196-9-23_水の精霊と雷の精霊
その時、ラーシャが話しかけてきた。
「女神、外に出たい!」
「ラーシャ、ちょっと待ってね、ちゃんとみんなに紹介するから」
「何よ、いいじゃない! 私も外に出るわ! この子たちの喧嘩は、私に任せて!」
「女神、出る」
二人がそう言った。
みんな、驚いちゃうけど、まぁ、いいか。
そして、青い光の粒と黄色い光の粒がピアスから飛び出した。一方の精霊は、フリルのいっぱい着いた丈の長い白のドレスに、頭にはティアラを乗せた格好をし、ウェイブのある青い髪を背中まで伸ばしたブルーの瞳の少女、四大元素、水の精霊ウィンデイーネだ。彼女は私の前に堂々と現れた。そして、もう一方の精霊は、寒いのにノースリーブのワンピース姿で、真っ白い髪をミディアムに伸ばし、真っ赤な瞳と額の上の可愛いグレーの角をはやしている少女。雷と雨の精霊、ラーシャだ。彼女は私の左隣で少し隠れる様に姿を現した。
突然現れた光に、みんなが注目する。
「あらっ! 可愛い妖精さんたち!」
ローラ夫人が、両手を頬に添える様にして驚いた。アリサも、目を見開いている。すると、ウィンデイーネは、腰に手をやり遠慮のない口調で言った。
「妖精じゃないわっ! 精霊よ!」
何だか、ウィンデイーネの態度がでかい。
「そ、そうですか? これは、失礼いたしました」
ローラ夫人が、恐縮して苦笑いを浮かべた。
「いいのよ。ところで……」
そう言って、ウィンデイーネは、エイルとウィルの方に向き直る。
「うっ! 水の精霊っ!?」
「ウィ、ウィンデイーネ様!っ?」
エイルとウィルは、ウィンデイーネに気圧されたのかして、二人とも少し身を後ろに引いた。
「あなたたち……」
ウィンデイーネは、彼女たちに向かって、たしなめるように言った。
「……喧嘩なんて、みっともないからやめなさいっ! 妖精同士仲良くするのよ。私に免じて、お互い、水に流しなさいっ! 水の精霊の仲裁だけに、クククッ!」
そう言って、ウィンデイーネは、肩を揺らして笑った。
な、何、今の? ダジャレ? 笑いを取ろうとしたの? 全然面白くないんだけど! しかも、自分だけウケちゃって。
一瞬、場の空気が固まった。しかし、その空気を察してか、ラヒナが、作り笑いする様に、無理に笑って言った。
「ハハハ。お、面白いですねー。ね、イリハちゃんもそう思うでしょ?」
「え? あ? アハハー、そ、そうそう。お、面白いよね、今の……」
イリハもそう言って、歪な笑い顔になった。彼女はウィンディーネをガン見している。ウィンデーネは、そこで、ハッ、っとなって、慌てて私の後ろに隠れてしまった。
何? どうしたの?
イリハが、ラヒナと手を繋ぎ、姿勢を低くして覗くようなそぶりを見せる。
「エリア。その精霊さんティアラをつけてるわ。ウィンディーネ様ってホント?」
ラヒナも、自分の顎をつまみ、じっとウィンディーネを見つめる。すると、ウィンデーネは、その視線に耐えかねたのか、青い光の粒になり、ピアスに戻ってしまった。ラーシャは、私のワンピースの裾を持ち、キョトンとした顔で、イリハとラヒナを見ている。
「そうよ。四大元素、水の精霊よ」
イリハに答えつつ、ウィンデーネと念話で会話する。
「何、隠れちゃってるのよ?」
そう言うと、ウィンデーネが言った。
「だ、だって、人間の子と話したこと無いんだからっ!」
「だから何?」
「ど、どうやって、話せばいいのか分からないのよっ!」
「普通に話せばいいだけじゃない?」
「……は、恥ずかしいもんっ!」
人見知りかっ!
すると、ラヒナが、残念そうに言った。
「水の精霊様、いなくなっちゃったね」
「人見知りしてるのよ。水の精霊って言っても、まだ、お子ちゃまね」
エイルがラヒナの肩に止まり、腕組して言い放つ。
「仕方ないわ。実際、ウィンデーネ様は子どもなんだから」
ウィルも、同じように腕組みして言った。ウィンデーネは、その言葉に直ぐ反応する。
「何、あの妖精たちっ! 私に喧嘩売ってんの!」
「今、喧嘩しちゃダメって言ったばっかりでしょ!」
「そうだけど……」
まったく……。
さっきは、ダジャレが言いたかっただけでしょ、ホントにっ!
「イリハとラヒナを紹介してあげるから、出てきなさいよ。でも、エイルとウィルとも仲良くしてよね!」
「もうっ! 分かったわよ!」
ウィンディーネはそう言うと、改めて、実体化した。今度は私の右隣に、ラーシャと同じように遠慮勝ちな態度をしている。
「ローラ夫人に、イリハとラヒナ。そして、アリサ。それから、エイルとウィルも、改めて紹介するわね。こちら、水の精霊ウィンディーネ。そして、こっちが、雷と雨の精霊、ラーシャよ」
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
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