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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第10章 セントラル魔法学院

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第197話 勝者と敗者






〜アミル学院がある国、アカデミー〜



「ん?今、何と言った?」


「いえ、ですから、その」


「もったいぶらずにさっさと言わんか!」


「は、はい!竜闘祭に参加した我が国を代表する学院の生徒達が次々と学院を辞めていっているそうで」




〜東老学院のある国、乱慢〜




「学院を辞める者が続出しているだと?」


「はい」


「学院の責任者は何故、そのような事態を易々と見過ごしているんだ?」


「日々の業務に追われていて、そこまで手が回らないそうで」





〜モーゼ学院がある国、ディック〜




「馬鹿者!そんなものは言い訳にならん!」


「し、しかし!」


「雑務に追われようが学院として守るべきものはしっかりと離さないようにしなければならん!」


「そ、それはそうかと思いますが」





〜竜騎学院のある国、ドラゴ〜





「とにかく、早急に手を打たねばならんな」


「はい」


「ちなみに辞めていった者達はどこへ向かっているのだ?」


「……………」


「ん?どうした?」


「いや、その…………」


「何だ?そんなに答えづらいことなのか?」


「そういう訳では………」


「遠慮するな。どんなことを言われようが私はただ冷静に聞いて判断するだけだ。奇声や大声を上げたり、ましてやお前に八つ当たりなんてマネは絶対にしないぞ。だから、安心して答えてくれ。学院を辞めていった生徒達はどこへ向かっているんだ?」


「……………国を出て、そのまま真っ直ぐカンパル王国へと向かったそうです」


「…………ん?」


「なんでもセントラル魔法学院に転入する為とか」


「……………は〜〜〜!?おい!どういうことなんだ!ふざけんな!説明しろ!というか、お前は何をのうのうと言ってるんだ!」






〜カンパル王国〜





「すみません!アカデミーという国から来た者なのですが……………入国してもいいですか?」


「はい!どうぞ!受付はこちらです!」


「ほ、本当にいいんですか?私、人族じゃないんですけど」


「大丈夫ですよ!あんな古臭くてくだらない風習はもう終わりました」


「そ、そうなんですか?」


「はい!」


「よ、良かった〜」


「今までご迷惑をお掛けして、すみませんね」


「い、いえ!私は今日、初めてこの国に来たので直接的な被害は何も」


「そうですか。なら、良かったです」


「それにしても考え方って変わるものなんですね。その国に根ざしている文化や価値観はなかなか変えられないものだと思っていたのですが」


「私もそう思っていました。でも、竜闘祭でのクリス君のあの発言を聞いたら……………今まで自分達はどれだけつまらないことにこだわっていたのだろうって門番の私ですら、そう思いましたから。おそらく、それは国王様も同じこと。すぐに次の日から人族至上主義なんていう馬鹿げた考えはなくなりました」


「へ〜」


「それに…………」


「それに?」


「これだけの列を作って入国を待っている人がいるんです。それを種族の違いで弾いてしまうなんて、できませんよ」


「……………ふふっ、そうですね」













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