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Dive and Rise-2

 有人艇を括り付けた無人艇を見送ってから五分、俺は動けなかった。

「ぜってー帰ってやる。死んでも生きて帰ってやるぞ、コンチクショー!」

 俺は一人ぼっちのブリッジで思い切り叫ぶと、行動を開始した。

 まずは生き残ることだ。センサー群を必要なだけ起動し、有事にはシールドを「艦長」じへと集中するように仕掛ける。そのくらいの設定は自力できなきゃ、艦長やってられない。

 でだ。

 設定できたら、こんどはメシだ。食わなきゃ死ぬ。

 もちろん、調理師も栄養士も送り出してしまったから、自動調理で出てくるものを食うしかない。ま、バリエーションは豊富だから飽きはしないし、材料も一人で食うには腐るほどある。問題は食いすぎと偏食だな。

 そいつが壊れても、保存食はあるさ。

 さしあたり、俺は背油たっぷりのとんこつラーメンとニンニクたっぷりの餃子を作らせ、景気付けに食うことにした。今なら臭くたって誰も文句言わねえぞ、チクショー。

 スイッチを押す。そしてあっけなく出てくるラーメン餃子。

『おまたせしました。餃子セット』

 KKのシステムボイスがおまけについてきた。そういや、普段意識してないがいつも聞いてるんだよな。こう誰もいないと、なんだかうれしい。なんだか、誰かの声に聞こえなくもない。

 だーっ、なわきゃねえ。

 KKのシステムボイスだから、K子とでも呼んでみよう。ごっつぁんK子。

 そんなことで気分を良くしつつ食ってみる。それなりにうまいんだが、おやっさんが目の前でつくるのと違い味気ないぞ。味気ないのはそれだけじゃないが、まあ、それを言ったら負けだと思う。

 俺はそいつを十五分で平らげて片付けマシンにぶちこむと、さっきのナブロクレ母艦に通信回線を開いてみた。

 駄目もとのつもりだったが、あっさりとつながり、さっきの偉そうなナブロクレがでてきた。まあ、別人でも、服でしか区別つかないんだが。

「さっきのブツだが、軌道をそらせておいた」

『最初からなぜそうしない』

 ひどい物言いだな。

「そういうな。こっちも事情は知らなかったんだ」

『ふん、まったく今更だ。はじめからわかっていれば、別の方法もあったものを』

 知るか。そっちが、早いところケトルをどけろと言っていれば、そもそも死人の一人もでなかったじゃないか。黙って定期船を攻撃したり、施設を破壊したりしなければ、戦闘そのものが起きなかったことだ。

 と、思ったが黙っておく。

 ここで、指導者でもない彼らに言っても仕方ない。

「だから、そう言わないでくれ。あとだな、あのブツは、飛んでいってしまったが何れ爆発する」

『やはり、爆弾だったのか』

 やはりってなあ。ちゃんと前もって移動できれば、爆発も直撃も心配なかったっての。

「爆弾ではないが、爆発の可能性が高い物さ。いつになるかはわからないが、近くで爆発したら、それなりに重力衝撃波が来るから気をつけてくれ。できれば、さっさとワープして避難したほうがいい。

