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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第三章 紫陽花の季節

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●第四話 共同作戦

 まず、文芸部だけで百人以上の生徒を集める催しは難しい。


 今までも文化祭で集まりは悪かったと聞いている。

 アニメやマンガに比べると、お堅い小説はなかなか人を集めにくい。


「なら、他の部と協力すればいいさ」

「そうですね。会長がどういう判断をされるかわかりませんが、それでも、一定の人数を集めたら延期を考えてくれるかもしれません」

「ああ。とにかく、合同の出展で、人数を集めて応援してくれる生徒や先生を増やさないと」


 廃部のターゲットにされている映写部とゲーム部なら、協力してくれるだろう。

 僕はさっそく葵と一緒に、映写部とゲーム部を訪ねてみた。


「あれ、閉まってるな。昼休憩は活動してないみたいだ」

「そうですね。じゃあ、放課後に」

「そうだな……」


 活動自体も怪しくなってきた。それでも放課後、映写部とゲーム部を訪ねて、協力体制を取ることをそれぞれの部長と約束してもらった。ただ、どちらも活動している人数は数人、そのほとんどが幽霊部員だそうで、しかも今回の生徒会会長に恐れをなして部に出てこなくなった者もいるという。

 何だか頼りない。


「それで、鈴崎さん、合同で出展って、何をやるんだい?」


 映写部の部長が聞く。


「いえ、まだ内容は決めていません。それをこの場で話し合えればと思ったのですが……」

「なんだ、何かプランがあるのかと思った。一週間だよ? 無理だって」


 肩をすくめる映写部もゲーム部も、部員達にやる気が感じられない。

 困った顔をする葵だけに任せるわけにもいかないな。僕は部外者だが、協力者として発言させてもらうとしよう。


「まだ時間はある。文芸部、映写部、ゲーム部でどの部にとっても実績と認められるような展示を作れば良いと思うけど」

「合作かぁ。言うのは簡単だけどね。何を作ろうか? 僕はヴィジュアルノベルなんかいいかもって思うけど」


 ゲーム部の部長が提案する。なるほど、画面に文字と絵が表示されるゲームなら、ゲーム部の活動と言えるし、文芸部の活動とも言えるだろう。映写部は、映像に協力かな。写真とか。


「悪くは無いけど、それで人が集まると思うか?」


 映写部の部長が言う。


「難しいよねぇ……」


 結局、時間内に結論は出ず、また話し合うことにして僕らは解散した。


「時間も足りないなぁ」


 家に帰り、勉強机に向かって考える。

 やはり一週間という期限はあまりに早すぎる。生徒会をあっと言わせる力作の展示だとどうしても準備に時間がかかりそうだ。


「何か、さっとできるようなものは……」


 適当にネットで検索をかけるが、どれも時間が掛かりそうなものばかりだ。


「ん? 団長ノーラのライブ? いやいや、今はそんなの見てる場合じゃないし」


 Vチューバーの通知が来たが、今はそれどころではないのだ。

 しかし、ちょっとだけ、ちょっとだけ見に行く。

 アイチューブの画面を開くと、すでに何百人ものコメントが寄せられていた。


「相変わらず、凄い人気だなぁ。ハッ! 人気……これか!」


 僕は思いついた。

 男子高校生を釘付けにする可愛いアニメキャラ。ヴァーチャルなアイドル。

 これを文化祭で出したならば……


「行ける!」


 僕はすぐにゲーム部の部長に連絡を取った。




「いや、まあ、実を言うとVチューバーの機材はある」

「うちもあるぞ」

「おお、それじゃ、ひょっとしてすでにそっちで活動を?」

「バカ言え、うちのどこに女子部員がいるんだよ。こいつは皮だけ動かして、あとは機械音声だ」

「なんだ……」

「うちもそうだな。一応、女子はいるんだが、やりたがらなくって」

「いるんなら映写部でやってくれよ。これはウケると思うぞ。ゲーム部は賛成だ」

「まあ、頼んではみるけどな」


 数分後、その女子部員からメールが返ってきた様子。


「やっぱりダメだ。やらないってさ」

「そうか……。なら、機械音声でいくか」

「でも、それ使うくらいなら、男の声でいいんじゃないか?」

「いや、男の声はないだろ。それじゃ再生数も全然伸びないし」


 三人とも押し黙る。理想を言えば女子の声がいいのだ。だが、やはり、本職の声優でもなければ、アイチューブで何万人もの登録者数を集めるのは難しいのだろう。




「ここまでか……」


 僕はため息を付く。だけど、葵との時間は何もあの文芸部の部室だけではないのだ。

 昼休みの楽しみが減ってしまうのは残念だけれど、葵とは家でも学校でも会える。

 ただ……、葵が好きな部活をできなくなるというのは、残念だ。


「あの、悠真くん」


 ノックがあり、葵が部屋に入ってきた。


「うん。実はさっき、Vチューバーでやってみたらどうかって話をしてたんだけどね」

「ああ、Vチューバーですか」


 葵もその辺はよく知っているようで、良いアイディアだとばかりにうなずいてくれた。


「でも、やってくれそうな女子部員がいないって」

「そうですか……。あの、顔は出ませんよね?」

「出ないね。匿名にすれば声だけだし、声だって少しボイスチェンジャーで変えられるし」


「なら、私がやります」


「えっ! 葵が?」


「はい。だって、悠真くんとの一緒のお昼時間。やっぱり無くすのは心残りがあって」

「そう。よし、じゃあ、やってみよう。最後の悪あがきだ。それでダメなら、諦めるってことで」

「はい」


 不安がないわけじゃないけど、ここは葵に任せることにする。

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