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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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マリア(4)

何とも言えない空気が馬車の中を漂う。

普段は良く喋るお父様もダミアン様も何故か無言だ。


……つらい。我慢大会かしら。


チラリとラファエル兄様に目をやる。


窓から外を眺める横顔は、別れた時よりも精悍さが増した。体も背が伸びただけではなく厚みも──


……嫌だわ。これでは痴女みたいだわ。


でもだってお話してくれないから、兄様が知らない男の人みたいなのだもの。やっぱり……もう、私の兄様じゃないのかな。お父様は息子だって言っていたのに。


──あ


やっと目が合った。


私の視線に気が付いたのだろう。兄様が私を見ている。


「マリアはとても綺麗になったね」

「……ありがとう。兄様も素敵になったわよ?」


何だかおかしな会話ね。でも優しい話し方は変わらない。

聞くなら今かな。でも、お父様の前で?でもでも、ここで聞いちゃえばお父様からのお仕置きも無くなるかも。……いえ、逆にお仕置きされちゃう?


女は度胸よ。お母様がそう言っていた!


「兄様は私が嫌いになったのですか!」


車内なのに、つい大きな声で聞いてしまった。皆が驚いた顔をしている。……間違えたわ。やっぱり私にお母様方式は向かないのよ。知っていたはずなのに!

恥ずかし過ぎて俯いてしまう。


「え、どうして?!大好きだよ、当たり前だろう?!」


兄様が信じられないと言わんばかりに叫び返して来た。

そうなの?お父様の前だから取り繕ってるわけじゃなく?


「……だって……兄様はアッサリと帰っちゃうのだもの。お手紙だって上辺だけのお手紙の御手本みたいだし、一度も帰って来てくださらないし。

私の兄様はやめてプリシラ様達の兄様になってしまったのだと思っておりました」


まるで5年前に戻ったみたい。私の中身は8歳の頑是ない子供のままみたいだ。


「あ~~~~っ、………その、ごめん」


兄様は両手で顔を覆って項垂れてしまった。

まさか本心がバレているとは思わなかったのだろうか。

私だって分かっている。大好きなイメルダ様によく似ているプリシラ様ならとても可愛いと、愛おしいと感じるのだろう。離れてしまった妹より側にいる妹の方が可愛いに決まっている。私なんて──


「だって泣いちゃいそうだったんだ」


え。泣くの?誰が?

驚き過ぎて暗い思考の迷路に入りかけたのがストップした。


「悲しいに決まってるだろ?もうオルティス家が僕の家族になっていたんだ。叶うならずっとあそこに居たかった」


兄様が『僕』って言ってる。これは5年前の兄様の気持ち?


「だって本当の両親には申し訳ないけれど、マリア達と暮らした年月の方が長いんだよ。もう、家族は?って聞かれたらオルティス家ですって即答しちゃうくらいには当たり前にそう思ってる。

……でも、ごめん。それが悪かったみたいで。それだけアルに可愛がられているって解釈されて、マリアを利用する話が出てしまったんだ」


謝らなくてはいけないのは私の方だわ。だって私は自分のことばかり考えていた。大好きなイメルダ様のもとに戻れるから嬉しいに決まっているって決めつけてた。だから私との別れもあんなに簡単なのだと拗ねて。

でも、家族との別れが悲しくないはずはなかったのに。


「……じゃあ、あの手紙は?」

「着いてすぐの頃は帰りたくて仕方がなかった。僕は王都の学園に入学しただろ?周りは当たり前だけど貴族ばかりで、何というかオルティスの貴族っぽくないいい感じのゆるさに慣れてしまっていたから、その……、しばらくは色々と大変だったんだ。

でも、マリアにそんなこと書きたくなくて。だって心配して泣いちゃうだろう?兄として格好悪いし。そしたらなんだか上辺だけの手紙になっちゃった」


恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、ちゃんと答えてくれる。こんなに簡単なことだったの。分からないなら聞けばいいだけだった?


「……ごめんなさい」

「え?」

「私は自分のことばかり考えてたの。兄様が辛いことも気付かないで、素っ気ないのは私のことがどうでもよくなったんだって思ってたわ」


本当にお馬鹿で子供だ。


「そうなんだよね。ラファのせいでマリアはとっても自信の無い子になっちゃった」

「お父様?」

「そうなんだよ。だから何度プロポーズしても、私なんかって言って断わられまくっているんだ」

「ダミアン様?!」


どうして?二人共ずっと無言だったくせに!!


「ごめん!そんな風に考えてるなんて思わなくて!そうだよね、ごめんね。格好付けてないで素直に寂しいって言えばよかった。

僕はマリアが大好きだし、今でも本当に大切な妹だと思ってるよ」

「本当に?」

「もちろん」

「……私がオルティスっぽくなくても?」

「なにそれ。マリアはアルにそっくりじゃないか」

「私だけ薄ぼんやりした髪だし、皆みたいに才能も無いわ」

「えっ?!マリアはとっても綺麗なプラチナブロンドだし、賢いしマナーだってアルと同じくらい綺麗だよ?」


そんなことを言ってくれるのは身内だけだわ。家族としての欲目よね?


「「マリア。それは誰に言われたのかな」」


魔王が二人も降臨した。





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 帰国したら魔王2人+女傑+ミゲルによる蹂躙が…。
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