10軽装? いいえ、水着です!
休日。
俊介が1階に下りると、和姫は居間で掃除機をかけていた。
他の妹達は各々出かけていて、今家にいるのは俊介と和姫の2人だけだ。
ならば、今こそ『妹ウオッチ』をするチャンスではないか。
そう思い俊介がリビングに足を踏み入れると、和姫は掃除機のスイッチを切り顔を上げた。
「あら、お兄様。どうなさいました?」
「い、いえ、別に」
俊介は動揺していた。いつもは、姉妹4人でいることが多いからだ。こんな風に妹個人と2人きりになることなんて、今までほとんどなかった。どうコミュニケーションをとるべきか悩んでしまうのだ。
「もしかして、また家事を手伝ってくださる……のでしょうか?」
「え、ええ。まあ、そういうことです」
「そうですか! それはそれは、大変助かりますわ!」
と、和姫は嬉しそうに相好を崩した。普段は1人で家事全般を担当しているが、この喜びようを見ると、やはり1人でするのは相当キツいのだろう。俊介は提案して良かったと内心胸を撫で下ろした。
「では、お兄様。お風呂掃除をお願い出来ますでしょうか?」
「了解しました。お風呂掃除ですね?」
「はい。恥ずかしながら、最近お風呂掃除があまり出来ていなくて……。少し菌も繁殖しているようですし。洗剤をかけて、ブラシで落としてくださいますか? リビングのお掃除が終わり次第、わたくしも手伝いにいきますから」
「分かりました」
快く返事をすると俊介は、さっそく浴室へと向かった。普段まじまじと見ることは少ないが、こうして見ると確かに汚れがだいぶ溜まっていた。
……さあ、始めるか。
俊介は腕まくりをすると、浴槽と壁全体にシャワーでお湯をかけた。
汚れを落としやすいようにするためだ。さらにスポンジに洗剤をつけると、ゴシゴシ洗い始める。
なるほど、確かにこびりついた汚れは簡単には落ちない。かなり力を入れてこする必要がありそうだ。手伝いを申し出た時、和姫が嬉しそうな顔をしたのにも納得がいく。
浴槽はスポンジでこすり、ゴム栓やパッキンなど、細かい汚れはブラシで落としていく。以上の行程を繰り返し、全体の約半分ほどを終えた時だった。
「お兄様、入りますわよ」
ドアの向こうから、和姫の声が聞こえた。
俊介は手を止めて返事をする。
「ええ、どう、ぞ――!?」
浴室に入ってきた和姫の姿を見て、俊介は驚きの声を上げた。
「な、な、何をしてるんですか!?」
思い切り言葉を詰まらせながら、俊介は叫んだ。
先ほどの言葉どおり、俊介を手伝いにきたのだろう。バケツとブラシと洗剤を持って。そこまではいい。
問題なのは和姫自身の服装だった。
和姫は何と――水着姿だったのだ。




