25知ってる? いいえ、知りません!
レイラの初手。果たしてどのような問題が飛び出すのか。
一同は固唾を呑んで見守っていた。
「それじゃあまず。ジャンヌダルクの生年月日と没年日を答えてもらおうかしら。ジャンヌフリークを名乗るなら、これぐらいは答えられないとね」
と、まずは無難な所から切り出すレイラであった。
それに対し恋華は、
「ユリウス暦1412年1月6日生まれで、没年日は1431年5月30日だね。どう? 合ってる?」
「ええ、合ってるわ」
レイラの問いに、恋華はスラスラと答えた。歴史的人物でもあるし、このあたりの知識は俊介も知っている。
「ちなみにジャンヌはその後生き返ったとされる説があるんだけど」
「え? な、なに?」
「1436年、処刑されたはずのジャンヌがフランスのメッツという町に現れたそうよ。人々はジャンヌダルクの生まれ変わりだと信じたそうだけど、国王は信じなかったそうね。まあ、真偽は定かじゃないけど」
「あ、ああ。その話ね。もちろん知ってるわよ……」
雑学を披露する恋華に、思い切り言葉を詰まらせながら相槌を打つレイラ。本当に知っていたのかと訝しむ俊介だったが、俊介自体もそんなエピソードは知らなかったし、そういった知識を即座に引き出せる恋華の頭脳を賞賛すべきだろう。
「どう? レイラちゃん。ちょっとは見直してくれた?」
「ふん。まあまあってところかしらね。説明も分かりやすかったし、ただの人間にしてはやるわね。火星の姫たるわたしが褒めてあげてもいいわ」
「やった♪ 何かすっごい上から目線だけど、褒めてもらえるのは嬉しいね。じゃあ、次は私が問題を出す番だけど、少し難しくしてもいい?」
「当たり前じゃない。わたしを誰だと思ってるのよ。 高偏差値にいるわたしと貴方を、同じステージだと思わないでほしいわ」
レイラは自信に満ち溢れた顔で答える。
ちなみに、レイラの学校での成績はかなり優秀である。中2マックスなその言動を、成績優秀さで補っていると言っても過言ではない……。それに対して、恋華の成績は上から数えた方が良いとはいえ、そこまで秀才というほどではない。その差を、高校2年生と中学2年生というハンデでどこまで埋めることが出来るのか。それが勝負の行方だった。
「それじゃあ、わたしからの問題。ちょっとギア上げていくよー?」
「ふっ。いいからかかってきなさい。ぶりっ子女よ」
「だ、堕天使って……まあいいや」
一瞬不服そうな顔を見せたが、すぐに恋華は気を取り直してレイラと向かい合った。答えられなかった方が負けなのだから、普通は先行有利だろう。しかし、答えてしまえば後行が逆に有利となる。よって、相手が苦手そうな問題をいかに探り出すかが鍵となってくる。
恋華はレイラを真っ直ぐに見つめながら、ゆっくりと一音ずつ発音した。
「――ジャンヌが戦った、フランス北中部のロワール川沿いの町の名前は何でしょう?」