『そいつは残念だ。本艦のワープエンジンは既に破壊された』

「じゃあ、味方を呼べよ。ここに来れたってことは、ナブロクレでは場所がわかってるんだろ?」

『貴様らとの戦いで、他の味方は壊滅した。悔しいが、貴様らは強かった』

 ナブロクレにも、悔しいなんて感情があるんだ、と感心する。

「貴様らも、勇敢だった。これは間違いないと思う」

 俺はとっさにありきたりな言葉で返した。

『そう言ってくれるか。地球人も捨てたもんでじゃないな。もしかしたら、分かり合えるのかもしれない』

「まったくだよ。ナブロクレと俺たちってのは、銀河レベルで見たらよく似た生き物さ。精神構造も、遠くは無いと思う」

 と、言った本人も意外で、捨てたもんじゃないと思ってる。

 まあそいつはともかく。

「それは、生き残ったらまた話そう。今のうちに通常空間を移動するか、防御の用意をしておいたほうがいい。安心しろ、惑星規模の天体が壊れるような衝撃は来ない」

『いや、どのみち<ナブロクレ>はもう長くは無い。よって、我らは運命をともにする』

 翻訳が微妙だが、彼らは彼らで、覚悟を決めたということだろう。

 それは彼らのやりかただ。俺に口出しする権利は無い。

「わかった、俺は帰還する方法を探す」

『勝手にしろ、ツワモノよ』

「ああ、無事に帰ったら、勇者がいたと勝手に宣伝しておくさ」

『さらば』

「じゃあな」

 画面が消える。

 いろいろ残念だ。

 なんて、浸ってもいられない。

 ダメージをまず再確認だ。

 はじめに斥重力ファンを確認。二枚モードでちゃんと動いてるが、残念なことにエンジンはほぼガス欠だ。残りの燃料でも多少は動くが、残りが俺ひとりなんて状況じゃなければ、生命維持にも問題が出てくるレベルだ。

 なんとかバサードラム・システムでも起動できれば、と思うがこのあたりに限ってガスが薄いときてる。

「このあたりで、バサードラムジェットを起動できそうな場所はあるか?」

 なんとなく、音声でシステムに問う。

『ポケットから出れば、バサードラム・システムの起動できるけど。周辺のガス雲は、宇宙空間にしてはめちゃめちゃ濃いし、かつ水素・ヘリウムを多く含むためさ』

 なんだ? 声が似てる気はしてたが、口調までまるでアレじゃないか、あのガキ。

『ガキじゃないもん』 

「どこに隠れてやがる!?」

 いや、目の前でつぐみちゃんに担いでいかれたじゃないか。

『こちら鬼怒九号艦載システム。へへっ、ボクが寝てる間に自分のキャラクタープロファイルと音声アルゴリズムを、脳とかから抽出しておいたんだ。ボクがいなくなったとき、さみしがると思ってね』

 さみしかねーよ。

『さみしいくせに』

「ちょっと待て、システムにテレパス機能も入ってるんか」

『当たってた? テレパス機能なんてどうやっても無理だけど、会話だけ仕掛けてみたのさ』

 やられた。つか、ガキにやられてめっちゃ悔しい。

 だけどOK、わかったよ。移動してみるとするさ。

 しかし――システムとわかってても、声になってると寂しさが紛れるのは事実だな。

 その声が、どことなくつぐみちゃんにも似てる気がした。

 そういやあの二人、声が似てるような。マキがガキで、つぐみちゃんはこみっちり大人の声だから気が付かなかった。

 従妹だしな。いや、従妹の声って似るのか? ま、いいか。

 とにかく、だ。ガス欠間近とはいえ、推力はゼロじゃない。でもって、真空の宇宙では一度勢いがついたらそのうちたどり着くわけだ。

 だがここは広い宇宙。エンジンが無事なら小一時間で着くエアポケットの縁まで行くのに、今の燃料事情やダメージだと数ヶ月もかかるという計算結果も出ていた。

「ま、しゃーねー」

 俺は一人背伸びをしながらつぶやくと、少しだけアレンジしてのんびり変える選択をした。アレンジってのはアレだ。例の天体を使ってスイング・バイをかけ加速を……何か来たか?

『重力衝撃波警報、桑さん気を付けて! 重力衝撃波警報……』

 マキもどきのK子が、警報を繰り返してきた。ただのサイレンよりなぜか落ち着けるのは、人間の声に近いからか、なじんだ声に近いからか。

 手元のスクリーンには、シールド緊急始動の表示が出ている。同時にメインスクリーンへシールドがブリッジに集中されていく様子が描き出される。この様子だとケトルが爆発したのか。思ったより早かったな。

 と、いうことはだ……かなり近いじゃないか!

