表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第13章 魔族領

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

302/416

第300話 帰る場所






「魔族領はどうじゃった?」


「まぁ……………それなりには楽しめたな」


「あそこで過ごすのは骨が折れたじゃろう?なんせ色々な意味で癖が強い場所じゃからのう」


「行ったことがあるのか?」


「大昔の話じゃよ。今ほど魔物は強くなかったが、それでもなかなかにスリルのある場所じゃった」


「ん?何故、今と昔じゃ魔物の強さが違うと言い切れるんだ?最近は行っていないんだろう?」


「たまに無謀にも魔族領へと行く冒険者がおるんじゃ。大抵は帰ってこないが運良く逃げ帰った者から話を聞くと出現する魔物のランクが昔とは違うことに気が付いてな」


「そうか」


「で?シンヤはあそこで一体どんな冒険をしたんじゃ?」


「それは一ギルドマスターとして訊いているのか?それとも個人的な質問か?」


「両方じゃな」









―――――――――――――――――――――









「よし、お前ら。一旦手を止めて、こっちに集まってくれ」


「うわ〜き、緊張してきた」


「はぁ……………周りの視線が突き刺さって気持ち良…………おかしくなりそう」


パーティーの翌日。俺はシャウロフスキーとモロクを連れて訓練場を訪れ、そこで戦闘訓練をしている面々を呼び寄せた。


「俺達が魔族領から帰ってきた日の全体会議で言ったと思うが、今日からこいつらがお前達の部隊に所属となる。これからよろしく頼む」


「シ、シャウロフスキーと申します!よろしくお願い致します!」


「私はモロク。元魔王よ。よろしくね〜」


「おい、モロク。仮にも新人なのに態度が軽すぎるぞ」


「はぁん!シンヤ様からのお叱りだわ!も、もっと!もっと私を叱ってちょうだい!」


「…………やっぱり、こいつには何を言っても無駄だな」


叱られているにも関わらず、恍惚の表情を浮かべて悶えるモロクに約1名を除いてドン引きの部隊員達。そして、まずはその1名が固まったままの部隊員の先陣を切って、最初に挨拶をした。


「シャウ、モロク!よろしく!」


「あっ、サクヤさん!よろしくお願いします!」


「あら、サクヤじゃない。あなた、この部隊だったのね」


サクヤの声が聞こえた瞬間、少し緊張から解放されたシャウロフスキーと普通の状態に戻ったモロクが反応した。するとそれを皮切りに硬直から戻った部隊員達が次々と挨拶をした。


「私は遊撃部隊隊長のカーラよ。よろしくね」


「私は副隊長のニナだよ!よろしく」


「私は隊員のシスターです。よろしくお願い致します」


「同じく隊員のルーン……………よろしく」


「同じく隊員のノールだ!よろしくな!」


「同じく隊員のモモ。よろしくお願いします」


その後、和気藹々と交流を始めた彼女達を見た俺はそっとその場を離れ、訓練場を後にしたのだった。





 



―――――――――――――――――――――









ここはシンヤが今いる世界でもましてや彼が元いた世界でもない、全く理の違うどこか。そこは一切の音も聞こえない真っ白な空間であり、ある1人を除いては何もなかった。そして、その1人は俯いていた顔を上げると何もない空間に向かってこう言った。


「あなたにはまだ試練が残されている…………………ごめんなさい。あなたは何も悪くないのに」


触れたら壊れてしまいそうな程、儚げな印象を抱かせるその者は悲しそうな表情である一点を見つめていた。しかし、そこには彼女以外は何も存在しておらず、気に掛けてくれる者など皆無だった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