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花言葉ものがたりより「ハイビスカス」
青い空と青い海。
広い海岸には、私一人。
海風が心地よい。
春に移動してから、毎日残業だった。こんなにゆったりした気分は久しぶりだ。
それにしても、私どうしてこんなところでまったりしてるんだろう?
「ひどいじゃないですか」
背後から聞こえた声に驚いて振り返ると、真っ赤なTシャツに緑のハーフパンツ姿の少年が立っていた。金髪青い目の美少年だ。
「僕、待ってたんです」
私に外人の知り合いはいないわよ。人違いじゃない?
「僕の妹や弟たちはちゃんと見てあげてくださいね」
どういうこと?
『ちょっと待ってよ!』
自分の声に驚いて目を覚ます。
……なんだ、夢か。
時計を見ると、もう七時半。やだ、会社に遅れちゃう。
支度を整えて家を飛び出したら、鮮やかな赤と緑が目に入った。
門の脇に植えてあったハイビスカス。咲くのを楽しみにしていたのに、気が付かなかった。
「あ……」
花壇に、萎れて落ちた花冠がひとっつ。
「ごめんね」
小さく声をかけると
「いいですよ」
という、あの少年の声が聞こえたような気がした。





