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35変わる? いいえ、変わりません!

 一方その頃。井川家のリビングでは。5姉妹が集まってテーブルに着席していた。もはや定番となっている、真っ赤なトマトジュースもそれぞれの目の前に置かれている。そしていつものように、上座に座る和姫が口を開く。


「それではこれより、最後の妹会議を始めます」


「最後の?」


 和姫の言葉を聞き返したのは、美鈴だ。


「最後って何?」


「言葉のとおりですわ。こうして集まって、お兄様のための会議をすることは、もうないでしょう」


「そんな! いきなりすぎるよ! あたし、みんなでこうやってワチャワチャやってコイバナするの好きだったのに! どうにかして続けられないの?」


「それは出来ないわ、スズ。元々この会議に参加してる人間は同種族ではあるけれど、それぞれの世界と対立する亜空大魔王でもあるのよ。つまり、略奪愛(ジェノサイド)することは、ラプラスの悪魔の介入によって定められた運命。誰にも変えられないわ」


「ふええ……。よくわかんないけど、ましろ悲しい……」


 和姫の言葉に、美鈴、レイラ、ましろと会話を繰り広げた。レイラの場合は中2設定と合致する所があるのか、懐が広い。ましろにとっては会議の意味自体がよく分かっていないので、なくても問題ないだろう。


 しかし、家族愛が人一倍強い美鈴にはそうもいかないようで、妹会議の存続を熱望している。そんな美鈴に対して、和姫は、


「美鈴。わたくし達はもう子供ではないのですから。そのようなワガママを仰られても、困りますわ」


「ワガママってなによ! あたしはただ、みんなと仲良くしたいだけ! それが、そんなにいけないことなの!?」


「姉妹愛は否定しません。わたくしも、皆様のことは愛しております。しかし、それとこれとは話が違いますわ」


「わかんないよ、そんなの。みんな、いつも一緒だったじゃん。これからも、ずっと一緒でしょ? 喧嘩なんかしたら、お兄ちゃんだって悲しむだけでしょ……」


「いいえ、それは違いますわ。確かに、わたくし達はここまで、何だかんだ手を取り合ってきました。しかし、この段階ではもう、一緒に卓を取り囲んで手の内を晒し合ってる場合じゃありませんの。なぜならば……」


「……兄君が恋人を作ろうとしているから、ですな?」


 和姫の言葉を引き継いだのは、緋雨だった。和姫は頷いて、


「そうです。お兄様は明日、東条奏とデートにいくそうです。お友だちとして遊びにいくだけだと言っておりましたが、本当は違うでしょう」


「あの小動物……ついに勝負をしかけにきたわね」


「いいなー。ましろも、にーにーと遊びたい」


 レイラ、ましろと、2人がぼそりと呟いた。和姫は皆に向けて、


「だから、わたくしも最後の勝負を挑もうと思いますわ。つまり――お兄様に告白をいたします」


「!!!!」


 和姫の宣言に、動揺が走る一同。和姫はフッと笑って、


「考えてみれば、わたくし達は元々ライバル同士じゃありませんか。誰がお兄様の寵愛を受けるかの。ついに、雌雄を決する時が来たというだけですわ」


 和姫の言葉に、一同は黙りこくってしまった。沈黙を破ったのは美鈴で、


「そ、それは分かってるよ」


 美鈴は泣きそうな顔をしていた。 


「あたしだって、お兄ちゃんのお嫁さんになりたい。ずっと、そう願ってきたから。でも。兄妹で争うなんて、よくないよ……」


 美鈴が涙ぐんでいると、レイラが口を挟んだ。


「スズ。わたしの考えは違うわ。兄妹だからこそ、ゆずれないものがある。わたし達の場合は、それが一緒だってだけで」


「……うん」


「だから、戦いましょう。正々堂々と。勝ったって家族よ。負けても家族よ。わたし達の関係は。それだけは変わらないわ。つまり、何も恐れることはないの」


 レイラの言葉に、美鈴は瞳を輝かせながら、


「そうだねっ! いつまでもいじけてたって、何も変わらないし! あたしも明日、お兄ちゃんに告白する!」


「フッ。いい度胸だわ。まあ、わたしに惨たらしく惨敗することだけは、覚悟しておくのね」


 レイラが嬉しそうに微笑むと、ましろが口を開いた。


「ましろもっ! ましろもっ! にーにーに、告白する!」


 はい! と元気よく手を上げながらましろは、


「ましろはまだ小さいけどー。ねーねー達と違って若いから。にーにーも、きっと小さい女の子の方が好きだとおもう」


 その言葉に、4姉妹の間に微妙な空気が流れた。レイラや和姫までもが「はあ?」という目でましろを見つめている。去年までは小学生だった緋雨と美鈴は、ポカンとした表情であるが。


「と、とにかく、そういうことですわね」


 和姫はもう一度話の主導権を握り直し、


「おそらく明日、東条奏はお兄様に告白するでしょう。それが成功してしまったなら、わたくし達は潔く身を引きましょう。しかし、もしフラレてしまった場合は」


 和姫はそこで言葉を切った。言うまでもないことだと、分かっていたからだ。


「ふん。上等だわ。天神族の末裔たるわたしの、真の力を思い知らせてやるんだから」


「うぬー! ましろ、負けない!」


「ちょっと何言ってるの! お兄ちゃんは、あたしを選ぶんだってば!」


「大罪を犯したわたくしめを、兄君が選んでくださるとは考えられませぬ。しかしもし選んで頂けるならば、全身全霊をもって、兄君の愛に報いたいと存じます」


 レイラ、ましろ、美鈴、緋雨と。

 それぞれに愛する俊介に対しての意気込みを語るのであった。

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