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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第10章 セントラル魔法学院

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第185話 竜闘祭





竜闘祭。それは近隣の5ヶ国がそれぞれを代表する学院の生徒達を競わせる一大イベントである。場所はカンパル王国から、さらに北上した先にある交易都市"トレード"。そこはちょうど5ヶ国の中心に位置しており、この催し物は実に50年以上の歴史がある。大昔、"トレード"ができる前の土地ではとても人が暮らせる環境ではなく、代わりに他の種が棲みついていた。それは魔物の頂点に君臨すると言われている竜だ。竜はその気質から竜同士の喧嘩や争いが絶えず、結果、その数を大幅に減らしてしまった。これに対し、種の絶滅の危機を憂いた当時の竜のリーダーは代表の2頭を決めて勝負させ、勝った方の言い分を聞くということを思いつき、それを実行に移した。それから、何か決め事ができた時はその方法で解決するようになり、以降竜が極端に数を減らすことはなくなり、そればかりかお互いの仲も良くなっていったという。それを今度は人が住める環境になった"トレード"で暮らし始めた人々が取り入れて、物事を解決していったのがどんどん派手になっていき、最終的に竜闘祭という名の一大イベントができたのが50年以上前なのだ…………しかし、竜の考えや言葉を理解し、どのようなコミュニケーションを取っていたのかを解析するのは容易ではない。では一体何故、このようなことが大昔にあったと言われているのか。それはひとえに吟遊詩人によるものだった。彼らは各地を訪れ、とある話をしていった。1人の少年と沢山の竜の悲しくも愛に溢れる物語を………………





――――――――――――――――――






「着いたな」


交易都市"トレード"はそこまで大きいという訳ではなかった。だいたいフリーダムの半分といったところであり、特産物や信仰宗教といった大きな特色がある訳でもない。だが、活気は凄かった。ちょうど竜闘祭の時期だからということもあるのだろうが多種多様な店が軒を連ねて、観光客や俺達のような事情の者相手に商売をしてくる。また交易都市というだけあって、様々な事情を抱えて色々な国や都市から商売をしにきた者達が多く、一部では実りのある関係を結ぼうと画策する者も少なくない。そして、竜闘祭に参加する5ヶ国それぞれに生活の基盤がある商売人もこの期に便乗して、やってきていた。彼らのほとんどは自国が竜闘祭に参加するということをしきりにアピールし、その国の特産物を自国で売っている時よりも価格を吊り上げて売り捌いていた。そこかしこから、威勢の良い売り文句が聞こえてくる。


「シンヤ先生、会場は?」


セーラの問いに少しだけ可笑しくなる。彼女達には最初から、彼らのことなど眼中にないのだ。あるのはただ1つ。竜闘祭に出て、優勝する。これだけである。


「こっちだ。じゃあ、行くぞ。向こうに着いたら、少しだけ手続きがあるからな」


そう言って、40人以上の集団は俺の先導の下、進んでいく。途中、こっちを指差して驚いたり、立ち止まって呆けたり、中には意味深な目線を送ってくる者もいたがその全てを無視して、歩いていった。会場に着くまでそんなことが一体、何度あったのか………………しかし、生徒達にはとてもいい訓練になったことだろう。なんせ本番が始まってしまえば、それどころではない数の観客に見守られながら戦うことになるのだから。








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