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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第15章 親子喧嘩

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第348話 ミス





「関与していないだと?」


「ええ。おそらく、それは()の仕業ね。どんな目的かは知らないけど」


「何故、そう言い切れる?お前と同じような立場の奴の仕業かもしれないだろ?」


「それはないわ。私達の権限ではそこまでできない。そもそもからして、本来は"覚醒状態"なんていう現象はないのよ」


「は?」


「あれはいわば、バグ……………それかもしくは()()()()()()()()()()()()()()なの。さっきも言った通り、"異世界"や"神"の存在を知られてしまうのは御法度だもの」


「なるほど」


シンヤは納得しつつ、フォルトゥーナをチラリと見た。すると、彼女は途端に申し訳なさそうにしてから、再び頭を下げた。


「私の関与したことで言えば……………ごめんなさい!!シンヤ達が倒してくれた"邪神"アスターロだけど………………実はあれ、私がうっかり異世界(そっち)に落としちゃったやつなの」


「は?」


「かなり昔の話になるんだけど、ちょっと目を離した隙に天界から飛び出していっちゃって……………当時、私の管轄だったから、それはもうこっぴどく叱られたわ」


「………………」


「あと、"七罪"も私の部下の管轄で何故か100年に1体ずつ異世界(そっち)へ送り込むようシステムを組んでしまったらしくて………………」


「お前……………とんでもない奴だな」


「もしかしなくても、褒めてないわよね?」


「当たり前だろ。言っておくが、それらのミスはうっかりで済まされないからな」


「うっ…………」


「こんな仕事のできない奴が"神"を務めていて、さらに俺の親だと?……………冗談はよしてくれ」


「うわあぁ〜〜ん!!ごめんな……………」


「これ以上、泣いたら分かってるな?」


「ひっ!?わ、分かりました!!」


シンヤの睨みに思わず、竦んでしまったフォルトゥーナは直立不動で敬礼をした。


「他のミスはしていないんだろうな?」


「………………ないわ」


「何だ、今の間は」


「確かにとんでもないミスがあって、困っているのは事実だけど、それは私のミスではなくて……………上のミスだもの」


「どういうことだ?」


「………………」


「何だ?今更、何を言われても驚かないぞ?」


「で、でも…………」


「いいから、早く言えよ」


煮え切らない態度のフォルトゥーナに苛立ちが募るシンヤ。そんなシンヤの様子に気が付いたフォルトゥーナはどこか覚悟を決めた表情をすると深呼吸をしてから、こう言った。

 

「実は……………上が捕らえていた悪い神達をミスで脱獄させてしまって……………その人達と元々、上に反感を抱いていた者達が手を組んで今、暴動を起こし始めていているの」


「悪い神達を捕らえていた?神達の中にも善悪があるんだな」


「ええ。そして、彼らの勢いは留まることを知らず、このままいけば天界が崩壊してしまうかもしれないの」


「なるほど……………まぁ、自業自得なんじゃないか?ってか、天界といえば、ここもだが……………やけに静かだぞ?」


「ここは少し異質な空間なのよ。天界の中だけど、時空が違うというか……………だから、彼らも()()()ここへは入ってこれない」


「……………本来は、か」


「ええ。今までこんなことが起きたことないから、正直どうなるか分からないの。もしかしたら、ここも時間の問題かもしれないわ」


「……………なるほど。キョウヤが言っていた"助けてやってくれ"とはそういうことか。だが、俺はお前が母親だからといって助けてやるなんて……………」


「分かっているわ。あなたを置いて出ていった私にそんなこと頼める義理はない……………ただ、もしかしたら、シンヤは……………いえ、あなた達はどのみち"神の軍勢"と戦うことになるかもしれないわ」


「ん?どういうことだ?」


シンヤの問いに対し、やけに強張った表情のフォルトゥーナは軽く冷や汗を流しながら、言い放った。


「彼らは同時に……………異世界(あなた達の住む世界)への進攻も企てているからよ」










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