 そう思ったときには、艦のそこかしこから区画閉鎖用シャッターが閉じられる振動が伝わってきた。

 相手が重力衝撃波だとすると、目に見えたときは食らったときだ。通常空間を飛び越えられるセンサー群を信じて、衝撃に備える。

 パァン!

 重力衝撃波の一部がシールドを突き抜ける。

 俺は全身にビンタを食らったような一撃を食らい、艦全体が硬い音を立てて震えた。

「げほっ、ごほっ!」

 思わずむせ返る。だが、息苦しい他に体は無事のようだ。

 一応、艦長席の簡易診断機を起動しスキャンをかける……か。

『やや呼吸が乱れた以外は異常なしだね。五分も休んでおけばいいんじゃない?』

 ふむ、たしかに無傷だ。年齢的には若造だから、かな。

 KKもまた、損害軽微という表示が出ている。斥重力ペラが心配だったが、それもまた無事。あれが一番、重力関係に強かったっけな。

 自分が無事だと、近場で生きてるやつらが少し心配になってきた。ナブロクレの母艦はどうだろうか。

 ざっと予想進路上をスキャンすると、すぐに再発見できた。かなり弱っている様子だが、よたよたと軽く蛇行しながらもあの天体に向かって移動している。五体満足ではないが、くたばってはいないようだ。

 そんな中、妙に安定していた重力場が、急に揺らいできた。とはいっても、ブラックホール近傍なりであり、物理的に異常というわけではなさそうだ。KKのシステムがそれを察して、艦周辺の重力場を調整していく。KKとしては、これで当面は安定して浮いていられる。宇宙規模で見れば小さいものなので、潮汐力も小さなものだ。

 だが、ナブロクレが向かう先の天体は、かなり様子がおかしかった。

 見た目にはマグマの川が広がり、全体が一種の摩擦により高熱を発しはじめている。重力で丸く収まっている岩の塊がドカンと爆発するなんてことはまずないが、なにか苦しみ喘いでいるようだ。

 そう……なにか、俺は歴史的に重要な場面を目撃しているような気がしてきた。

 直径二万キロを超える天体サイズの物体、というか天体そのものであるそいつにかかる潮汐力はKKの比ではないわけで、今まで安定していた重力場がケトルの爆発で崩壊してしまったとしたら、長くは持たないはずだ。

