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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第三章 紫陽花の季節

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●第一話 班決め

 楽しかったゴールデンウイークが終わり、今日から学校だ。……だるいなぁ。

 ま、行くか。


「よう、冬月、ゴールデンウイークはどうだった?」


 教室に入ると明智が聞いてきた。明智とは休み中もオンラインで対戦ゲームをやったり、MMORPGの狩りを一緒にやったりしたけれど、休み中に何をしていたかまでは聞いていない。ゲーム中だとガチ勢は敵への指示や索敵で忙しく、のんびりチャットをするなんてヒマは無いものな。他のプレイヤーも参加していたりするから、本名は使わないし、家のことはあまり話さないのだ。


「そうだな、今年は家族旅行に行ったし、豪華だったぞ」

「へえ、どこに行ったんだ? 連休中なんてどこも混み合うだろう」

「まあ人が多かったな。ディスティニーランドに行ってきた。泊まり込みで」

「なっ、なんだと? お前、あのチャラ系女子とカップルしか行かないような所へ行ったのかよ」


 どうしてそんな呪われた場所なんかに行くの?という引き気味の顔をする明智。


「いやいや、待て。普通の家族連れも多かったし、チャラ系ってことはないはずだぞ」

「そうかなぁ。ま、お前は顔が良いし、眼鏡じゃないから許されるかもしれないけど」

「別に眼鏡をかけた人が許されない場所ってわけじゃないが……」

「嘘つけ。オレみたいなのが一人でもいたか?」

「いなかったな」


 オタクっぽい男子は見かけなかったし、あそこは男一人で行くような場所でもない。


「ほらみろ。変に上級国民の哀れみを出さなくていいんだぞ」

「あのな、うちは家こそ無駄にデカいが、食いもんは悪かったし、父さんは働きづめのワーカホリックだぞ? 上級なんかじゃないよ。僕は将来、父さんみたいに学校よりも長い時間を働くなんてうんざりだな」

「それはオレだって同じだが、冬月、お前今、食いもんを過去形で言ったよな?」


 こういうところは鋭いな。


「まあな。再婚した新しい母さんが凝った手料理を作ってくれてる」

「へぇー。実際のところ、親の再婚ってどうなの? あんまりそこ、突っ込んで聞いたらアウトかもしれないけどさ、急に他人がやってきて、上手くやれるものなのか?」

「ああ、まあ、人柄が良い人達だから、大丈夫そうだ。上手くやってるよ」

「なら良かったな。あーあ、オレは早く大学生になって家を出たいよ。親が勉強しろ勉強しろってうるさくって」


 明智の両親は教育熱心なのだろう。うちは、前の母さんが成績を気にしていたけれど、父さんはそうでもないからな。


「悠真、男は勉強だけできてもダメだぞ。友達と上手くやって、いい女を捕まえたヤツが偉いんだ」


 ああ言われてしまうと、ときどき勉強しないと父さんみたいに会社や上司にこき使われて働きっぱなしになりそうだから、という危機感が出てくるんだよな。父さんが意図してそれをやっているとは思えないが、勉強しろと言われなくても僕は宿題もそれなりにきちんとやっている。最低限だけど。


「はーい、みんなー、ロングホームルームをはっじめるよー、席に着いてねー」


 担任の桃山先生がやってきて言う。美人で優しい先生なのでクラスの男子には人気が高いが、どこか小学校の先生みたいな感じがある。


「じゃ、再来週の林間学校について今から説明しまーす。一番前の席の子は、プリントを取りに来てねー。ちゃんと後ろの人にも渡してくださいねー」


 プリントが回ってきたので後ろに渡して、自分の分を読む。当日はカレーを生徒全員で作るようで、肉や野菜を家から持って来いとのお達しだ。こんなキャンプみたいな授業が将来何の役に立つのかさっぱりわからん。とはいえ、学校の行事だし、成績にも響くだろうから、真面目にやっておかないとな。必要最低限で。


「先輩から聞いたけど、めっちゃキツいらしいぞ、林間学校って」

「十キロも歩かされるんだって」

「マラソンかよ。なんで車や電車で行ける時代にそんな距離を歩かにゃならんのだ」

「アタシ、カレーよりラーメンやロールケーキ食べたい~」

「はーい、みんな静かに。いいですかぁー、これはみんなのご飯が懸かっているんです。毎年、これでおふざけした班はメシマズで人生最悪の思い出になるから注意してくださいねー。高校生活で一回限りの林間学校ですよ。一生に一回きりなら、最高の思い出を自分達でプロデュースしましょうねー」


 わりと真面目な内容を言ってるはずなのに、間延びした声優声のせいで雰囲気がふんわりしている。大丈夫かなぁ? クラスの連中もどこかにこにことほわわんとした顔つきになっているんだが。


「じゃ、持参するものや日時はそこに書いてあるとおりですから、みんなよく目を通しておいてねー。材料を忘れた人は、めっですよー。あとぉー、細かいことは生徒みんなでテキトーに決めちゃってくれていいので、とにかくイイ感じで頑張りましょー」


「「「はーい」」」


 先生と同じノリで返事をするクラスメイト一同。不安だ。自主性を重んじて生徒達が自由にルールを決めていい、というのは聞こえがいいが、このクラスの場合は計画性が甘くなりそう。プログラムにおいても最初の設計をミスると、とたんにスパゲッティのように複雑怪奇にこんがらがって、あとから手が付けられなくなるからな。


「みーちゃん、可愛いよなぁ」

「オレ、このクラスで最高だわ」


 何人かの男子生徒がニマニマしているが、こういう先生っていざというとき頼りにならない気がするんだよな。


「じゃ、今から班決めをしましょー。クラス委員長と副委員長さん、ぜーんぶ任せちゃうから、頑張って! ええと、一班が六人、男女比が同じになるように割り振ってね」

「わかりました。じゃ、先生、好きな者同士で決めていってもいいでしょうか?」

「いいですよー。好きな人同士で組むほうが絶対、楽しいですもんねー。仲良しこよしでゴー!」

「「「ゴー!」」」


 出たよ、陽キャの無慈悲で配慮のない結束。その裏で僕らのような友達が少ない陰キャ達は表情を硬くし、自分たちが一人だけ余らないかと恐怖するのだ。


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