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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第三章 紫陽花の季節

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●第八話 いつだってあなたを見てるから

 筋肉痛が治ったが、僕の心はやはり冴えない。真夜が来馬に告白された――。

 少しビックリしたが、だからといって僕が気にすることではないはずだ。だって、真夜は幼なじみであり、僕の恋人は葵なのだ。気にするほうがおかしい。


「ううん――」


 頭では理解しているのに、真夜のことが気になってしまう。


「いかん、いかん、これから葵とご飯を食べるのに、失礼だろ」


 恋人と二人きりの食事中に、他の女性のことを考えるのは、浮気というものではないのか。


「いや、でもなぁ?」


 別に、僕は真夜が好きというわけではないのだ。そりゃあ、友達として、幼なじみとしてずっと一緒にいたし、性格は違うが気の合う仲間、そう仲間のような感覚――。

 渡り廊下を過ぎ、文芸部の部室まで来てしまった。

 入りづらい。

 この扉の向こうに、葵がお弁当を作って待っていてくれるというのに、それを思うと、僕はどんな顔をして彼女と会えば良いのか迷ってしまう。

 部室の引き戸を開けようとすると、向こうから先に開いた。


「悠真くん、良かった。遅いから、何かあったのかと心配しちゃった。私、心配性すぎるよね」

「いやいや、ごめん、遅くなって。ちょっと考え事をしてただけなんだ。何でも無いよ」


 僕は努めて笑顔で言う。


「そう? でも、林間学校が終わってから、ううん、林間学校から帰るときから、なんだか悠真くん、少し元気がないみたい。何か私で相談に乗れることがあったら、何でもいいから言ってね」


「ありがとう。そうだな――なら、聞いて欲しい」


 僕は葵にすべてを話そうと思った。ここまで僕のことを気にしてくれているのに、それを話さないのはなんだか卑怯に思えてしまったからだ。もし、それで別れるなんて言われても、僕がすべて悪いのだ。


「実は――」


 来馬が真夜に告白したこと。

 それが気になって仕方が無いということ。


「なんだ、そんなことだったんだ。良かった。私、別れ話を切り出されるかなって、ちょっと心配しちゃった」

「それはないけど、そんなこと、かな?」

「うん。だって、真夜さんって悠真くんにとってずっと一緒の幼なじみで、家族みたいなものでしょう? 真夜さんだってそんなことを言ってたし」

「そうだな。うん、妹みたいなものかな。妹が今までいたことがないから、よく分からないんだけど」

「ふふ、そうね。でも、妹が告白されたなんて聞いたら、仲のいいお兄さんなら、ちょっと心配になるんじゃないかな?」

「ああ、なるほど、兄としてなのか」

「そう。きっとそうだよ。だって、そのぅ……、ゆ、悠真くんは私が好き、なんですよね?」

「ああ、もちろん! 葵が好きだよ」


 僕は心の底から、ありのままの気持ちを堂々と告げる。


「う、うん。だから、気にしなくて良いの。私は、悠真くんを信じてるから」

「ありがとう。ふぅ、変に考えすぎちゃったなぁ……」

「ふふっ。じゃあ、お弁当、食べましょうか?」

「ああ」

「今日はおにぎりとハンバーグにしてみました」

「いいね!」


 僕の大好物だ。それを恋人である彼女が作ってくれて、しかもお互いに笑顔で食事ができる。

 僕はこの貴重な時間と葵の彼氏になれたことが、とてもありがたかった。


 願わくば、ずっと葵と一緒にいられますように――

 僕らは、義理の兄妹で恋人なのだ。

 文芸部の締め切られたカーテン越しに、強い日差しが僕らを照らしている。

 僕らは二人で初めての初夏を迎えようとしていた。


―― 完 ――

最後まで読んでくれてありがとうございます。

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