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昔取ったきねづかで…と言いながら無双する定食屋のおっさん、実は伝説のダンジョン攻略者  作者: 九頭七尾


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第84話 いや普通にクビだぞ

 真夜中、俺はベッドの上で身動きを封じられていた。


 その犯人は信じられないことにアルバイトの大阪真緒。

 闇を操作するスキルを持っているという彼女は、気づかれないよう俺の影に干渉し、少しずつ支配していたという。


「ふふふ、このおうちにだって何度も侵入しましたよ? あなたがいないときにお風呂だっていただいちゃいましたし、そのベッドで寝たこともあります。あ、もちろん生まれたままの姿で」


 お願いだ。誰か助けてくれ。


「私のスキル、闇に隠れる能力もあるんですけど、それでこっそり後を付けたりもしました。最初は井の頭ダンジョンの試験のときだったと思います」

「そ、そんな頃から……っ!?」

「実は偶然あの試験に私も参加してたんですよ。まさか生で神オヂを見れるなんて思ってなかったので驚きましたし、それで改めて運命だって確信したんです。あなたを盗撮した動画、いっぱい持ってますよ? あのクソ外人との動画、あれも私が撮ったやつです。ふふふ、よかったですね? 私のような優秀なストーカーがいたお陰で冤罪が晴れて」


 一体誰が撮影したのかと思っていたが……まさかすぐ近くにいたなんて。

 てか、自分がストーカーだという自覚はあるのかよ。


「わ、悪いが、俺は君の気持に応えることはできない」

「ふふふ……何を言ってるんですか? あなたに選択権なんてないんですよ? だからこうして無理やり拘束してるんです」


 大坂真緒は俺の上に覆いかぶさってくる。


「さあ、私と一つになりましょう……っ!」

「マイルーム」

「……え?」


 一瞬で視界が暗闇から白へと変わった。

 同時に俺が寝ていたベッドも消滅し、白い床の上に背中からどさりと落ちる。


「ここは……?」

「俺のスキル、マイルームの空間だ」


 何も置かれていない、十畳ほどの広さの四角い部屋だ。

 天井も床も壁もひたすら真っ白で、先ほどまでの真っ暗な部屋とは真逆である。


「ふふふ、隣の部屋に声が聞こえるのが気になったんですか? 恥ずかしがり屋さんですね?」

「いや、ここなら暴れても大丈夫だからだ。……おおおおおおおおおおっ!」

「っ!?」


 俺は強引に拘束を解こうとする。

 周囲が暗闇ではなくなったお陰か、やはり先ほどよりも緩い印象だ。


「む、無駄ですよっ? どんなに足掻いても逃れることはできませんっ!」


 彼女の身体から闇が噴き出し、俺の全身に纏わりついてくる。


 ブチブチブチブチブチッ!!


 だが俺はそれを引き千切り、覆いかぶさっていた大阪真緒を押し退けて距離を取った。


「そ、そんなっ……私の拘束を無理やり引き剥がすなんてっ……」


 愕然とする大阪真緒。


「こうなったらもう君の思い通りにはならない」

「っ……」

「悪いが、今すぐ帰ってくれないか。そうすれば今回のことは水に流そう」


 本来なら彼女を警察に突き出すべきだろう。

 探索者は特別な能力を持っている分、罪を犯したときは厳しい処罰を受けることになるのだが……正直、甘いと言われるかもしれないが、俺はそれを望まない。


「これまでアルバイトとして、店を支えてもらった恩もあるからな」

「うぅぅ……やっと……神オヂと一つになれるって思ったのに……」


 マイルームから出ると、すっかり意気消沈した大阪真緒は大人しく俺の部屋から出ていってくれた。

 ただ去り際、何事もなかったかのように笑顔で振り返ると、


「では店長さん、また明日お店でよろしくお願いします」

「いや普通にクビだぞ?」


 何でバイトは続けられると思ったんだよ。

 ……やっぱりこの女を野放しにするのはマズかったかもしれない。




   ◇ ◇ ◇




【ニシダ大ピンチ】ケンちゃん食堂part101【バイト辞める】


無名の探索者

 あの美人バイトいなくなったんやが


無名の探索者

 マジで? 結構続いてたよな?


無名の探索者

 めちゃくちゃ頑張ってたのに


無名の探索者

 やっぱ常人には無理なんだよ


無名の探索者

 あの子どう考えても常人じゃねぇだろw


無名の探索者

 バイトいなくなってニシダ大変そう


無名の探索者

 客は増えてるからな


無名の探索者

 どうするんだろ? 新しく募集するんかな


無名の探索者

 なかなかおらんやろ


無名の探索者

 時給3万なんだがな


無名の探索者

 3万!?


無名の探索者

 時給で!? 日給の間違いじゃね?


無名の探索者

 いや間違いなく時給


無名の探索者

 探索者じゃないと務まらないからな。むしろ安い方かも


無名の探索者

 探索者ならダンジョンで稼ぐ方がいいしなー


無名の探索者

 探索者でも命を懸けるのが嫌な人いるし、そういう人にはありがたい求人かも


無名の探索者

 師匠がピンチなのか! これは心の弟子として捨て置けないぜ!


無名の探索者

 バイト希望?


無名の探索者

 誰だろ?


無名の探索者

 結構いるからな、ニシダの心の弟子


無名の探索者

 ぜひ頑張ってほしい


無名の探索者

 応援してる


無名の探索者

 おう! 任せておけ!




   ◇ ◇ ◇




 色々あって大坂真緒をクビにしたが、やはり彼女不在での店の切り盛りはめちゃくちゃ大変だった。

 一応新しいアルバイトを募集する張り紙を貼ったものの、彼女のような働きができる人がくるかというと、あまり期待できないだろう。


 そんなふうに思っていると、


「師匠! 聞いたぜ! バイトが辞めちまって大ピンチだってな! オレ様をバイトとして雇ってくれ!」


 店を訪ねてきたのは見覚えのある顔だった。


「お前は……確か、昇格試験のときの……田中正憲?」



 ……どう考えても接客業に向かなさそうな男が来たんだが?


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外れ勇者1巻
4月24日発売!!!
― 新着の感想 ―
痴女様、お客さんとして通ってきそうではある すさまじき神おじ執念が 一回の失敗ではなくならんやろ
ニシダさん、解雇は悪手だと思うんだが 目の前で働いてるとき=安全(監視できる) とも取れるので。 しかし、能力は認めてたのね 再雇用ありそう
大阪さんアッサリ退場ウケるー まぁニシダの心配はしてませんでしたが
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