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私はあなたの何番目ですか?  作者: ましろ


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29.凶事の知らせ

「ミゲル殿。お招きしておきながら、席を外して申し訳ないですが、先に殿下へ報告に行かせてください」

「もちろんです。私はルシアと話をしていますから、お気になさらないでください」

「ありがとうございます。クルス卿行こう」


やっと二人だけになった。


「もう、兄様やり過ぎよ」

「どこがだ。さてルシア。詳しく話せ」

「いやよ、怖いもの」


これ以上やられると流石に駄目でしょ。

クルス家の皆様に怒られるわ。


「セシリオのご両親は『どうぞ好きなだけやってください』と送り出してくれたぞ。お前が嫁に来るのを本当に楽しみにしてたってさ」

「……うん、私も楽しみだったよ。でももう無理だなぁ、残念だけどね。私もセシリオのご両親のこと大好きだったわ」


そのまましばらく睨み合う。これ以上は駄目絶対。父様もどうして兄様を寄越すかな。

……もしかして、父様も同じくらい怒ってる?


「仕方がない。あれで止めてやるよ。俺の魔力の無駄遣いになるしな」

「そうね、人を救う用にとっておいて」


やっと諦めてくれてよかった。まさか、向こうに戻ったら父様達までやらないわよね?あまり何度も掛けると本当に生えてこなくなりそうで怖い。


「そういえば、どうしてここまで来たの?」

「あ?心配で来たと言ってるだろう。あとはお土産を持ってきた。必要かと思ってな」


お土産?なにやらカバンから取り出す。


「ほら。生命の契約のこと、知りたいって書いてただろう?父様が持って行けって」

「うそ!手記を持って来てくれたの!?」


オルティス家の手記。代々のオルティス家の者達が書いた魔法書だ。書いた後、次の代の人間が訂正を入れたりと自由に書いている為読み難いのが難点だが、私と兄のお気に入りの書だ。生命の契約魔法もこれで知った。


「もちろん返せよ?まあ、お前が家に帰ってくる為の保険だな。疑われてるぞ」

「ちゃんと帰るわよ。でも嬉しい、ありがと」


パラパラと眺める。懐かしいな。


「兄様はいつまでいれるの?泊まるところは?」

「何も決めてない。お前の家は?」


やっぱり。怒りに任せて何も考えずに来たわね。


「私は友達になった女性騎士の館にお世話になってるわ。だから兄様は無理よ?仕方がないからリカルド様に相談しましょう」

「本当に懐いてるな」

「ちょっと兄様。人を犬みたいに言わないで。でも本当にいい方なのよ。素敵な上司だわ」

「あれ?そういう(くく)りなのか?もう好きな男が見つかったのかと思ったのに」

「え~?リカルド様まで?どうして男女で側にいると恋愛扱いされるのかな」

「お、他は誰だよ」


それは王太子殿下です。でも、兄様とこんな話をするのはちょっと嫌だな。


こんこんこんっ


この可愛いノックは!


「どうぞ入って!」

「るーちゃんおかえりなさい!」


やっぱり私の天使だわ!ラファは私に向かって走ろうとしたが、兄に気づくと、


「はじめまして、らふぁれるばれりあのです」


まあ!挨拶が上手に出来ました!


「初めまして。俺はミゲル・オルティス、ルシアの兄だ。よろしく」

「よろしくおねがいします!」

「可愛いな!」

「でしょ!癒やしの天使なのよ~」

「るーちゃん、あそべる?おにいちゃんも」


久々のおねだりはやっぱり可愛い。


「「もちろん!」」


さすがよ、ラファ。兄を一瞬で虜にしたわね。これはもう魅了の域では?






「ラファ、そろそろお昼寝の時間だ」

「えーっ、もっとるーちゃんとあそびたいの」

「大丈夫よ、起きるまで待ってるわ」

「……はーい、ちゃんとまっててね?」


ラファを見送ってからリカルド様の表情が引き締まる。セシリオがもたらした物は凶事の知らせか。


「ミゲル殿。王太子殿下があなたとの話し合いを希望されております。お越しいただけますか?ルシアも一緒に」

「もちろんいいですよ。行こうルシア」


まさか兄様にも話があるとは思わなかった。いったい何が起きたのだろう。


「移動で疲れているところを申し訳ない。私はエルディア国王子のアルフォンソだ」

「とんでもありません。お会い出来て光栄です。ルシアの兄、ミゲルです」


二人は簡単な挨拶をすませ、話し合いが始まる。


「まずはお詫びしなくてはいけないことがあります。たぶん今、帰国しようとしても、お二人共国外に出る事はできないでしょう。

ルシア嬢は結婚したばかりの王子を籠絡し、辺境伯と共に国家転覆を(くわだ)てている反逆者らしいので」


「「は?」」


なんだ、それは!!


「すまない、愚かな国王と貴国から嫁いで来たクラウディアが手を組んだ……いや、違うな。彼女は良い駒になったようだ」


あの馬鹿王女!私の言葉はまったく響かなかったのね。そこまでおバカだとは思わなかった。

それにしてもなぜ私を利用するの。そんな簡単に男を手玉に取れるような女なら、馬鹿王女に恋人を奪われたりしませんよ。


「私、そんなに魅力的でしたか?」


うんざりしながら(つぶや)く。

国家転覆か。確かにね、迷惑国王と馬鹿王女を廃位しろ!とは思うけど。国を守る事が仕事の癖に、職務を全うしないで自分の欲を満たしたいだけなら辞めればいい。


「そうだね、ルシア嬢は大変魅力的だよ。だから国王に利用されそうなんだ。なんとか阻止しないと、このままでは私と一緒に殺されそうだ。二人は心中しました、で終わらされてしまうだろうね」


───嫌ですけど?





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