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あやかし猫の散歩道  作者: 黒辺あゆみ
第三話 悪戯猫

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16/24

1 通い猫な私

散歩に出かけてうっかり結婚してしまったらしい水城弥奈、中学一年生です。

 衝撃の一日が過ぎた次の日の朝の学校で、私は案の定、美加子に詰め寄られたよ。


「弥奈、昨日のはどういうこと⁉

 あのイケメン様はなに⁉」


顔が近い美加子を、私は両手で遠ざけつつ、昨日のうちに考えた言い訳を話す。


「それがさぁ、なんかね、こないだ財布が落ちていたのを拾ったから警察に届けたのが、どうもあの人のだったらしくて、お礼をしたいとかいう話だったかも、なんてね」


私はできるだけ本当っぽく話したと思う。美加子の勢いが怖くて、ちょっとしどろもどろになっちゃったのは、仕方ないよね。

 この私の言い訳を聞いて、美加子がクワッと目を大きく開ける。


「なにそれ⁉

 あんなイケメンを引っかけたんなら、私にも教えときなさいよね!」


怖い、怖いから美加子、その顔をまた近付けないで!


「イケメンかどうかなんて、拾った財布じゃわかんないでしょうが」


「なによ、イケメン様は財布の形状とか沁み込んでいるオーラでわかるでしょ、普通!?」


いやいや、無茶言わないでよ、そんな普通知らないし。

 けど私が頑張って考えた言い訳に、美加子はすんなりと流されてくれた。よかった!

 あとは、このまま忘れてくれることを祈る!

 ……しばらく無理そうだけどね。

 そんなこんながありつつも、中学校生活がスタートしたんだけど。

 入学する前は部活動とかに憧れていたし、美加子ともどういう部活がいいかとか話して盛り上がっていたんだけど。

 正直今は、そういう気分じゃない。

 っていうか、それどころじゃない。

 というのも、私には一日でこなすべきことが増えたからだ。



 お屋敷探検をしてから一週間経った。

 この間私は毎日夜に、雅貴のお屋敷へ通っている。

 雅貴とあやかしについて教え合いっこをするためっていうのも、もちろんあるんだけどね?

 私と雅貴はお互いのことをなんにも知らないわけだから、まずその知らないことを埋めていくといいのではないか……って、お屋敷の執事さんに言われたのよ。

 そう、私と雅貴の発案ではない。

 それで、だったら夜の散歩のときに寄ってやるくらいならってことで、通うようになったワケ。

 なんで夜の猫の時かっていうと、そもそも雅貴のことを家族に言えてないから、家族がいる前で出かけるのは、理由に困るからだ。

 だって、なんて説明するの?

 どこぞのあやかしなご先祖様のおかげで結婚しちゃいましたって?

 頭がおかしいか、怪しい宗教にハマったかって思われちゃうよ。

 だからいつものように皆が寝た後に、猫で散歩がてら訪ねるのが一番いいってことになったの。

 だからね、いつもよりも早く部屋に引っ込む必要があるから、家事とかを前倒しでこなさないといけないワケよ。おかげでなんだか忙しいわ、私って。

 その時に雅貴から聞いた、石動っていう一族についてなんだけど。

 始祖のあやかしは九尾の狐――九本も尻尾を持っている狐のあやかしだったんだって。

 ウチのご先祖様は尻尾が三本あったってお母さんから聞いているから、尻尾の数で負けているや。

 石動家は昔々から狐のあやかしの妖術を生かして色々なお仕事をして、お偉いさんに気に入られて財を築いたらしい。

 狐の妖術なんて誰も使えなくなった今でも、石動の人は普通の人よりもカンが鋭いみたいで、事業をすれば成り上がって、占いをすれば大当たりしてと、ここぞという時に成功を収めて今に至るんだってさ。

 う~ん、なんか人に紛れてひっそり生きてきたっぽいウチとは、大違いだな。

 そんで、そんな一族の中で雅貴は「先祖返り」っていうのに生まれついたらしい。

 そのせいで家族の中で居場所が無くて、高校入学をキッカケに家を出てココへ越してきたってワケらしい。

 引っ越したばっかりだったんなら、私がこんなご近所にあやかし仲間がいることに気付かなくても無理ないよね。

 そしてついでに、最初に私が間違えられた「鬼」は、あやかしとは違うものなんだそうで。

 あやかしは自然の生き物の化身だけど、鬼は生き物たちの恨みつらみが集まって変化したものなんだってさ。

 そんなのと間違えられるなんて、ヒドくない!?

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