40疑惑? いいえ、確認です!
翌朝。俊介と恋華は、2人仲良く登校していた。
腕を組みながら。
「れ、恋華さん。かなり注目を集めちゃってますよ。やりすぎじゃないですか?」
「だからいいんじゃない」
文句を言う俊介に対し、更に抱きしめる腕に力を込める恋華。
「注目を集めてるってことは、それだけ私への関心が強いってこと。でも、どんな有名人でもそんなに長く熱愛が噂になることはないから。しばらくすれば、この状態が普通の状態になるんだよ」
「だったら、いいんですけどね……」
俊介にとって、学校が自宅から歩いて15分以内の場所にあることは、幸いだった。もしこれが電車通学なら、さらに千本桜高校の生徒から好奇な目で見られていたことだろう。
周囲の奇異な視線、それと腕に押し付けられる2つの膨らみへの煩悩に俊介が耐えていると、ふと恋華が、
「それよりもさ、俊介君」
「何でしょう?」
「なんだか、顔色悪くない?」
「顔色、ですか……?」
「うん。なんか、やつれてるように見えるんだけど」
恋華は、俊介の顔を覗き込みながら言った。
事実、俊介は疲れた顔をしていて、目の下には隈も出来ている。
俊介は「いえ」と、恋華の視線から眼をそむけて、
「なんでもありませんよ。昨日は夜遅くまで勉強してただけです」
「……本当に?」
「嘘だとしたら、他に何があるんですか?」
「明日は大好きな恋華ちゃんと一緒に登校デートができる~! お昼も一緒に食べられるかな? 放課後は? ああ、ボカァ何て幸せ者なんだ~~! って、興奮して眠れなかったとか」
「……僕のこと、なんだと思ってるんですか?」
と、俊介のツッコミにも覇気がない。
本当は、昨夜現れた謎の男が気になって眠れなかったのだが。
「――でも本当に、体には気をつけてね?」
と。
オーバーリアクションでふざけていた恋華が、急にトーンを落とし真面目な口調で言った。
「夜更かしは体に毒だからね? もし俊介君が体壊したら……私泣いちゃうから」
「……どうも」
恋華は、心配そうに俊介のことを気遣っていた。
しかし俊介には、確認しておかなければならないことがあった。
「あの、ひとつ聞きたいことがあるんですけど――」
それは、昨日の男についてだった。
粗暴で軽薄で、態度も悪い金髪のチャラ男。
あんな男とこの優しい恋華が、付き合ってるはずがない。
しかし気になるのは、あの男の自信に満ちた態度だ。
だから、恋華に確認することにした。
ただ一言、「そんな男は知らない」と言ってくれれば、俊介は満足だった。
「聞きたいこと? なに?」
首を傾げながら聞き返す恋華に、俊介は、
「……恋華さん、僕以外に付き合ってる男性って、本当にいないんですか……?」




