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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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49/88

49.タイミング

「久しぶりだな、ルシア」

「ええ、やっとお会い出来て嬉しいです」


やっぱりリカルド様も疲れた顔をしている。


「……眠れないのですか?」

「いや……少し眠りが浅いだけだ」

「これ、リラックス効果のあるお茶なんです。よかったらお淹れしてもいいですか?」

「……ありがとう。頼んでもいいかな」

「もちろん!少しだけお待ちくださいね」


何故だろう。初めて会った時の事を思い出す。

長旅でボロボロの状態を揶揄われてムカついた。でも、見上げた先にある金色の瞳に見惚れてしまった。

素直に格好いい人だと思った。


辺境の地は楽しくて。リカルド様は外見だけで無く、中身も素敵な男性だった。

セシリオと婚約していなければ、きっと私は彼を好きになっていただろう。

ううん、たぶん好きになりかけてた。リカルド様とラファとの穏やかな暮らしは本当に幸せだったから。


「どうぞ。お口に合うといいのですが」

「覚悟が決まった顔だな」

「……はい」


もしもあの時。


「ルシア、君の事が好きだ。私の妻になって欲しい」


王宮に向かう前。私を試さず、愛の言葉を囁いていてくれていたら。


「ごめんなさい。リカルド様を尊敬しています。でも……これはきっと愛ではない」


後ほんの少し、私達は何かが足りなかった。


「……そうか」

「私達は何時もどこかタイミングが合わなかった。それがすべてです」


だって愛すべき人だった。ただ、いつもタイミングが悪くて。


「……俺は、いつも遅かったのだな。ラファの様にもっと早くに勇気を出して告白していれば」


すでに懐かしく感じる。私は単純だから、ラファの素直な言葉が本当に嬉しかった。


「あの、一緒に酒を飲んだ夜を覚えているか?」

「はい」

「もしあの時、ルシアに告白していたらどうなっていたかな」


あの時?セシリオの浮気を知って傷付いて。でも辺境に戻って来れて嬉しくて、安心して。


「……どうでしょう。でも、あの時に告白されていたら……たぶん、お受けしていたと思います」


恋にはなりきれなくて、でも憧れと、淡い好意があったから。

リカルド様とラファと、これからもずっと一緒に暮らしていきたいと思っていたの。


「……そうか。俺は本当にタイミングが悪いのだな。……アルフォンソが好きか?」


聞かれると思っていた問い。後から気が付いた。セシリオが聞きたかったのはこの事だと。


「正直分かりません。ただの同情なのか、吊橋効果なのか……本当に愛しているのか。

ただ、あの人を一人にしたくない。側に居てあげたい。本当にそれだけで。

だって、彼の気持ちすら聞いていませんし」


そうなのだ。アルフォンソ様への気持ちが分からない。

私は彼を憐れんでいるの?吊橋効果で戦場でのドキドキを勘違いしているの?それとも本当に……好き……なの?


今は……ただ、会いたい。彼を癒やしたい。

体の傷も心の傷も全部。

そんな思いが溢れてしまう。


「俺はアルフォンソの功績を総て奪う。それでも、君がアルフォンソの手に残るなら……許されるかな」

「アルフォンソ様が貴方を恨むなんてありえないわ」

「…アイツは本当にお人好しだからな」

「同じ事をアルフォンソ様も仰っていました。あの方はリカルド様のことが本当に大好きで。何度も貴方をお勧めされましたよ」

「……本当に?」

「はい」


だって、あれが彼の事が気になった切っ掛けだったもの。


「そうか……俺は本当にチャンスを逃し捲っていたのだな」


たらればを言い出すと本当に切りがない。

でも、もしかしたら私が辺境で笑って過ごす未来が……


「俺は宰相閣下の令嬢と結婚することになる」

「……決められたのですね」

「尊敬する閣下のご令嬢ならば、きっと上手くいくだろう」

「イメルダ嬢も同じ事を仰っていたそうです。父親が認めた数少ない人物ならば安心だと」

「そうか。ありがたいことだな」

「……どうか、お幸せに」

「君もな。……だがまだ最後では無いだろう?このまま別れたらラファが悲しむ」


ラファ。あの子の笑顔が恋しい。

すべてが終わったのに、どうして別れが増えていくのだろう。


「そうですね。ラファに会いたいです」

「ぜひ辺境に寄ってやってくれ」

「はい。ありがとうございます。……これで失礼しますね。茶葉は置いていくのでよかったらお飲みになって下さいませ」

「ありがとう、ルシア。またな」

「はい、また」



エスカランテ様に報告が必要だろうけど、今は笑顔でお話しできる気がしない。



何となく部屋に戻る気にもならず、適当に足を進める。

誰かと話がしたい。でも、誰と?

セシリオとは話したし。カハールや兄様には話せない。

……オフェリア様はもういない。

困ったな。私ったら友達がいないわ。



「ルシア?」



どうして……確かに図書室の入り口には見張りがいたわ。でもアルフォンソ様がいるなら止めてよ!

会いたいとは思っていたけど、今じゃなかった!だって心の準備が!


「……」

「返事をしてくれないの?」

「……お久しぶり、です」

「うん、そうだね」







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