45合成? いいえ、本物です!
俊介とチャラ男は、学校から数分ほど離れたところの公園に来ていた。今は撤去されることが多いジャングルジムや、ロング滑り台などの遊具が設置されているため、小学生や幼稚園児がいつも楽しげに遊んでいる、ほのぼのとした場所だ。
そんな、ほのぼのとした公園のベンチに腰掛けながら。
「俺は昨日、恋華に手を出すなよって言ったよな?」
隣に座る俊介に向かって、チャラ男は威圧するように言った。
「アンタ、怒りっぽい上に人の警告聞けない男なんだ。もう一度だけ言うけど、恋華は俺のものなんだよ。勝手に手え出すんじゃねえよ」
「お断りします。あなたのようなチャラチャラした、いい加減な人の意見を聞く義理はありませんので」
俊介はふん、とそっぽを向きながら答えた。
小さな児童公園なので、千本桜高校の生徒は他に1人もいない。ならば遠慮することもない。堂々とチャラ男に毒を吐けるというものだ。
そのチャラ男は、俊介の憎まれ口は全然効いてないといった風に、ニヤリと笑いながら、
「じゃあさ、俊介クンよ」
「なんですか」
「俺と恋華がどれぐらい仲いいのか。その証拠を見せれば、俺の話聞く気になる?」
「……もし、そんな証拠があるなら、ですけどね」
俊介は気丈に答えるが、実際にはドキドキしていた。
チャラ男の言う「証拠」とは何なのか。
こちらは恋華に確認をして裏は取れている。チャラ男のことだから証拠とやらを捏造する可能性もあるから、慎重に対応しなければならなかった。
「でも、具体的にどう証明するつもりですか?」
「そりゃあ……これだよ」
そう言って、チャラ男は携帯電話を突きつけてきた。
正確には携帯の画面。
そこに映っていたのは、チャラ男と――恋華だった。
チャラ男と恋華は、ある家の玄関前で並んで立っていた。
チャラ男は恋華の肩に手を乗せ、恋華もまた嬉しそうに笑っている。
差し込む日差しの光量から、この写メが朝撮られたものだと分かる。早朝、家の前で写真を撮る若い男女……導きだされる答えは、たった一つだ。
俊介はめまいがするのを懸命に耐えながら、写真を食い入るように見つめた。最近はコラージュ写真というのもある。要するに合成写真の類だが、どう見ても2人の顔に継ぎはぎのような部分はなかった。そもそも、チャラ男にこんな精巧な合成画像を作る技術があるとは思えない。
何よりも決定的だったのが。
恋華とチャラ男が映ってる家の外観。赤いレンガの一戸建て。それは、昨日俊介が送っていった恋華の家の外観と全く同じだ。
ということは、撮影場所は恋華の――
「……」
俊介は言葉にならない心苦しさを感じながら、ベンチから立ち上がった。
ふらつく足で踵を返す俊介に、チャラ男は話しかける。
「おい、待てよ。まだ返事を聞かせてもらってないぜ? 恋華のこと、諦めてくれたんだろうな?」
俊介は足を止め、振り返った。
そして、殺気を込めた瞳で、こう言った。
「……知るか、そんなこと」




