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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第三章 紫陽花の季節

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●第五話 学園の人気者

 山の頂上付近にあるロッジのような施設では、生徒全員におにぎりが昼食として振るまわれた。

普段なら物足りないと言いそうなところだが、十キロを踏破したあとの生徒のほとんどは食欲も失っており、文句はあまり出なかった。


「腹減ったー。肉~! 肉を食わせろー!」


 真夜は普段からよく食べるので全然足りなかったようだが。


「冬月、これ、使うか?」


 同室になった来馬きばが自分の足に吹き付けていたエアーサロンパスを見せてくる。


「いいのか? クラスの男子は僕をハブるとか言ってたみたいだけど」

「ハハ、あんなの真に受けるなよ。その場のノリってヤツだし、本当にやってたらいじめみたいになるだろ」

「それに、足をくじいた鈴崎さんを背負って上がっていただろう。うらやまけしから――オホン、いや、クラスメイトとしては賞賛すべき行動だ」


 明智がチタンフレームの眼鏡を指で直しながら言う。アレから結局、男の体育教師に見つかって、泣く泣く頂上まで歩いてきたらしい。


「ありがとう。じゃ、遠慮なく使わせてもらうよ。実を言うと足がパンパンできつくって」

「細い体で無理するからだ。降りるときは僕に言ってくれ。代わりに鈴崎さんをおぶってあげるよ」

「うん、僕がダメそうならその時は頼むよ」

「ああ。じゃ、僕は友達のところへ行ってくる。エアサロはそのリュックのそばに置いといてくれればいいから」

「わかった」


 来馬が部屋を出ていった。寝転がって休憩していると、スマホをいじっていた明智が僕に聞いてくる。


「冬月、お前の父親、鈴崎葵の母親と再婚したって聞いたが、本当なのか」

「えっ、誰から聞いたんだ?」

「直接聞いたわけじゃないが、大葉がそう話しているのを聞いたぞ」


 となればごまかしても無駄だろう。秀才の明智は嘘なんてすぐ見抜くだろうし。


「ああ、ま、事実だよ」

「くそっ。すると何か? お前はクラスメイトの鈴崎葵と一つ屋根の下で暮らしているとそういうことなんだな?」

「ちょっと待ってくれ。まるで同棲みたいな言い方をしてるが、彼女の母親も一緒だし、うちも父さんがいるんだぞ。部屋もちゃんと別々だ」

「そうか……なら今回だけは許してやる」


 黙り込んだ明智はそれで話は終わりだというように背を向けて寝転がり、スマホをいじりだした。しかし、そのときにチラッと見えてしまったが、待ち受けに葵の写真を使っているとか、モヤモヤしてしまう。僕が彼氏だと宣言しない限りは、その画像を使うなとも言えないだろうし、言ったとしても、葵が雑誌に載っている時点で日本全国の男子に私的利用されているわけで……。


「ううん……」


 気にすまい。彼女が微笑んでくれるのは僕だけなのだ。

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