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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第三章 紫陽花の季節

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●第一話 班決め(2)

「じゃ、悠真、アタシと組もうぜ。どうせお前、余るだろ」


 真夜が言う。まるで捨て犬のように言われるのは納得がいかないが、あとあとまで残って拾ってもらえないのも痛々しいからな。僕はこれ幸いと席を立つ。


「わー、いいですねー、冬月くんと大葉さんっていつもラブラブですよねー、青春ですねー。キャッ」


 などと先生がとんでもない茶化しをやってくれるし。


「あぁ? ちっげーよ、先生、アタシとこいつはタダの幼なじみだっての!」

「そうですよ。別にラブラブとかではないですから。全然」

「えー、でも、休みの日とかにもよく遊んでたりするんでしょう?」

「まあな」


 オイ。


「きゃー! みんな聞いた? 聞いた? 冬月くんと大葉さん、休みは一緒に遊んでるんですって!」

「ええ……!?」

「マジかよ」

「先生、その二人は小学校からの幼なじみってだけですから、あまりからかわないであげてください。騒いでるとまた隣の教室の先生に怒られますよ。単なる班決めですから。ささっと決めてしまいましょう」


 委員長が冷静にあしらってくれた。うちの委員長は真面目で助かる。


「おっと、そうね、ごめんごめん。はーい、静かに、真面目に、班決めをやりましょう」


 だが先生がそんなことを言うものだから、クラスのみんながざわついた。


「あいつらガチで付き合ってんの?」

「さあ? でもいつも一緒で仲がいいよね。ノートも見せ合ってるし」

「下の名前で呼び捨てだもの、決まってるわよ」

「おのれ冬月……休みの日はおろか、学校でもイチャつきやがって!」

「おい、再来週まであいつハブろうぜ」

「「「賛成!」」」


 おいおい……またか。勘違いにも程がある。


「だから、悠真とはタダの幼なじみだってさっきから言ってるだろ」


 真夜が釈明するが、相変わらず下の名前で呼んでるからなぁ。女子はニヤニヤ、男子はギロリと、誤解が解けた様子はない。


「はーい静かに。じゃ、他の班もどんどん決めていってね」

「ったく。じゃ、他は誰がいいかな。おお、葵、お前もこっちの班に来いよ」

「あ、はい」


 真夜が誘ってくれたので、葵と一緒の班になれた。今のは自分で誘った方が得点が高いが、クラスの注目を浴びている中で女子を指名するなんて僕には無理だ。ごめん、葵。


「冬月、お前が謝るんだったら、オレがお前の班に入ってやっても、べ、別にいいんだからな!」


 明智が他の男子に見つからないよう、屈んでコソコソとこっちにやってきて言うが、お前はツンデレかよ。


「謝るつもりはないが、まあ、入れてやろう」


 どうせコイツもボッチだし。


「真夜、明智もいいか?」

「ああ、いいぜ。お前の友達だろ。入れてやれよ、それは。葵もいいよな?」

「あっ、はい」


 上手くまとまった。


「いっちゃーん、こっちおいでー」

「うん、いくー」

「まっつん、オレらの班で組もうぜ」

「おう」


 すぐにクラスの仲良し同士がくっつき合い、それで人数が余ってしまったところは残念そうに別の班に入っていく。仲良し四人グループはこういうときはちょっと辛いな。今も四人でジャンケンを始めたグループがいる。


「せーの、ジャンケン、ポン! うわ、負けたー。ねえ、真夜、私あぶれちゃったから、そっちに入れてもらっていい? まだ女子枠が一人空いてるよね?」

「ああ、いいぜ。葵もいいよな?」

「あ、はい。大丈夫です」

「ありがと~。冬月くんと明智くんも、よろー」


 明るい女子の伊吹がやってきた。


「冬月、冬月」

「なんだよ、明智」

「伊吹は陽キャすぎる。拒否しろ」

「ええっ? お前、僕らにそんな拒否権があるわけないだろ」


 スクールカーストとして上位の女子を僕らオタク風情が拒否なんてしたら、クラスの女子全員の逆鱗に触れてしまう。女子が団結して総攻撃してくる恐ろしさを明智はわかってない。


「はーい、じゃ、みんなそろそろ決まったかなー?」

「先生、男子の五人グループと四人グループが揉めてますー」

「いや、揉めてないだろ。四人のグループから一人こっちにくれば、三人ずつで全部揃うんだ」

「いやいや、先生、四人グループが一つくらいあってもいいっしょ?」

「ええ? ええとぉ……」

「いや、先生を困らせるなよ。わかった。僕が二人グループのところへ入るよ。大葉、そっちに入れてもらっていいかな?」

「ああ、来馬くるまなら大歓迎だぜ」


 真夜が笑顔で言う。ま、僕も反対はない。来馬翔はバスケ部のエースとして活躍し、次期キャプテンとの噂もあり、誰に対しても紳士的なヤツだ。クラスでも男女問わず人気があり、百九十センチの高身長から繰り出されるキリッとした顔と輝く歯はいちいち様になる。


「えー、ショーくんはこっちの班でもいいよ。邪魔な男子、誰か出てってー」

「なんだよ、ショーは真夜のところかよ」

「ケッ、来馬かよ」


 男子と女子のグループが来馬を取れないことを残念がる中で、舌打ちした明智はたぶんウチのクラスでは唯一のアンチだな。おおかた理由は、リア充が憎い、それだけのことだろう。

「なんだ明智、僕だとまずいか?」

「あ、いや、別に」


 せっかく拒否権が使えただろうに、あっさりと黙り込む明智。ま、それだと明智にブーイングが来そうだからなぁ。


「ならいいけど。他にこの班で反対の人はいるかい?」

「やだー、そんなのいるわけないって」

「悠真も葵もいいよな?」

「ああ、構わないよ」

「私も大丈夫です」

「オーケー、じゃ、よろしく」


 ハイタッチを要求されたので、こちらも付き合う。


「いえーい」「いえーい」


 葵はこういうのが苦手かなと心配したが、来馬は一応両手を構えて誘ったものの、葵が戸惑うとみるや、すぐにやめてグッジョブサインに切り替えた。こういう細やかな気遣いもできる男だ。


「お待たせ、委員長、これであとは三人班と四人班だけだから、もう決定でいいんじゃないか?」

「そうだね。先生、決まりました」


 委員長が言い、副委員長が黒板に名前を書き足す。冬月悠真、大葉真夜、鈴崎葵、明智光一、来馬翔、伊吹摩耶の六人が僕の班になった。


「はーい、みんなよくできましたー。花丸でーす♪」


 班決め程度で花丸をもらってしまったが、クラスのみんなもどこか誇らしげだ。

 しかし、林間学校はどうなることやら。

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