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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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マリア(8)

ダミアン様に気持ちを告げる事が出来ないまま辺境に戻った。


「リカルド、ラファはウルタードに連れて帰るから」

「……そうなると思っていたよ」

「リィ、ごめんね」


私は辺境での兄様を知らない。でも、きっと愛すべき場所なのだろう。


「おじ様、また遊びに来ていい?」

「もちろん。何時でもおいで。ラファもね」

「ありがとう」


さよならじゃないよ。何時でも会える。

そんな思いは届いただろうか。


「ラファエル様、もっと早くに解放してあげられなくてごめんなさい」

「イメルダのせいじゃないよ。自分で決めたことだ。結局覆しちゃったけどね。体調は大丈夫?」

「ええ、心配してくれてありがとう。でも本当はホッとしているの。お父様には申し訳ないけれど、王妃になりたいとは思っていなかったから。ダメね、辺境が居心地良すぎたわ」

「そうだね。僕もここが大好きだよ」

「ここも貴方の家よ。いつでも帰ってきて」

「ありがとう。イメルダも元気で」


思っていたよりも二人の別れはあっさりとしていた。私が知らなかっただけで、兄様の恋はとっくに終わっていたみたい。

思い込みって駄目ね。知らないことだらけだわ。




「おかえりなさい」

「ただいま、お母様っ!」


なんだかとても長い間旅をしていた気分。


「ラファもお帰り。帰って来てくれて嬉しいわ」

「ただいま」

「おや、私は忘れられているのかな?」

「おかえり、皆を守ってくれてありがとう!」

「うん、ただいま」


それから、久しぶりに家族みんなでの食事になった。


「ラファ兄が帰ってきたなら俺は家を継がなくてもいいってこと?」


リヒトが目をキラキラさせながら質問してくる。


「どうなるかは分からないけど、貴方はちゃんと学園に通いなさいよ!これ以上サボったら研究所は立入禁止にしますからね」

「えー、だってつまらないんだよ。友達とも話が合わないし」

「あのねぇ。好きなことがあるのはとてもいいことよ。でもね、それだけじゃ駄目。人間なんて一人では生きられないの。たくさんの人の支えがあって生活できるのよ?人との関わりを面倒がらないで。

他人といてつまらないっていうなら、それは貴方の心が貧しくてつまらない人間だということよ。相手を掴めずにどうやって治療するつもり?」

「……お母様。俺の心がかなり傷付いたんだけど。俺ってつまらない人間?」

「そうならないでねってこと。貴方は患者さんをつまらない人間だと見下しながら治療をするつもり?そんな人には怖くて自分を任せられないでしょう。

治療するには傷口だけじゃなく、その人をしっかり見て治療しなきゃね」


お母様はやっぱり格好良い。好きだなぁ。


「お母様、あとで私の内緒のお話を聞いてくださいますか?」

「もちろんよ。お母様だけでいいの?」

「……女同士のお話だもん」


そんな内緒話をこそこそと。だって自分の気持ちが決めきれない。ズルいかもしれないけれど、お母様に聞いてほしい。


食事の後、お母様と二人きりにしてもらった。


「何だかエルディアに行く前より大人っぽくなったわね」

「そんなに日にちは経っていませんよ?」

「変わるときなんてね、一瞬だったりするのよ。だって心のことだもの」

「……あのね、お母様。私、ダミアン様が理想の人みたいなの」

「そっか」

「でも、お母様達やお兄様みたいな恋じゃないから、よく分からなくて」


皆んなみたいにもっとドラマチックな恋なら分かりやすかったわ。


「娘にそう言われると少し恥ずかしいわね。でもね、私達だって普通の恋よ?あなたは考え過ぎだと思うけど。

んー、と。じゃあ、想像してみて。ダミアン様が他の人と結婚して子供を作って貴方とは疎遠になる。平気?」

「……疎遠になるの?」

「だって結婚したら妻を一番大切にしなきゃ。他の女性と仲良くなんて出来ないわ。奥様に失礼でしょう?

だから、あなたの事はただの男爵家令嬢として扱い、今みたいに我が家に遊びに来ることも無くなる。あなたに優しくすることも、お話することも控えるでしょう。要らぬ誤解をうまないためにね。それがお互いの為ですもの」


そこまで考えていなかった。プロポーズを断っても今まで通りの関係でいられると……


「ごめんね、意地悪し過ぎたわ。泣かないで」


だって辛かった。素っ気ない態度のダミアン様を想像したら悲しくて涙が止まらない。


「でもね、そろそろ期限ぎりぎりなの。ダミアン様はもう17歳。婚約者を決める時期だわ。本当は遅いくらいよ」


そうね。だって第一王子殿下は15歳で婚約されていた。


「私は貴方に後悔せず、幸せになってほしい」

「……本当に私でもいいのかしら」

「爵位のこと?」

「……色々全部」

「それを決めるのはあなたではなくダミアン様ね。そして、すでに国王陛下には許されているのでしょう?あとはあなたが覚悟を決めるだけよ」

「……覚悟……」

「それに、十分ドラマチックじゃない?王子様に見初められて結ばれる男爵令嬢なんて!」


何ということだろう。これも気付かなかった。


「ふふっ、本当に特別なことではないのね」

「でしょう?普通の恋で、でも特別な恋よ」

「……ダミアン様にお断りしてしまったの。まだ間に合うかしら」

「女は度胸、こっちからプロポーズしちゃえばいいのよ!」

「……お母様のソレ、私には難しいの」


でもそうね。ダミアン様は何度も好きだと言ってくれた。私だって勇気を出さなきゃ。


「ありがとう、頑張ってみます」

「応援しているわ。王宮に行くならお父様にお願いしましょう。ラファエルの件もあるし。どちらにどの爵位を渡すか決めないとね」


あら?リヒトは本当に継がないのかな。


「……リヒトはミゲル2号だから、ずいぶん前から諦めてるわ」


知らなかった。でも確かに無理そう。


ダミアン様に告白する。緊張して今日も眠れなくなりそうだわ。






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