死屍を食う男 1
タイトルから察するに苦手そうな方は避けた方がいいかもしれません。
序盤にチョイスする作品ではなかったとも思いますが、作品の進行に響いてくる場所には置けないと思ったのでこの場所に置かせていただきました。
でもできれば読んでくれたら、と思います。
ゆっくりと視界が真っ暗になっていって、暗闇の中でナーシャの愛らしい声だけが聞こえてくる。
「いろいろなことを知らない方がいい、そう思うことがあなたにもあるでしょ? 朝の占いとか、別にそれほど気にするわけではないにしたって、十二位だと言われるとあまりいい気はしないものね。気を付けないとならないと言われたら、普段より注意深くなってしまうようなこともあるわ」
「何の話?」
「そういえば、こういう噂があるのよ。すぐそこの家の屋根から、毎晩、人魂が飛ぶの。そういうのには興味がある? あなたも見たいとは思わないかしら?」
何も見えないものだから、すぐそこの家というのがどこのことだかはわからない。しかし全く信じていないこともあり、心霊系の話は得意な方だった。加えて、実際に肝試しに行くほどの熱意はないが、テレビ番組や映画などでの心霊特集、心霊作品というのは好きな方だ。
「子どもや臆病な人はその近くを通らないわ。ふふっ、知らない方がいいこともあると最初に言ったでしょ? 見てしまったために、知ってしまったために、命を落としてしまうこともあるそうなのよ」
ナーシャの元々の声色のせいで何も怖くはなかったけれど、よくある心霊映画の前振りのような語りを彼女は披露してくれた。
それから少しずつ目が見えるようになってきて、気付いたら俺は学校の前に立っているようだった。といっても俺が通っている高校ではなく、全く知らない学校である。かなり広いように見えるけれど、門には中学校と書いてあるので、たぶんかなり規模の大きい私立の学校なのだろう。俺がいるのは山の中であって、これだけの田舎に建っているのだから、公立だったら人数がそれほどいるはずがない。それにしても広い、何かスポーツの強豪校なのだろうか。
「どうにもあなたがつまらないそうだから、最初はあんまり意地悪せずに、面白いことを経験させてあげようと思ってここに来たのよ。心霊話、お好きなようでよかったわ」
「わぁっ!」
誰もいないと思っていたので、すぐ隣からナーシャの明るい声が聞こえてきて、思わず声を出して仰け反って驚いてしまった。
「あら、随分早い段階からびくびくしてくれているのね。これからが心配になってきたわ」
「じわじわとくるような心霊は平気だけど、いきなりくるような心霊は確かに驚くわ。でも驚くってだけで怖がりはしないぞ?」
「そ。それならいいんだけど」
いかにも意味深長な含み笑いで、ナーシャは俺のことを見ていた。




