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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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66.優しさの空回り

困ったわ。思ったよりもリカルド様がダメ男だった。良い上司が良い夫とは限らないという残念な結果に。

優しさが見当違いで空回り。


男って本当に馬鹿よね。どうして女がか弱いと思うのだろう。女だってちゃんと戦うのに。剣を手にしなくても体一つで立派に戦えるのに。


「ねえ、イメルダが笑った顔を見たことある?」


ラファがポツリと呟く。


「いつものじゃないよ。嬉しそうにふわって笑うんだ。知らないでしょ。辺境で知ってるのは僕だけだ」


なるほど。優しい辺境の皆さんもリカルド様と同じでイメルダ様は保護対象だったのか。


ラファだけが分かってあげられた。それは彼自身が子供だからと守られることが寂しかったから。

でも子供の成長は凄い。だってラファはもう立派に女性を守れる男の子だ。


「ラファは格好良いね。ちゃんとイメルダ様を大切にしてるのね」

「当たり前でしょ?僕はイメルダだから大好きなんだよ」


以前アルが、ライバルはリカルド様では無くラファだと言った意味がよく分かった。


「お前を英雄に仕立てて悪かった。国の立て直しやらで大変だったんだろう?もっと心に余裕があれば夫人への対応ももう少し違ったかもしれないな。それは本当に申し訳なく思っているよ。

だがそれでも3年は長い。ラファがここまで怒るほど拗らせるだなんてありえないよ。

今では正式に夫婦になれて子供まで授かったのに、どうしてまだ歩み寄れていないんだ」


そうよね。2年の白い結婚は許せないけど、もうちゃんと夫婦になってるのよね?


「リィはね。赤ちゃんが大事なんだ」

「は?」

「赤ちゃんがいるからばっかり言って、アレコレうるさいの。お話しのほとんどにそれが付くの。

大切なのは赤ちゃんでイメルダじゃないんだ。もうね、イメルダがすっごく悲しそうだったからアルとルーちゃんに叱ってもら」


バッシーンッ!!


「うわっ、ルーちゃん手が壊れるよっ!」


思いっきりリカルド様にビンタした。

強化魔法は使わなかった。でも確かに痛い。手のひらがジンジンする。

でもきっとイメルダ様の心はもっと痛かった!


「ここまでダメな男だと思わなかった」


いっそハゲ頭にしようかと思ったけど、イメルダ様が恥ずかしい思いをするのは困る。


「あのね、妊婦さんはそれじゃなくても精神的に不安定になる人が多いの。だから奥さんを大切にしなきゃ駄目でしょうっ!」

「いや、してるっ!だから体調などの心配を」

「赤ちゃんがいるからって言い続けたら、赤ちゃんがいなかったら心配なんかしないって聞こえるんです!

それじゃなくても2年も白い結婚で、それまでは子供だからって仕事もあんまりさせなかったんじゃないの?だからラファと一番仲良しなんでしょう!

それに耐え続けてやっと夫婦になって子供を授かったら今度は子供の心配だけ。どうせ赤ちゃんがいるからってまた仕事を取り上げているのでは?それじゃあ子供を産むためだけの道具みたいだって感じちゃうじゃないっ!」


あ~~腹立つ!!


「ルシア、落ち着いて。お腹の赤ちゃんがビックリしちゃうよ」

「「え?」」

「……ごめんなさい」


そう。妊婦は不安定になりやすいのよ。


「ルーちゃん、お腹に赤ちゃんいるの?」

「そうなの。もう少しで5ヶ月よ」

「すまない、そんな時に!だが、赤ちゃんがいるのに仕事なんかして大丈夫なのか?」



……は?



「リカルド。ルシアに謝って」

「え」

「仕事()()()と言っただろう」


ええ、まださっきの怒りが収まってないのよ?


「すまん!そうじゃなくて、赤ちゃんがいるのに仕事をするのは負担だと思ったんだ」

「もちろん体に負担が掛からないように勤務時間の調整はしているよ。

ただ、ルシアは仕事をしない方がストレスなんだ。程よく体も動かすべきだし、なんせ医療院だよ?何かあってもすぐ誰かが対応してくれる。家にいるよりある意味安心な環境だ」


そういうことです。それにしても。


「本当にすぐ言いましたね。赤ちゃんがいるのにって」

「あ」


ようするに、口癖になるほどに言っていると。


「……どうしても口から出てしまうなら、君の体が心配だから、と付け足してください」

「申し訳ない……」

「あと!帰ったら必ず二人でしっかりと話し合いをすること!今までのことを正直にすべて話して土下座でもして下さい。

じゃないと……ラファにとられますよ?」

「は?!いや、もちろん話し合いはするし謝罪もする!だが、ラファに取られるとはどういう「だってラファの方がいい男だわ」

「!」


あ、落ち込んだ。8歳に負ける28歳。どんまい。


「ルシア、お話は終わったかしら」

「お母様、どうしたの?」

「かぁかっ」


お母様と手を繋いで入って来たのは娘のマリアだ。

1歳になったばかりの可愛い娘。


「おいで~」


てとてとっ、と拙い歩き方が可愛い。


「紹介するわね、長女のマリア。1歳よ」

「……本当にオフェリア様にそっくりだ」


そうなのよね。マリアは隔世遺伝でオフェリア様の色彩を受け継いだ。プラチナブロンドに墨色の瞳。顔立ちはオフェリア様というよりアルだと思うのだけど。


2年間エルディアに行けなかった理由はマリアとお腹の子だ。

リカルド様の結婚式に私だけ出席した後、しばらくして妊娠した。さすがに初産で旅には行けず、そろそろ1歳になるからと思っていたら2人目を授かったのだ。


「可愛い!僕はラファだよ。はじめまして」

「あ~~ぅっ」



残念ながらマリアはまだそんなにお話しできません。

でも笑顔全開のご機嫌だ。ラファのことが気に入ったのかしら。

ふと、アルを見ると、微笑ましい二人のやり取りなのに凄く真剣な顔で見ている。


そして──


「ラファ、しばらくここで暮らさないか?」


誰もが驚く言葉を口にした。







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