表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第4章 迷宮都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/416

第44話 小人




「お願いします!僕も一緒に連れていって下さい!」


「………まずは名を名乗れ」


「ああっ、すみません!僕の名前はニーベル。イパ村でのあなた達の行動を見ていた者の1人です」


「俺はシンヤ、Sランク冒険者だ。で、なんだ?お前も俺達を救世主だなんだと持て囃すつもりなのか?」


「いえ!そんなつもりはないんです!確かに村を救って頂いたのは大変嬉しかったのですが…………」


「?」


「あの、ここからは大変失礼なお話になってしまうのですが、よろしいでしょうか?」


「内容によるが、まぁ話してみろ」


「ありがとうございます。実を言うと、僕があなた方に付いていきたいと思ったのは決してランクや功績に惹かれたからではないんです。僕はずっとこの村で生まれ育ち、一生ここで暮らしていくんだと勝手に思っていました。しかし、昨日、僕は極限状態まで追い込まれて、気付いたんです。自分の本当の気持ちに。それは………村を出て自由に生きてみたいというものでした。そんな時にあなた方が村を訪れたんです。そして、僕から見たあなた方の第一印象がまさに"自由"そのものだったのです。僕は運命だと思いました。だから、失礼な話、あなた方のランクがたとえ低かろうと村長達の思惑を潰していなくても僕にとってはそんなこと関係ないんです」


「別にそれは失礼な話ではないだろ。むしろ、気になったのは別の部分なんだが…………1つ聞く。俺達に付いてくるということは昨日みたいなことになるかもしれないんだぞ?それは分かっているのか?」


「自由に生きる為に何の犠牲も払わないというのは都合が良すぎます。覚悟はできています」


「………なるほど。最後にお前が追い込まれた極限状態って、一体何だ?」


「村に縛られるのが嫌で森に逃げ込んだんです。そしたら、案の定、追っ手がやってきて…………後で話を聞いたら、その男達も村長に命令されて仕方なく、やっていたみたいです。なので、お酒の席で和解しました」


「お前、あの場にいたのか?」


「少しだけですけど………ちょこっと顔を出して、その後はすぐに家へ帰りました。自分の決意が紛れもなく、本物なのかどうか一晩中、考える為に」


「…………お前、面白い奴だな。気に入った」


「え?」


「俺達が進む道にはきっとこれからも色々と困難が待ち受けているだろう。それでもお前は俺達と共に生きたい(行きたい)か?」


「是非に!」


「よし、俺はお前………ニーベルを歓迎しよう。今日から、ニーベルは俺達の仲間であり、家族だ。これから、よろしく頼む」


「こちらこそ、よろしくお願いします!」


「あと、それから」


「?」


「無理して敬語を使う必要はない。もう家族なんだ」


「あれ?…………バレてました?」


「ああ。何となくだがな…………それにしても自由に生きたいと言ってる割に早速、言語を縛られてちゃ本末転倒だろ」


「そ、それは…………いじわるだな」


「そう、その方が自然に聞こえるな。これからは俺達の前で遠慮はなしだ。何かあったら、言えよ」


「ああ、分かった!」


「よし、んじゃ行くか…………例の場所に」


「あの、みんなにも挨拶させてもらっていいかな?」


「お、そうだったな」


「こほん…………僕はニーベル。イパ村で生まれ育った酒造りしか取り柄のない小人だけど、これから、よろしく!」


「よろしくお願い致します、ニーベル」


「これは余裕を持って、フリーダムを出て正解でしたわね」


「よろしくな!うっしゃーこれで酒飲み放題だ」


「カグヤ、造ってもらう気、マンマン」


「また賑やかになりますね」


「趣味が先輩面をすることじゃから、妾としては願ったり叶ったりじゃのぅ」


「趣味、悪いな!?」


「なんだ?どっか行ったら、仲間が増えるのは恒例なのか?」


「よろしくデス!これからはミーを誠心誠意、敬いやがるデス」


「エル、イヴ先輩の悪い影響が出てるの」


「あ、ニーベルの冒険者・クラン登録は迷宮都市に着いたらにするからな?」


「ありがとう!これから、楽しみだ!」





――――――――――――――――――――



ニーベル

性別:男 種族:小人族 年齢:15歳


Lv 30

HP 2000/2000

MP 2000/2000

ATK 3000

DEF 2500

AGI 3000

INT 3000

LUK 2000


固有スキル

酒造・急所崩し・袋叩き・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???


武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

黒衣一式(神級)

橙斧パラシュ(中級)


称号

酒神の加護・働き者・ひたむきな心・自由を求める者・傅く者・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・本能に従う者


――――――――――――――――――――


酒造

酒造りを行うことができるスキル。生まれた時に発現しなければ、一生縁がない。小人族は発現率UP。


急所崩し

急所を狙って攻撃するスキル。発動するまでに20秒かかり、動作に大きな隙が生じる。


袋叩き

自身のHPが1割以下になった時、発動できる。ATKが3倍になり、攻撃の命中率が上がる。


酒神の加護

酒神スクナビコナの加護。HPの値に補正。


働き者

重労働を強いられていた者に与えられる称号。ATKの値に補正。


ひたむきな心

とにかく、ひたむきな者に贈られる称号。DEFの値に補正。


――――――――――――――――――――


ニーベルは小人族の少年だった。橙色の短髪にクリクリとした両目、常に明るく笑顔の絶えない性格でムードメーカーとしての素質もあった。ただ、ここ1週間、絶望の森で一緒にレベル上げをしていて気付いたことがある。それは深く考えずに突拍子もない行動に出る時があるということだ。外への憧れが強すぎて何にでも興味を示すのだ。好奇心が旺盛という意味ではイヴもそうなのだが、そんな彼女でも立ち止まって、一旦考えてから行動する。ノータイムで行動するなんていうリスクを平然と冒せるのはそれだけ自由になれたことが嬉しかったのだろう。まぁ、一応注意はしておくが、本格的なやつは全てティアがやってくれる。あいつほど指導に関して頼れる者はいない。そのおかげで今では何かが気になってもビクビクしながら、一旦、ティアの顔色を伺ってから、行動している…………毎回、思うんだが、あいつは一体どんな指導を行っているんだ?


「さて、イパ村まで転移で飛んで、そこから再度出発だ」


俺の掛け声とともに一行は再び迷宮都市を目指す。何事もなければ、あと数日で着くはずだ。もう、さすがに何もないだろう……………あ、フラグじゃないぞ?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