「KKがこのポケットについた時まで、さかのぼって分析してくれ」

 俺はまた音声指示で、詳細な状況分析を少しさかのぼってかけさせた。

『岩石質天体が、安定した重力場の出どころだね。詳細はちょっとまって。ガス雲の変化量、ブラックホールによる重力場の変化量が過多過ぎて、計算が追い付かないんだ』

 サンキュ、K子ちゃん。俺は待ってるよ、ど暇だしな。

 その間にも、天体のあらゆる場所で火山の噴火のようなマグマの放出が、激しく巻き起こるようになってきた。

 俺がその様子を眺めていると、シンプルな図、そして音声ともに分析結果が表示され始めた。

『分析結果

 平坦に保たれていた異常重力場は、天体表面に十乃至十二箇所設置されていた人工的施設によるもの。

 施設は半数がケトル由来の重力震通過と同時に機能停止。残りだけでは重力場を支えきれずに重力場が『正常化』に移り、その後に何らかの原因にて機能停止。

 現在、重力場はほぼ正常』

 K子が、声だけマキのまま、機械的な棒読みで報告した。おそらく、演算でリソースがいっぱいなんだろう・

 だがなるほど、な。機械の解釈と、人間の表現には若干の差はあるが、こんなものだろう。正常ってのは、大域的重力場に対して不自然じゃないって意味だな。

 考えてはいた。よくわからんが、あの天体にはナブロクレにとって大切なものが隠されていて、それをなんとしても守ろうとしていたわけだ。

 こんな空間だ、上手く制御しておけば隠すのにはもってこいだからな。

 だが、もうおしまいのようだ。

 拡大投影されたスクリーンの中で、天体は今まさに崩壊しつつある。

 マグマの川はもはや海のようだ。それに、わずかではあるが、肉眼でもわかる程度には卵型に変形していた。

 これだけ大きく、中の大半がマグマのようになっているなら、すぐさま真っ二つに割れたりはしないだろう。逆に、もとの球体に戻れないのも間違いない。

 ナブロクレ母艦があの場に留まるとしたら、これから何日か何ヶ月かかけて崩れていくあの天体を見守り続けることになるだろう。

 残念だが、恐らくはあの天体に隠した大切な「ナニカ」を回収することはかなわない。

 俺としては、その様子を最後まで見届ける気なんて無い。さっさと帰る。

 なにしろ帰る目処がついてきた。

 この崩壊、いや正常化のおかげで、周りのガスが一気に流入してきたのだ。数日待てばこのKKにまで到達するだろう。秒速数千キロの速度でだ。

 そのときに、風に舳先を向けてバサードラム・システムに火を入れてやろう。速度、量ともに十分すぎるほどのエネルギーなのだ。

 でも、少しくたびれた。

 しばらく休んでから、次の行動にうつろう。


 俺は、休憩、実質は一晩寝たくらいみっちり休んだ後、格納庫に降りることにした。

 降りた先、KK自慢の格納庫は、戦闘であちこち傷ついているが、穴が開くほどではなかった。

 見回すと、無事な作業ロボはまだ十体以上ある。俺はその一つに乗り込むと、まずは外に向けておいた転送機を担いで中まで持ってきた。

 そいつを適当に固定して、受け入れスイッチを入れておく。

 三百天文単位も先まで届くわけだから、うまくどこかの転送機とつながればラッキーだ。逆に、別のナブロクレがこっちを見つけるかもしれないが、そんときゃ土下座でもして連れ帰ってもらうとしよう。ハイリスクだがハイリターンだな。

 やつら、俺たちから見たらかなり凶暴な生物みたいだが、捕まえたからって食われることがないはずだ。いやきっとそうだ。だから、なんとか国外追放と言う名の釈放が出来る、はず。

 次は、外からKKの様子を見るとしよう。シールドの有効範囲から出なければたぶん安全だ。たぶんでいい、この場合リスクがあって当たり前なんだ。

 俺はロボに命綱をつけ、格納庫の発進用エアロックから外甲板に出た。

 出た場所は、飛行甲板の真ん中左舷より。スカートで言うと左ひざのあたりになる。

 見渡すと、貫通こそしていないが何箇所も被弾した跡が見えた。最後尾の斥重力ファンにいたっては、六枚あるハネのうち左が三枚、右が四枚途中から折れている。よくまあ、ここまで飛んでこれたものだと思えるほどだ。つぐみちゃんの腕ってもんがあったのだろう。

 俺が操縦したらどうなるか、KKのシステムに分析をかけさせる。

『ボクに任せてくれればちゃんと飛べるよ。ちょっと遅いけどね。手動だったら、桑さんでも直進がやっとだと思うな』

「サンキュ、そういうことか」

 これじゃ、推進力も落ちるわけだ。バランスも最悪。

「どうすれば、最適化できるか?」

『ハネの一部をとっぱらって、左右対称にするのさ』

「なるほどな」

 ありがとよ、K子ちゃん。左右とも状態の良いハネを二枚だけ残して、あとは外してしまうことにするよ。こんな重力場じゃ、なおさらバランスが大切だ。

 俺はロボの端末かリモートで作業を始めさせた。といっても、俺がやることはなく、指示だけして自動的にコトが進むのを甲板から眺めるだけだ。

 すぐには終わらないので、なんとなく周りの宇宙を見渡してみたが、その奇妙でどこか美しい光景に吸い込まれそうになった。

 左にはブラックホール本体、右前方に壊れかけの石天体がある。

 あるんだが、どちらも目視じゃ良く見えない。左のほうが、ブラックホールがぶちまけているプラズマの光で薄ぼんやりと明るいだけだ。右に見えるのは、オレンジ色の鈍い輝き。

