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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第12章 vs聖義の剣

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第244話 七罪






七罪。それは大昔、突如として現れた化け物の総称である。その正体は世界各地に出没した魔物でこれまでに7体の存在が確認されている。それぞれ"傲慢"・"嫉妬"・"憤怒"・"怠惰"・"強欲"・"色欲"・"暴食"と呼ばれており、七罪のうち1匹でも地上に現れれば、その被害は甚大なものになると言われている。文献には七罪によって多くの者が犠牲になったと記載されており、七罪との戦いが熾烈を極めたことは容易に想像がつく。当時の高ランク冒険者は七罪の出現と同時に駆り出され、1匹に対して数百から数千という数で以って対処していた。どれも想像を絶する強さではあったようだが、ただ1つの救いは同時期に七罪が出現することは一切なかったことだ。一度現れれば、次に別の七罪が現れるのは()()()()()()()()()()()()()()()()為、その頃には別の世代の冒険者達が揃っており、何とか対処できていたのだ。ちなみに最後に七罪が現れたのは約300年程前であり、その後は同じような魔物が確認されなかったことから、全部で7体だったのだろうと結論付けられ、"七罪"と呼ばれるようになった。







――――――――――――――――――







「七罪の力……………だと?」


リョーデックは意味が分からないと言いたげな顔でマドラスを見た。対してマドラスは非常に得意気な顔をしながら、呑気に解説をする。


「そうじゃ。大昔に出現した七罪という化け物……………その力じゃよ」


「その存在自体は知っている。だが、どうやってそんな力を手にしたんだ?」


「文献によると七罪が倒された直後、その身体は細かな粒子となって消え去り、そこには巨大な宝玉が残されていたそうじゃ。その後、処理に困った冒険者達が魔法を駆使して持ち帰り、保管することにした。しかし、大きさ的にもそんな場所はないと困り果てたそうじゃが、その宝玉に対して空間魔法を使うと少しばかり小さくなることに気が付いた冒険者達は皆で協力して、宝玉の縮小に取り組むことにした。ところが、ここで1つの問題が発生する。宝玉に対して魔法を行使し終えた者は次の瞬間から、空間魔法を使えなくなっていたそうじゃ。これは非常に由々しき事態だった。空間魔法自体、使い手がめったに現れない貴重な魔法。それを失う覚悟で取り組まねばならないなど苦渋の選択である。じゃが、宝玉には何か特別な意味があるに違いないと感じた当時の者達は次々と縮小へ取り組んでいった。そして、現在。人1人分の高さにまで縮んだ7つの宝玉はそれぞれ別の場所で厳重に管理され、その存在自体が関係者以外には秘匿されている状態だった」


「………………まさか、お前」


「お察しの通りじゃ。どうやったのかは言わんが宝玉の存在と在処を知った我々はすぐに動き出し、一切の痕跡を残すことなく奪取に成功したのだ」


「そんなことをすれば、管理側にすぐ気付かれるだろ。なんせ、大切な宝玉がなくなっているんだからな」


「私にはもう1つ便利な固有スキルがあっての。これが"複製(コピー)"という精巧な偽物を作り出すことのできるスキルなんじゃ」


「よく分からないな。そんなものを手に入れて一体何がしたかったんだ?当時から今に至るまで宝玉の用途が分かった者はいないはずだ。それはお前達もなんだろう?だからこそ、ずっと保管されていた筈だ」


「ほっほっほ。それが違うんじゃな。我々のリーダーであるハジメ様だけはあれの真の力を理解していた。そして、その使い道も」


「何?」


「7つの宝玉全てにはそれぞれ七罪の力が宿っており、それらは特にある者との親和性が高かった」


「ある者?」


「死者じゃよ」


「っ!?何だと!?」


「宝玉をハジメ様の()()()()()で拳大にまで縮小させていくと途端に少しずつ明滅し始めた。その状態で宝玉を色々なものに近付けていき、反応の違いを調べていたんじゃが、そんな中で一際反応を示した瞬間があった」


「それが……………」


「亡骸へ近付けた時じゃった。そこで試しに宝玉を埋め込んでみると驚いたことに勝手に立ち上がって動き出し、終いには先程の小娘のような状態になり、その後は………………」


「どうなったんだ?」


「身体が弾け飛んだようだ。おそらく、七罪の力に耐え切れなかったのだろう。その際の力はまさに化け物じみていて、流石に七罪本来のものと比べると数段階落ちるとはいえ、高ランク冒険者ですら太刀打ちできるかどうか分からないといった具合だったらしい」


「………………」


「そこで強者、なおかつ死者であること。この2点を満たす者の選定をしていって辿り着いたのがそこの小娘達だったという訳じゃ。あ、ちなみに我々幹部には7人の中から1人ずつ選ぶ権利があって、私が小娘を選んだのは"大風"と同じエルフだからという理由からじゃ。同族じゃと情が湧くかと思うての」


「……………お前達はどこまで悪事を重ねれば気が済むんだ」


「ほっほっほ。この世には隠れてもっと悪どいことをしている者が腐る程おる。お主はその者達1人1人に説教して回るつもりか?」


「いや、俺様はそんな聖人君子ではない。ただ」


「?」


「お前から、そんな胸糞悪い話を聞かされてしまっては見過ごせる筈がないというだけだ!!」



















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