第89話 序列1位"瞑想"ブーダ
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イヴ
性別:女 種族:半神魔 年齢:26歳
Lv 50
HP 25000/25000
MP 25000/25000
ATK 25000
DEF 25000
AGI 25000
INT 25000
LUK 25000
固有スキル
血液操作・飛行・吸血・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???
武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX
魔法
全属性魔法
装備
黒衣一式(神級)
白の大鎌アダマス(覇王級)
称号
魔の女神の加護・虐げられし者・血を恨みし者・希望を見出す者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・好奇心旺盛
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ブーダ
性別:男 種族:改造鬼人 年齢:40歳
Lv 60
HP 15000/15000
MP 10000/10000
ATK 15000
DEF 15000
AGI 10000
INT 10000
LUK 0
固有スキル
サイボーグ・錬金術・状態異常無効
武技スキル
槍術 :Lv.7
体術 :Lv.7
魔法
光魔法:Lv.7
無魔法:Lv.7
称号
なし
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「お主が妾の相手か?」
「左様。某、貴殿の道を阻む者なり」
とある廃村に2人の男女が向かい合って立っていた。出会ってから数分間、互いの力量を肌で感じ取っていた両者はまずは様子見と称して、ダンマリを決め込んでいた。しかし、一向に進展しないことに痺れを切らした少女の方が先に言葉を発し、男の反応を窺った。息遣いが聞こえない程、あまりにも静かに気配も薄く佇んでいた為、本当に生身の人なのか疑ってしまうぐらい怪しかったからだ。結果、その心配は杞憂に終わった。今、この瞬間も生命活動を続けているれっきとした人でることが確認できたのでとりあえず、少女は安心していた。
「どちらかと言うと妾達の方がお主らの邪魔をしているのではないかの?」
「立場によって受け取り方は何とでも変わる。ただし、この世に不変なものがあるとするのなら、それは………………誰かが生き行動し続ける限り、また別の誰かの邪魔をしているということ」
「同感じゃな。して、今回はお互いがお互いの邪魔をするという認識でよいかの?」
「然り。某にとって、今回の戦が生涯で一番苦しいものとなるであろう」
「生涯?お主の寿命はまだ先ではないのか?」
「この戦、おそらく勝敗はそのまま生死に直結するであろう。そして、たとえ某が勝ち申したとしても身体に後遺症が残り、その先の別の戦にて、戦死することは免れない。つまり、ここが某が全力を出せる最期の戦場となるのは必至。そんな時、貴殿のような強敵と相見えたこの幸運、これも全てあの御方の思し召しであることは間違いない」
「……………これまた随分と癖のある男じゃのぅ」
「お褒めに預かり光栄」
「別に褒めとらんぞ」
「これは失敬……………ではそろそろ死合いを始めようか」
「よいぞ。かかって来い」
「お言葉に甘えさせて頂く…………"サイボーグ"発動!!」
「では妾も"サイボーグ"発動」
「何!?」
「戦うのなら、同じ土俵での」
「くっ!ならば、先手必勝!"光聖槍"!!」
「"闇屠鎌"」
両者の武器が交わった瞬間、辺りに衝撃波が発生した。それは草木を揺らし、大地に穴を開ける。動物や魔物達は危険をいち早く察知し、その場から逃げ出し、付近の生命反応はごく僅かとなった。
「ぬぅっ!"槍連陀"!!」
「"鎌邪葬"」
互いが互いの武器で以って、迎え撃つこの状況。ある程度の実力者ともなれば、この時点で自身に勝機があるのかどうかを察することができる。あれば良し、なければ早急に対策を立て直す必要があるのだが……………
「ぐっ……………かなり強い。これは参った」
「どうした?もう終わりかえ?」
「いや…………奥の手はまだある。がしかし、貴殿の強さに興味が湧いた。一体、どれだけの鍛錬を積めば、そのような…………」
「そういうお主はどうなんじゃ?」
「某は……………この組織に入る前、とある寺で毎日、暇さえあれば瞑想を繰り返していた。ひたすら神に祈る日々。己の才能や環境、健康的な生活を営むことができることに対して感謝の念を常に持ち続け、何事にも全力で取り組んだ。某の暮らしていた里は様々な種族が入り乱れ、比較的戦闘に長けた者が多かった。その中でも某はずば抜けて強かった。寺での修行・瞑想、里の外での狩猟、また賊との戦闘……………それらで1日を終え、帰路に着く。これが日常であり、それはその先も一生変わることがないと思っていた。ところが、ある日のこと。里を襲う賊の集団が現れたのだ。だが、そんなことで一々慌てる某達ではなかった。こちらも圧倒的な武力で次々と賊を撃破していった。順調に賊を追い返していく中で勝利の兆しが見え始め、少し余裕が出てきていた某達。そんな中、今まで見守っていた賊のリーダーとその幹部達が加わってきた。さすがにそれらを相手する余力がなかった某達は一気に弱腰になり、負けを覚悟していた。すると、どこからか声が聞こえてきたのだ。
「加勢する。いくぞ、お前達」
「「「「はい!!!!」」」」
黒いローブを纏った男と数人の男女達。彼らの力は凄まじく、劣勢だった里を再び優勢へと戻し、結果、大勝利を収めることとなった。某達はあまりにも突然のことに呆然としてると男は言ったのだ。
「里が助かったのはなにも我らだけの力ではない…………ここにはいない、まだお会いしたことのない神とでも言うべき存在のおかげでもあるのだ」
某は身体を電流が駆け巡ったような、そんな感覚に襲われた。毎日、神に祈っていたあの日々は決して無駄ではなかった。神は祈りを捧げる者を見捨てない。某達は…………里は神によって救われたのだ」
「……………その神とは?」
「邪神アスターロ様に相違ない」
「それはどうかの?」
「理解し得ない者に無理矢理、分かってもらおうとは思わない……………その後、某を含めた里のほとんどの者達がアスターロ教に入信するようになり、某は幹部の筆頭まで上り詰めたのだ」
「なるほどのぅ。まぁ、何を信じるかは人それぞれじゃ。が、忘れてはならんことがあるぞ」
「忘れてはならないこと?」
「自身が没頭したり、執心しているものを他者に強制しないことじゃ。ましてや、その活動の為に無関係な者を危険に晒すなど、以ての外じゃ」
「同感。そんな者がいれば、断じて許すことなど不可能」
「とは言っておるが、お主らが現在行っていることはどうかの?矛盾しとらんか?」
「何を言っている!アスターロ様の糧となれる絶好の機会であるぞ?某達、下界の者達全てを見守って下さっている…………」
「証拠は?」
「は?」
「その証拠があるのなら、見せてくれんかの?」
「そ、それは………」
「できんじゃろ?お主も薄々気付いておるのではないかの?里を救ったのは神などではないと……………おかしいの。本当に神がいるというのなら、世界中で生活や環境、才能に苦しむ者がもっと少ないはずじゃの」
「………………」
「お主は自分中心の世界しか見えとらん。一回、別の立場になって色々と経験してみることじゃな」
「………………」
「ちなみに妾も以前は苦しんでおった時期もある。じゃが、1人の男に出会ったことでガラリと変わった。それからは妾自身の努力と環境でお主よりも強くなったぞ……………妾を救ってくれたのは神などではない。お主もいい加減、目を覚ませ」
「貴様!!」
「どうしても覚めないというのなら、妾がそれを手助けしてやろう」