 ロボのカメラに切り替えて補正と望遠を使ってみると、天体の姿が丸く映し出されてくる。こんな重力傾斜のきついところで、原形を保っていたのは、やはり人工的な力だったわけだ。

 必死であの研究所や俺たちの接近を食い止めようとするほどだ、そのくらいの仕掛けがあってもおかしくない。

『作業完了まで、あと二日程度かな。ガス流の到達には間に合うよ!』

 俺の想像の腰をぽきりと折るように、K子の声で知らせが入った。

 目視確認。たしかに、作業は思いのほか進んでいないようだ。

「OK。それで、直したらどの程度まで回復できるんだ?

『耐久性とかのマージンを含めると、およそ十七・六四パーセント程度だけど』

「ずいぶん細かい『およそ』だな」

 つい、つっこんだ。

『うっさいなあ。訂正、およそ十八パーセント』

 サーセン。

 かなり効率が落ちたが、こんなところか。無理をさせて、動けなくなっても仕方ない。

 俺はとりあえず作業を続けさせ、艦内に戻ることにした。シールドがあるといっても、気分的に落ち着かないからな。


 実際に修理が終わるまで計算通り二日がかかった。

 その間、システムに脱出経路の計算仕掛けたほかは、俺はやることもないので半分寝て過ごしていたわけだが……。

 マキもどきなK子ちゃんの『おわったよ、桑さん』という、声で起こされた。

 ああ、よく寝た。

 何年ぶりかのさっぱりした脳みそと体だ。

 壊れたあの天体は、離れてしまいもう光学観測は困難だ。なので他の方法で見るが、時間をかけて粉々になりつつあるというのはなんとなくわかった。

 ガス雲のほうはというと、巻き込むように左舷側から近づいてきている。

 俺はKKを左に向け、ラムジェット・システムにいつでも火を入れられるように用意した。

 それにあわせて残りのエネルギーを使い、重力アンカーで艦を相対的固定常態に置く。 しばらくすると、じわじわとKKが風を受けるのがわかった。相対速度は秒速二千キロ、十分点火可能なレベルだ。

「さん、にい、いち、点火」

 声に出しながら、目の前のパネルにタッチ。

 ごう!

 重たい振動とともに、エンジンに火が入る。燃やし続けるには、まず前進だ。

 KKは二枚ずつになった斥重力ペラを回し進み始める。

 ……だが遅い。進んではいるが。  

 ぶっちゃけ能率が悪すぎた。当初の出力、十パーセント以下。

 短時間ならともかく、ここは長丁場だ。無理させるわけにもいかない。

 だが、この出力でいかにして脱出をするか、だ。

 まずはジワジワでもいいから加速しながら、時間のある限り詳しく調べたガス雲の様子をチェックする。……ふむ。さすがKKのセンサー群は優秀だ。システムに余裕があれば、すぐ分析してきやがりますよ。

 ガスはかなり広範囲にわたって濃く広がっていて、ブラックホール本体周辺まで覆っている。まあ、ブラックホールなりに周りは濃いガスだらけなんだが、このあたりの水素やヘリウムベースのガスが続いているのはありがたいね。

 核融合の燃料であり続けてくれるから。

 つまるところ、KKでブラックホール・スイングバイをするべし、って状況さ。

 ああ、やってやるさ。

 俺の腕じゃシステム丸投げに近くなるが、アドリブ的修正がどうしても必要になってくるかもしれない。つぐみちゃんがいたら、なんて思うけど、しゃーないさ。俺が帰らせたんだから、俺は俺で帰るしかない。

 にしてもだ……ブラックホールのサイズを考えると、それなりに時間がかかるな。数時間か数日か、動いてみないとわからない。

 だが寝て待つにしても、今はここブリッジを離れることはできない。

 部屋で寝てる間にくたばるのだけは御免だ、ってのもあるけどさ。


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