「……愛しい……」
ヤバっ! 自分の身体なのに……。
次の瞬間、胸のあたりが熱くなり思わず肩を抱く。
すると、お腹の下の方でクリトリアの種の殻が弾けたような気がした。
「あっ!? もしかして……」
種に意識を集中しイメージすると、やはり変化していた。種の殻にはひびが入り、その奥に緑色の若葉がほんの少し顔を覗かせていた。
「種が発芽する! どうして……」
ところが、そう思った途端に裸でいることがとても恥ずかしくなってしまった。
「ダニールが入ってきたら大変だ! 早く服を着よう」
それにしても、これだけの美少女なのによく売れ残ったものだよ。ダニールには僕がどんな風に見えてるのかな? 後で聞いてみるか。
湯あみを終えて、ダニールと交替した。彼に、「背中拭いてあげようか?」って言うと、マジで拒否られてしまった。
「冗談だよ、子どもだな」
ダニールは、身体を拭き終わった後、宿の食堂で夕食をとろうと言ってくれた。
「ヤッター!」
もう、お腹ペコペコ!
そうして、早速、下の食堂に向かった。
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う〜ん、自分で言うのもなんだけど、シャープな感じ?
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