171-8-38_聖水婚の秘密(挿絵あり)
「えっ?」
「素敵なキスをいただいて、うれしいわ」
「え~~~~~~っ!?」
う、嘘っ!? め、女神像が、しゃ、しゃべったっ!?
驚き過ぎて、わなわなと震える。
「ごめんなさいね、あなたを試すようなことしちゃって」
ゴクリと息を飲んだ。すると、突然、女神像が、眩く銀色に光り始めたっ! 光は、一瞬、大きくなり、中心のひと際強い光が人間の形に変わり、その光がドーム内を明るく照らし出すっ!
「め、女神像が、ひ、人に……!」
女神像が立っていた場所に、女神とは全く雰囲気の違う美しい女性が、銀色の光を放って立っている。彼女は、優しい笑顔でこちらを見下ろした。
「ど、どちらの、女神様……?」
「フフフッ」
そ、その笑顔、見とれちゃいそう……。
優しく見つめるその女性は、コバルトブルーの瞳の中に、銀色の粒が煌めいていて、目と目を合わせると、吸い込まれそうな感覚になる。彼女の髪の色は水色でウェーブがかかり、背中まで長く、髪の毛もぼんやりと輝いていた。さらに、女性は、透き通った白い肌に少し細身の身体をしていて、ゆったりとした薄い生地の白いドレープを身に纏っていた。
頭にティアラを着けているって事は、やっぱり……。
顔の雰囲気からすると、アクアディアさんに似ている。
「さぁ、エリアさん」
女性が手を差し伸べた。
「あっ、は、はいっ!」
差し出された手をつかむと、その手には柔らかい皮膚の反発があった。そして、その手を取って、立ち上がる。
「あ、あの……」
「フフフッ。私の事、アクアディアって思っているようね。それは、間違いではありませんが、正解でもありません。あの子は、わたくしの一部であり、アクアディアーナの管理者なのですから」
女性は、ゆったりとした話し方をする。
「そ、それじゃぁ……」
「ええ、わたくしは、四大元素、水の精霊の主たる意識なのです」
み、水の……精霊の……主たる意識? こ、この女性が……水の精霊?
「あ、あの……」
聞きたいことが、一杯ある、はずだった。それなのに、何にも、思い浮かばない……。
き、緊張する~。
やはり、存在のあり様が他の精霊と、もの凄く異なっていて、とても神々しい感じだ。アクアディアさんも同じように神々しい気を纏っていたけれど、この女性は、ふんわりと軽い存在感で、より実態が薄い感じがする。それに、見た目は、人間の女性だけど、ぼんやりと銀色の光を放っていて、そのまま光になって消えてしまいそう
だ。
それにしても、なんて儚げなんだろう……。あ、あれ? な、涙が出ちゃってる。
彼女の慈愛に満ちたエネルギーに包まれ、圧倒される。
せ、精霊様……。
思わず、跪こうとしてしまった。すると、水の精霊は、サッと肩を支えて、立つように促した。
「エリアさんは女神様ですよ。ほらっ」
立ち上がると、彼女に引き寄せられ、そっと抱きしめてくれた。
「本当にごめんなさいね。エリアさん、とっても健気で献身的だったから、声を掛けるのが、もったいなくなってしまったの。でも、あなたの頑張りは、ずっと見ていましたよ」
「あぁっ……うううっ」
胸に何かが、込み上げてくる……。
「本当に、良くやりました……」
思わず、手で顔を覆った。
声を出して、泣き出しそう……。ヤバい。
水の精霊の声は、耳にも聞こえるけれど、頭の中に、直接、響いてくるようにも伝わってくる。
「あなたは、この場所に辿り着くという最後の試練を達成致しました。これで、後は儀式を行うだけです。ただ、あなたは……」
うん、うん、うん……うううっ……グスッ。
頷くしかできない。涙も流れてくる。
ううっ……。
精霊は、何かを言いかけていたようだけれど、話の先は言わずに、その代わり、優しい眼差しをくれた。
「……気持ちが張り詰めていたのね。フフフッ」
「ううう……グスッ……んんん~……グスッ」
彼女は、急かすことも無く、ただ、頭を優しく撫でてくれたーーーー。
しばらくの間、水の精霊の胸で泣いてしまった。
いい匂い……グスッ……。い、癒される……グスッ……。
息が整い、ようやく、落ち着くことが出来たけれど、さっきは、精霊を見た途端に、気持ちが、一気に緩んでしまって、抑えられない感情が溢れてしまった。
何で、女の子って、こんなに泣きたくなっちゃうんだろう? 感情が昂ると、涙が出てきてしまうのかな? 前世では、そんなに泣いた記憶は無いのに……。でも、涙を流すと、気分がスッキリする。
少しは、女の子らしくなったのかな?
