154-8-21_家出迷子の猫娘(挿絵あり)
二人の猫娘たちは、ホントに可愛い。姉の方はアムよりは少し年上に見える。髪は肩までの長さで、色は濃い茶色にオレンジ色のメッシュが入っている。瞳は黒く大きくて、唇は小さく、大人しい印象だ。服装は、ベージュの長袖シャツに、こげ茶のベスト。そして、膝上丈の、こちらもこげ茶色のフレアースカートを履いていた。妹のシャルの髪は、濃いグレーでボブにしてある。彼女の瞳も姉と同じ黒色だ。彼女は、子どもの時の私と同じくらいかもしれない。シャルは、ブルーのワンピースに膝までの黒のレギンスを履いていた。どうも、妹の方が活発な印象だ。そして、二人とも、可愛い猫耳に長い尻尾がある。
アムと違って、戦士では無さそうね。でも、あの、くねくね動く尻尾、触りたいっ! それにしても、この二人、あの獣人の郷から来たんだわ。
「ソマリにシャルね。可愛い名前ね。ところで、ソマリとシャルは、どうして奴隷狩りに遭っちゃったのかな?」
「はい。実は、私たち、一週間ほど前にレピ湖の近くで、人間に捕まっちゃって……」
彼女によると、猫族の女の子たちは、十五歳になるまで郷を出ることが許されていないらしい。しかし、十日ほど前、妹のシャルが郷を勝手に飛び出してしまったそうだ。姉のソマリは、その事に直ぐに気付いて、慌ててシャルの後を追いかけたのだった。
家出少女かっ!
ところが、レピ湖のほとりでシャルを見つけたのは良かったけれど、怖いもの知らずのシャルは、そこにいた人間に近づいて行った。ソマリは驚いて、自分も飛び出してしまったらしい。
「……人間たちは、何かを船に移して運んでいるようでした。魔石がどうとか……」
そして、彼女たちは、あっけなく捕まってしまい、途中でクロック人に引き渡されたようだ。
魔石か……。
きっと、人間たちは、レピ湖に黒い魔石を捨てていたのだろう。この子たちは、そこに、運悪く出くわしてしまった。人間たちは、見られてはいけない場面を彼女たちに見られ、口封じのために攫ったのだ。それなら、直ぐに殺されないだけでも運が良かったと言うべきか。若しくは、獣人は奴隷としても価値が高いということかもしれない。
なるほど、ここが、何処なのか分からないけれど、レピ湖と地続きなのは確かだ。そして、この子たちは、クロック人たちに引き渡されたことで、ここにやって来ることになったということね……。
「あ、あの、乙女戦士様。おばあちゃんも、みなさんも、優しくしてくれました。外に出ると危険だから、逃げる方法が見つかるまで、もう少しここにいなさいって、必ず逃がしてあげるからって言ってくれて……。でも、さっき、シャルが、突然、家に帰るって飛び出して行っちゃったんです」
「へぇ~、そうなんだ。シャルは飛び出しちゃってばっかりだね。慌てん坊さんなの? フフッ」
すると、シャルが言った。
「だって、白虎様が言ったんだもん。女神様がレピ湖にいるよって。だから、女神様に会いたいなって思っちゃって……。でも、さっきは、早くおうちに帰りたくなったの」
レピ湖に現れた女神様? 私の事か……。とすると、シャルの家出の原因って……私? ハハハ。ちょっと、冷や汗。
「いい加減にしてよね。シャル」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「えっ?」
「えっ?」
うっ! 思わず口に出ちゃった!
「私が、お姉ちゃんに怒られたんだよ?」
「そ、そうね。間違っちゃった! ハハハ」
何と間違ったんだか。慌てん坊は、私の方だ。
シャルは、改めてソマリに睨まれると、耳をペコリと垂れさせた。それにしても、またまた気になる存在。
「ソマリ。白虎様って、あなたたちの守護精霊様でしょ?」
「はい。白虎様は私たちの郷を守る精霊様です」
「そっか。あなたたちは、精霊様の強い加護に守られているようね」
白虎か。どんな精霊なんだろう? でも、この子たちの話からすると、ウェンネとかいう族長の言ったことも本当かもしれない。
会話が一瞬途切れると、クータムは腫れあがった瞼の奥からこちらを見て言った。
「ヘヘヘッ。俺たちゃヨ、運び屋のカメを探してたんだがヨ、いいところに来てくれたんで、捕まえることにしたんだが、ヘヘッ、お嬢ちゃん、あんたが一緒にいたもんだから、ちょっと、迷っちまった」
「迷ったって、何をよ」
「そ、そりゃ決まってるぜ、あんたくらいの上玉なら、奴らだって重宝するだろうさ。だからヨ、あんたをとっ捕まえて奴らに差し出しゃ、皆殺しは免れるんじゃねぇかってヨ……」
やっぱり、私を奴隷にしようとしたんだ。
「……で、でもヨ、あんまりいい女過ぎて、奴らに渡すのが惜しくなっちまった。ヘヘッ」
「ちょっと、どういう事? 一族が皆殺しになってもいいから、私を自分のものにしようとしたの?」
「あんたを選んだのさ。ヘヘッ!」
「馬鹿じゃないのっ!」
私のせいみたいに言わないでほしいわっ!
でも、認めたくないけど、ほんのちょっぴり、気分がいいかもしれない。不謹慎だけど、これだけの数の命を天秤にかけて、私の事を選ぼうとした……それも、わずか一夜だけのために、自分の命を捨ててまでして……。
なんてね。無い無い。この男は、刹那的で無責任なだけだ。
「……でも、残念ながら、私、男に興味ないの」
ーーーー
ソマリ
シャル
「面白いかも!」
「続きが気になるぞ!」
「この後どうなるのっ……!」
と思ったら
下の ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願い申し上げます。
面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に励みになります。
重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。




