197-9-24_イリハとラヒナと妖精と精霊
「水の精霊様に、雷と雨の精霊様? エリア様、凄〜い」
ラヒナは、手をお祈りのように組んで目を輝かせた。
「ホントにエリアって何者? 一体どうやったらそんな精霊様と知り合いになれるのよ? それに、ウィンディーネ様って居なくなったんじゃなかったっけ?」
「ま、まぁ、色々とあるみたいだけど、もう、戻ったみたいだから」
「ふ〜ん」
そう言って、イリハは引き続き顎に手を当てて覗くように、精霊たちを交互に見つめる。そして、ローラ夫人は、イリハの隣に立ち、優しく微笑むと、屋敷の者を紹介した。
「水の精霊様、そして、雷と雨の精霊様。ようこそお越しくださいました。私は、この館の主人の妻、ローラでございます。そして、娘のイリハ。それから、ローズ男爵様のお嬢様、ラヒナさん。後ろに控えておりますのは、メイドのアリサです。それから……」
ローラ夫人は、エイルの方を見た。
「エインセルのエイルよ。分からないことがあったら、この優秀な妖精に聞くことね」
ウィンデイーネの右眉がビクッと動いた。そして、エイルに続き、ウィルも挨拶した。
「ウィンデイーネ様。お久しぶりね。私の事、知らないかもしれないけど」
すると、ウィンデイーネが前に進み出てきた。
「覚えているわ。でも、何だか偉そうになったみたいね。以前のあなたは、もっと、オドオドしてたでしょ?」
「ええ、確かにそうだったわ。でも、エリア様に力を貰ったのよ。もう、ウィンデイーネ様の眷属じゃないしね」
ウィンデイーネは、ムッとした顔をしているけれど、何とか言葉を抑えたみたいだ。その話題を引きずれば、自分が一方的に眷属契約を解除した事を責められると思っているのだろう。
「ストップ! あなたたちは、もう少し、言葉に配慮しなさい。そんなんじゃ、また、喧嘩になるでしょ……」
すると、ラーシャが、小さな声で言った。
「みんな、友達。ラーシャ、友達、大好き」
「ほら、ラーシャを見なさい。偉いねラーシャは」
そう言うと、ウィンデイーネとウィルが、頬を膨らませて横を向いた。
ホントに……。
しかし、イリハが胸の前で両手をグーに握り、いきなり元気な声を出した!
「み、水の精霊様とお話がしたいっ!」
それを聞いて、ウィンデイーネは、また、後ろに隠れてしまった。
「ウィンデイーネ、ほら、イリハが、ああ言ってるんだから!」
すると、ラヒナが笑顔になって言った。
「ねえねえ、イリハちゃん、ウィンデイーネ様とラーシャ様、それから、エイルにウィルちゃんも、みんなで、お話ししようよ。エリア様、いいでしょ?」
「もちろんよ」
「それなら、みんなでダイニングに参りましょう。丁度、午後のおやつの準備が出来た頃でしょう」
ローラ夫人が両手を合わせて、楽しそうに言った。
「ヤッター!」
イリハが大喜びだ。ウィンデイーネは、私の右足にしがみついているけれど、イリハたちと友達になりたいに決まっている。
さっきから、ずっとイリハやラヒナの顔を見てるもんね。
それに比べて、ラーシャは大人しい。少し、イリハとラヒナに引っ張ってもらうくらいがいいかもしれない。ローラ夫人は、アリサに視線を向けると、アリサは、お辞儀をし、みんなをダイニングへと案内した。
ダイニングルームに入ると、紅茶の香りと、焼き菓子のバターの匂いがしてとろけそうになる。
もう、お腹が鳴りそう! そう言えば、イニシエーション中は、何にも食べてなかった! あぁ、お腹減っちゃった〜。でも、そろそろ、ローズ男爵領に行かないといけない時間ね……。紅茶をいただいたら、もう出発しないと。
そう考えていた時、サリィが、蒸しタオルを持ってきてくれた。彼女は、それを渡してくれる時に、小声で囁くように言った。
「エ、エリア様。お、お帰りなさい。あ、あの、エリア様の、し、下着、お部屋のベッドに、お、置いてます」
「ホント! 出来たのね! 楽しみ〜、ありがとう、サリィ!」
「い、いえ」
サリィはそう言って、蒸しタオルを配る作業に戻った。その後、楽しい午後のティータイムが始まり、イリハとラヒナが、精霊たちと楽しそうに話し始めた。
喧嘩になりそうな雰囲気はなさそうね。
ウィンデイーネも、イリハやラヒナと会話をしていた。
どうやら慣れてきたのね、良かった。
特に、イリハは、ウィンデイーネに強く興味を抱いている。彼女は、ウィンディーネにあれこれと質問していた。イリハは、もともと、ウィンデイーネのイニシエーションを受けたいと考えていたから、彼女にとっては、一番、出会いたかった精霊なのだ。彼女の魔法適性を考えると、水魔法の魔法使いにはなれないだろうけど、それでも、たくさん聞きたい事があるんだと思う。
一方、ラーシャは、リアルな会話がたどたどしく、苦手そうだ。それを見て、ラヒナが気を利かせ、ラーシャに、あれこれと話をしてあげていた。ラーシャは、あまり表情が表に出ないけれど、人一倍、友達が欲しいと思っている。さっきから、心なしかラーシャの頭が左右に揺れているのだ。
嬉しい時のラーシャだね。
エイルは、ラヒナの肩に止まって、ラヒナとラーシャの会話に入っていた。ウィルも、ウィンデイーネとイリハの会話に加わり、たまに、笑っていた。
みんな、楽しそうで良かった。
じゃぁ、ぼちぼち、お腹も膨れちゃったし、一仕事やってきますか!
そうして、エイルに声をかけた。
「ねぇ、エイル。王都と連絡は取れるの?」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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