「ふぅ~」
でも、ちゃんとしなきゃ。
「あ、ありがとう……ございます」
泣き顔のまま、笑顔を向けた。すると、水の精霊は、顔を覗き込んできた。
「良かったわ。少し、落ち着いたようですね。もう大丈夫かしら?」
「は、はい……」
そして、精霊は、左頬にキスをくれると、目を細めてニッコリと笑った。
はぁ~。
水の精霊の笑顔は癒しのパワーが凄い。もう、身体から力が抜け切って、自分の心が柔らかくなっていくのが分かるほどだ。
精霊は、目の前に杯を差し出して言った。
「では、最後の仕上げよ。イニシエーションの目的、聖水婚の儀をやっちゃいましょう。この杯を手に取って下さい」
「はい」
水の精霊が、杯を持たせてくれた。さっき、女神像が持っていたものだ。
「この杯は、あなたが考えた通り、エリアさんの子宮の象徴なのです。先ほどの女神像のようにして、光の雫を、この杯に受け入れて下さい……」
精霊は、そう言って天井を見上げた。すると、大きな円錐の岩の先端が、これまでに無く、一際、強く輝きを放ち始める。
「今、あなたは、純粋な存在であり無垢な身体です。その状態こそが、聖水婚の儀に相応しい姿なのですよ。あなたは、自らの子宮に、初めて、かつ、無条件に、未知のエネルギーである光の雫を受け入れ、それを宿らせるのです。これが、あなたにとっての受動の学び。そうする事で、あなたの女性性の成長が促され、その輝きを増すとともに、この先に、あなたの前に訪れるであろう様々な受動の試練にも、耐えうる事が出来るでしょう……」
私のお腹に、水の精霊のエネルギーを宿らせる……。
おへその下に手を当てた。
この中に、受け入れるんだ。そうすれば、この先の受動の試練に耐えられる。でも、この先の試練って……? これからも、まだまだ、大変な事が待っているって事?
水の精霊は、背中の方から肩を抱いてくれると、天井の磐座を差して言った。
「頑張った子には、水の精霊のギフトがありますよ。さぁ」
彼女にエスコートされ、さっきまでこの場所にあった女神像と同じ姿勢になった。杯を両手に持ち、顔より上に掲げ、右足を前に出して体重を支える。そして、背中を反り気味にし、左足は後ろでつま先立ちになった。
「あら~、キュートなお尻。頬ずりしたくなっちゃうわね。フフッ。エリアさん、とても可愛いですよ」
は、恥ずかしい。
何処も隠していない姿を、見られている。そう思うと、お腹の下が、熱くなってきそう。
もぅ! ダメ! 集中しなきゃ!
お腹を凹めて、一旦、空気を吐いた。そして、ゆっくりと息を吸い込む。
それにしても、やっとここまで辿り着いた。いろいろあったけど、何とか頑張ることが出来て、ホント、良かった。後は、あの光をこの杯で受けるだけだ。そしたら、きっと、女神像みたいにお腹が温かくなって、それで聖水婚の儀が終わる。
「もうすぐですよ!」
精霊がそう言うと、光が揺らめいた!
落ちてくるっ!
杯を動かさないように。でも、結構、疲れる体勢だ。そして、光の雫が、岩から滴り落ちたっ!
あっ! 入って、お願いっ!
明るく輝く青白い光は、そのまま真っ直ぐに落ちて、杯に入ったっ! そして、光が弾け飛ぶっ!
わぁーっ! ま、眩しいっ!
一瞬、目を閉じる。
しかし、それと同時に……。
ん? ひゃぁっ! う〜〜〜〜、な、何、今の? お、お腹の下から、何か入ったみたいっ!
ちょっと……。
ん〜〜〜〜ん。
あ〜、何だこれ〜? ヤバいっ!
い、痛くは無いんだけど……ほ、ほんの少しだけ、い、異物感……。あの、アスモさんに触られたところより、もっと奥の方だ……。
そ、それに、お腹が、光ってる〜。くぅ〜。あ〜、ホント、ヤバい! どうしよう。ジンジンしちゃうよ。
い、息が、荒くなって、お、お腹に力が入ってしまう。それに、下半身がモゾモゾと動いてしまいそうだ。
ふぅ〜。何とかやり過ごさないと……。で、でも、ダメっ! もう、立ってられないっ!
床に崩れ落ちた。
うんんんっ!
杯を抱えたまま、何とか、片手で上半身を支えている。
ああっ、でももう、我慢できないっ! どうしよう! こ、この感じ……ううっ……段々……何かが、弾けそうっ!
ううっ! んんんっ!
何か来るっ!
来ちゃう!?
ヤバい~〜〜〜〜〜〜。
ーーーー
こ、この女性が……水の精霊?
AI生成画像
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