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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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33/88

33.幸せになるために

「王妃は病弱なのを理由にほとんど表に出てこない。息子の私でさえ、会えるのは年に1~2回、それも国王が必ず側にいる状態だ。

だから一度もあの人の本心を聞いたことがない」

「徹底してるなぁ。怪し過ぎだろ。

だったら確かに今がチャンスだな。国王はクローン作成とクラウディアの子宮に定着させるのに付きっきりだろう。一度ですぐに成功するとは思えない。その間は王妃さんの方は手薄になってる可能性が高いな」

「はい。会ってチェスティの魔法について聞ければ。もしくは王の悪事の証拠が見つかれば一番ですね」


駄目だ。ちっとも頭に入ってこない。本当にこのまま進んでいいの?

リカルド様は兄とアルフォンソ様の会話をじっと聞いている。目を真っ赤にしたまま。きっと心配だろうし……悔しいよね。


力が足りない──


こんな悔しさを二人はずっと感じながら頑張って来たの。じゃあ私は?二人の為に何ができるだろう。


「ルシア、お前もアルフォンソと一緒に王妃様の所に行け。そこまで長期間監禁されているなら治療が必要な可能性が高い。あと、伝染病が魔法だった場合は解呪法を覚えて来い」

「え、だったら顔がバレてない兄様の方がいいんじゃない?」

「いや、女同士の方が話しやすいだろ。俺だと警戒されそうだ」

「なるほど。わかったわ。ていうか、どうして兄様が仕切ってるのよ」


そして呼び捨てはやめなさいよ。昨日会ったばかりのくせに。


「お前達が放心状態だからだろ。俺は当事者じゃないからな。客観的に見て、アルフォンソの言っていることは正しいと思った。

今のままでは絶対に負ける。せっかくの勝ち筋があるのに、情に流されて見ないふりするなんて馬鹿がすることだ。

それに俺は死ぬ気はない。生きる方向で進めさせてもらうさ」


くそぅ、兄様が格好良い。


「ごめん、そうよね。まずはアルフォンソ様に生きててもらわないと。王子じゃなくても幸せに生きれるなら何も問題ないわ」

「王子じゃない私でも変わらない?」

「ん?私だって平民になってもいいって思ってたわ。ねぇ、セシリオ」

「……あぁ、爵位に拘っていたのは俺だけだった」


何故そこで落ち込むのか。


「ね?私は医療魔法士の仕事ができて、大切な家族や愛する人達が幸せならそれでじゅうぶんなの。だから、あなたもすべてが終わったら次にやりたい事を探せばいいのよ。

リカルド様とだって、アルフォンソ様がここに来るのは難しくても、リカルド様が会いに行けばいいじゃない。

生きていられたらなんでもできるわ!」


本当はそれだけじゃないって分かってる。王になろうと努力していたことを知ってるリカルド様は悔しいだろう。

でも、人生長いのよ。もっと違う夢を追ってもいいじゃない?


「ルシアもミゲルも本当に強いな。私も見習わないと。……リカルド、私は幸せになってもいいか?」

「……当たり前だ。お前が幸せになれるなら……それでいい。そのかわり絶対に勝つぞ。宰相が国王になるのを受け入れさせろよ」


あれ?宰相は国王になりたい人じゃないの?

びっくりしてアルフォンソ様を見ると、


「宰相は国王なんて面倒なものになりたくないって言ってるよ。でも、宰相になる時もそう言っていたみたいだから大丈夫。自分しかいないと分かってるはずだから」


そうよね、国王なんて重責は(にな)いたくないわよね。権力に狂った国王のもとでなんとか国を回しているんだから、本当に優秀な方なのでしょう。


「宰相への接触方法はあるのか?」

「大丈夫だ。補佐官の実家に向かい、会えるよう手配してもらう」

「え、カハール?」


あいつ、アルフォンソ様の味方だったの?


「顔見知りだったな。そう、あいつも協力者だよ。君を逃がす手伝いをしてくれただろう?」


そうだっけ?腹が立った記憶しかない。


「今日、準備が出来次第出発しよう」

「では、ガランとエスピノを同行させよう。ガランは解呪や結界が得意だし、エスピノは補助魔法だけでなく、ああ見えて攻撃力が高い」


見た目はガランさんの方が怖いのに。

エスピノさんを怒らせないようにしよう。


「俺も行かせてください!俺は護衛騎士です。必ず役に立ちます!」


まさか兄様に意見するとは思わなかった。


「命に代えてもアルフォンソと妹を守れ」

「はい!」

「……信じるぞ」

「っ、はい!!」


いや、だからなぜ兄様はそこまで偉そうなの?セシリオは無駄に感動して目を潤ませてるし。兄様の信頼がそんなに嬉しいのか。





そこからは各自支度をするため別れる。部屋に戻り荷物をまとめる。旅に必要なものをイリス様の館に運んでなくてよかった。


「ルシア、少しいいだろうか」

「リカルド様?何かありましたか?」

「いや、馬は大丈夫か?女性には大変な行程だと思うが」

「あぁ!平気ですよ。軍事訓練にも参加してますから」


国で一番医療が必要な場って結局は戦場だ。だから私達は戦場での経験も積んでいる。そうじゃないといきなり連れて行かれたら気を失って何も役に立たないだろう。

戦争はイヤ。でも、国の為に戦ってくれる人達を怖いから救わないなんてできない。


「ありがたいことに、ウルタードはずっと戦のない国なので、本当の戦いには参加していませんけどね」

「……そうか」


どうしたのだろう。不安なのかしら。


「大丈夫ですか?」

「君を、行かせたくないと思ったんだ。ここに残ってほしいと」


どういうこと?だって私が行く必要性はさっき話し合ったはずなのに。


「ルシア、以前君はヴァレリアノに残りたいと言ってくれたね。ずっとここで働きたいと。

……もし、アルフォンソが国外追放されたとしても、ここに残りたいと思うか?」






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