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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第一章 そして僕らは家族になっていた

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●第一話 二人きりの作戦会議

「「「ごちそうさまでした」」」


 豪勢な特上にぎり寿司五人前と、手作りのおいしいお吸い物を堪能した。


「じゃ、こっちの片付けはいいから、葵、あなたは自分の部屋の荷ほどきをいくらか済ませておきなさい。まだ明日は学校でしょ」


 真理亜さんが言う。


「うん」

「ん? 荷ほどき?」

「昼間のうちに引っ越しの荷物を運んであるんだ。今日からみんな家族だからな。葵ちゃん達もここに住むぞ」


 父さんが衝撃的なことを宣言した。


「えええっ?」


 二人が一緒にこの家に住むだって? 聞いてねーよ!


「ええと、悠真くん、何か問題でもあるの?」


 真理亜さんが少し心配顔で聞いてくる。


「ああいえ、そうじゃなくて、聞いてなかったからビックリしただけなので」

「いや、オレは話したぞ。大事な話はきちんと聞いておけ」


 それは理不尽だろう。すべて説明不足の父さんが悪い。


「まあいい、二階にちょうど使ってない部屋があっただろう。そこが葵ちゃんの部屋だ」

「父さん、あそこって物置状態になってたのに、片付けたんだ?」

「ああ、苦労したぞ」

「言ってくれれば手伝ったのに」

「はは、まあそれはいいじゃないか」


 父さんは僕に反対されないよう、外堀から埋めてきた感じだな。やれやれ。

 とはいえ、これで鈴崎――いや、葵と話せる時間ができた。今回のことについて話し合わないと。


「父さん、僕の部屋はそのまま二階の階段のすぐ隣でいいんだよね?」

「ああ、お前の部屋はそのまんまだから気にしなくていいぞ」


 よし、これで部屋の位置を知った葵が荷ほどきの最中に僕の部屋にやってくるだろう。ちらりと彼女とアイコンタクトを交わし、お互いに軽くうなずき合う。

 洗面所で食後の歯磨きをしたが、すでに葵たちのマグカップと歯ブラシも置いてあった。今朝はまだ無かったから、昼間のうちに父さんが置いたのだろう。

 マジでここに住むのか……。好きな彼女が同じ屋根の下……ううむ、ちょっと理解が追いつかない。

 部屋に戻ってしばらく待っていると、ノックがあった。

 開けると、やはり葵だった。


「入っていいですか?」

「うん、入って」

「お、お邪魔します」


 たぶん、葵は男子の部屋に入るなんて初めての経験なのだろう。少しうわずって緊張した声だ。

 って! しまった!


「ああ、部屋を片付けておくんだった……」

「ふふっ、ゆ、悠真くんの部屋って、綺麗に片付いていると思いますけど」

「そうかなあ」


 今も携帯ゲーム機がベッドの上に投げっぱなしだ。


「それよりも、今後のことですけど……」

「ああ」


 僕も葵も難しい顔になる。


「こ、これから、私達はどうすればいいんでしょう……?」


 葵が不安そうな表情で、両手の指をこすり合わせながら聞いてきた。


「それは……」


 僕もどうしていいのか答えを見いだせない。それぞれの親が急に再婚して、僕らが義理の家族という関係になってしまうとは。昨日まで彼氏彼女だったのに、今日からは兄と妹だなんて。


「私、お母さんの再婚は賛成なので。今まで苦労した分、幸せになって欲しいんです」


 葵が言う。


「うん。僕もそれは反対しないし、父さんも凄く嬉しそうだったから再婚は賛成だよ」


 これは偽らざる気持ちだ。僕が小学校の時に前の母さんは離婚して家を出ていってしまった。それから父さんは一人で家のことをやって、まぁ完璧にやれていたとは言いがたいけど、夜遅くまで仕事をやって休みの日にも家事と、忙しくしていたのだ。


「けど、それだと私とあなたは義理の兄妹になってしまうから……恋人のままではいられないと思います」

「そうだね……」


 違う、と言いたいけれど、そこは動かしようのない事実。

ひょっとすると法的には義理の兄妹でも結婚が可能かもしれない。あとでネットで調べてみよう。ただ、高校生の恋人がひとつ屋根の下で暮らすとなると色々と問題がありそうだし、何より僕と葵が付き合っていると父さん達に知られてしまったら、どうなるか……。


 やっぱりあの二人のことだ、自分たちの結婚を解消してでも子供を優先してしまうはず。


 だが、それではダメなのだ。それでは僕は全然幸せにはなれない。葵も、きっと。


「私、あなたの恋人という立場になってから凄くドキドキして、苦しいときもあるんですけど、とても心地良いときもあって、何も無かったことにはしたくないというか……。いいえ、この気持ちを知ってしまったら、もう元には戻れない」


 葵がはっきりと自分の感情を口にした。そうなのだ、僕だってこの気持ちを知ってしまったら、もう戻れない。戻りたくないとか、戻りたいとか、そういう選択の余地も無さそうだった。


「そうだな……僕らはもしも恋人として別れたとしても、家族としてしばらくは一緒に生活するはずだから、きっとぎくしゃくしてお互い傷ついてしまうと思う」


 考えたくないことだが、一度恋人になった以上、その感情と関係をリセットして普通の兄妹になるというのは僕らにはできそうにない。

 そうなれば、父さん達にも心配をかけるだろうし、もしも二人の関係がバレれば離婚ということになる。


 それだけは……それだけは、ダメだ。


 また離婚だなんて、冗談じゃない。あんなつらくて惨めな思い、僕はもう二度としたくなかった。

 だから決めた。


「隠し通そう」


 僕は葵の目を見て力強く言う。

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