46流される? いいえ、流されません!
「ねーねー。にーにー。『キリンさん』みせてー」
ましろの懇願に、俊介は全力で首を横に振って、
「いやいや! 絶対ダメですよ!」
「えー。にーにーのケチンボー」
「うふふ、ましろ。いけずなお兄様に代わって、わたくしが殿方の『キリンさん』について詳しく解説してさしあげますわ」
俊介が思わず嫌な予感がするぐらい良い笑顔をして、和姫はましろに話しかけた。
「お兄様についている『キリンさん』なのですが、刺激を与えることによって、形状が変わったりするのですよ?」
「すごいー。それで、どんなのにかわるの?」
「例えば……『ゾウさん』とか」
「みたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「見せません!」
和姫とましろの会話の途中で、俊介は叫んだ。
興奮して叫んだせいで、湯船から大量にお湯が漏れてしまった。
と、その時。
「その通りよ、みんな! 兄さんの聖剣は、同等の力を分け合ったわたしだけのものよ!」
と、俊介の左隣にいるレイラが、俊介にもたれかかりながら割り込んだ。
「兄さんの鋭き刃は、今はまだ眠っている状態。でもね? より高次元の祝福を得ることによって、その眠りし刃は、『巨大なる聖剣――エクスカリバー』へと成長するのよ!」
「は、はあ。そうなんですか」
相変わらず何を言っているか分からないレイラの言葉に、俊介は曖昧に頷き返す。……というより分かりたくもないが。
ともかく、俊介は皆に話しかける。
「では、お話が盛り上がってるところ悪いんですけど。そろそろ――」
「レイラちゃん待って! お兄ちゃんのおちんちんは、みんなのものだよ!」
俊介の言葉を遮り、叫んだのは美鈴だった。
美鈴は俊介の首に腕を絡ませ、しなだれかかっている。
「いや、みんなのものも何も……」
「だから、みんなでお兄ちゃんのおちんちんを、分かち合えばいいんだよ! お兄ちゃんもさっき、『兄妹仲良くしてください』って言ってたじゃない!」
「確かに言いましたけど、意味合いが全然違います!」
「えっ、そうなの? じゃあ、あたしだけが1人占めしてもいいの?」
「いいわけありません!」
たまらず、俊介は大声を上げた。
すると、和姫が眉を吊り上げながら、
「皆様! おふざけはそれくらにしてくださいまし!」
と、乱痴気騒ぎを起こす妹達を叱りつけた。
何てまともなことを言うんだと、感動して俊介が後ろを振り向こうとした瞬間。和姫は俊介を腰に手を回し、ギュッと抱きしめた。背中からでもハッキリ分かるくらい、圧倒的なまでの乳圧だった。
「和姫さん! 何で抱きつくんですか!?」
「はい? だって、お兄様のおチンコ様はわたくしだけのものですから」
と言いながら、和姫は俊介の背中を抱く力を強める。
「あー。ずるいー。ましろもー」
和姫の様子を真似して、ましろも俊介の右隣から、肩に寄りかかってきた。
「ま、ましろさんまで……!」
もはや、俊介に逃げ場はなかった。
前門の虎、後門の狼とはよく言うが、今は左右前後と美少女に囲まれている。
互いに出し抜いたり、抜け駆けしようとしていたのも束の間、結局は、姉妹で結束して俊介を堕としにかかったわけだ。
絶対に堕ちてたまるか! そう思いつつも……。
「お兄様♡」
「兄さん……」
「お兄ちゃん!」
「にーにー♪」
妹達が、自らの裸体を俊介に押し付けてくるのだった。その柔らかさ、しなやかさ、瑞々しさは、ここは天国かと見まがうほどの心地よさだった。もう、モラルなど捨てて妹ハーレムを形成しようか。俊介の気持ちがそこまで揺れ動いた時。
「ダ、ダメです! やっぱりこんなの、おかしいです!」
ほんのわずかな差で、俊介の理性が勝った。
俊介は勢いよく体を揺らして、絡みつく妹達を全て振り払った。
「すみません! 先に出ます!」
そして、俊介は脱兎のごとく脱衣所へと駆け出した。
当然、取り残された妹達からは、
「お兄様! どうしたんですの!? せっかく初体験を捧げるチャンスでしたのに!」
「兄さん、運命の導きに逆らうの!? そのままだと体内に溜まった魔力が暴走してしまうから、わたしの体に開放してよ!」
「お、お兄ちゃん!? どうして逃げるの? せっかくの兄妹水いらずなのに! 戻ってきてよ!」
「にーにー! まだ100びょうかぞえてないよー!」
逃げ去る俊介の背中に、妹達のブーイングの声が響くのであった……。




