17永遠? いいえ、ひと時です!
ということで、俊介達は園内1人気のウォータースライダーに向かっていた。
しかし、同じ更衣室というわけにはいかない。
当然男女別室だ。
何故ウォータースライダーが一番人気なのかと言うと、その大きな規模もさることながら、「カップルでも利用できる」という点だ。若い男女があられもない水着姿をさらし、体を密着させた状態でホースの中に座る。あとは水に流されるだけなのだが、これがまた迫力があるのだ。さらにカップルでとなれば、盛り上がらないわけがない。
――なんてことを考えながら、俊介は着替えをしていた。
緋雨と恋華だが、上手いことやっている。
……まあ、多少ぎこちない面はあったが。
しかし、それもそのはずだ。中学1年の女子が、高2の兄の彼女と顔を合わせても、会話が弾むはずもない。人見知りな緋雨ならば尚更だ。
服を脱ぎ終えたところで。
俊介は考えた。
恋華との今後について。
恋華との関係は彼女の告白から始まって、男子生徒からの告白ラッシュから身を守るため、偽装恋人になってほしい、という話をされた。
妹達に兄離れをしてほしかった自分は、その話を受け入れた。
そして恋華を自宅に招くと、妹達は彼女に戦いを挑み、結果は引き分け――妹達は、恋華を「お試し恋人」として認めたのだった。
恋人とは名ばかりの、理不尽な条件だけを課して。
――偽装恋人になってほしいの。
恋華の言葉が思い出される。偽装はあくまでも偽装、本物の恋人同士ではない。
そんなことは分かっていた。
いつか、終わりがくることくらいは。
このまま高校を卒業しても付き合いを続けて、大学を出て就職をしたら幸せな家庭を築いて。そんなことは有り得ない。
もちろん、それを承知で恋華の提案を受け入れたのだ。
それに、考えてみればそっちの方が気楽なのかもしれない。本物のカップルなら避けられない争いもないのだから。
そもそも、恋華との「お試し恋人」期間も、そろそろ終わる。
そしたら、自分と恋華の関係はまだ続くのだろうか。
それとも、もう終わるのだろうか。
恋華は、自分には勿体無いくらいの美人だ。
現に何十人という男からの告白を受けてるし、美人でさらに性格もいい。こんな勉強だけが取り得の根暗な男よりも、もっと付き合いやすい男は幾らもいる。
もし恋華が今の関係に愛想をつかしたら、自分は間違いなくフラれるだろう。
自分達には、誇れるだけの積み重ねもないのだから。
しかし、俊介は疑問に思っていた。恋華とは、前にどこかで会ったような気がしてならないのだ。
もちろん、小学校も中学校も別だが。
高校に入ってから初めて彼女と出会って、俊介はその顔にひどく懐かしさを覚えていた。となると、小学校以前からの付き合いということになる。しかしそれは有り得ない。彼女が、あの子だなんて……。
止めよう。これ以上下手な考えを巡らせるのは。
俊介はトランクスタイプの大きな水着を着ると、更衣室を後にした。




