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42質問? いいえ、質問攻めです!

 瀬戸内恋華が井川俊介と付き合っている――という噂は、既に学校中にまで広まっていた。


 何しろ恋華本人が、生徒が沢山集まる校門の前で、俊介と付き合っていると大声で発表したのだ。仮に恋華じゃなかったとしても、それなりの噂にはなっていただろう。まして男子の憧れの的である恋華なら、その拡散スピードは芸能人の熱愛報道に匹敵するというものだ。


 その反応は人それぞれだが、大別すると2つになる。「どうしてあんな地味で暗い奴が瀬戸内さんと……」という俊介拒絶派。「いや、井川って学年テストでいつもトップの奴でしょ? 顔もそこそこ整ってるし納得のカップルだわ」という俊介許容派の2種類だ。


 幸いなことに、俊介のクラスメイトは許容派が多数ではあるが。それでもかなり興味を引かれたらしく、今朝から俊介は色々な質問攻めにあっていた。


 例えば……。


「ねえ、井川君。瀬戸内さんと付き合ってるって本当かい?」


 そう言ってきたのは、クラスメイトの中本だった。


 今は3時間目の後の中休み。

 授業が終わると、こうしてクラスメイト達は代わる代わる俊介に質問をぶつけてくるのだった。

 復習をしていた俊介は、教科書を閉じると、いささか食傷気味に答える。


「ええ。付き合ってますよ」


 おお~~~~!!


 今まで何十回と答えてきたことだが、男子達は何度でもざわつく。

 しかし、驚きたいのは俊介の方だ。

 なぜそんなにビックリするのかと。

 そもそも誰が誰と付き合おうが、別に構わないではないか。


 そんなことを考えながら、クラスメイトの質問に1部答え――答えられない質問、不快に感じる質問には答えない。元々、恋華とは偽装恋人なのだ。あれもこれも全て答えていては、そのうちボロが出る。


 そんなこんなで、要領よく俊介が受け答えをしていると――


「ねえ、瀬戸内さん。いつから井川君と付き合ってるの~?」


 その言葉に振り返る。

 1番奥の窓際の席。

 ……確認するまでもなく、座っているのは恋華だった。そして、その周囲を囲むように女子生徒が群がっていた。


「ねえねえ、聞かせてよ~? 馴れ初めはなんなの~?」


 俊介と同じように、恋華もまた質問攻めにあっていた。

 ……頼みましたよ?

 俊介は、心の中で恋華に釘を刺した。

 何しろ、偽装恋人が成立するかどうかは、恋華の演技力にかかっているのだ。恋華の頭が良いことや、アドリブが利くことはもう証明されているが。


 とにかく恋華には、調子に乗って、余計なことを言わないことを願うのみだ。

 俊介が心の中でそう思っていると、


「そうですね~。付き合い始めたのは3日前からです。それで……」


「うんうん、それで? 馴れ初めは?」


 女子からの質問に恋華は、俊介が危惧したとおりのことを言った。


「……馴れ初めは、俊介君に無理やり押し倒されたことですね♡」

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