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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第10章 セントラル魔法学院

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第169話 セントラル魔法学院







私の名前はセーラ。カンパル王国のセントラル魔法学院に通う生徒です。セントラル魔法学院とは将来の仕事また有事の際の防衛策として、魔法の基礎と実践を学ぶことができる場所です。生徒の自主性を重んじ、手厚いサポートもしてくれるのが特徴で魔法だけではなく、武器を使った実戦形式の模擬戦も授業の1つとして取り入れています。平民・貴族関係なく、通うことができますが、だからといって階級を越えた交流があるかと言われれば、そうではなく貴族の平民に対する蔑視の態度や肉体的・精神的なプレッシャーが消えることはありません。ちなみに私は平民ですが、貴族のそういった圧力に屈さぬよう日々、勉学に励み、遂にはクラス内で座学・実戦の成績がトップになりました。なので周りの貴族もケチをつけることができず、私を見ると忌々しそうに舌打ちをして、通り過ぎるだけになりました。その時は少しスカッとした気持ちを抱きましたが油断は禁物です。一体いつ成績が下がるか分かりません。もし、そうなってしまえば貴族のいいカモとなってしまいます。もう、あの頃のような想いはしたくありません。とはいっても私が標的にされないからといって、他の人が無事だとは限りません。必死に努力していても成績が思うように伸びず、貴族のおもちゃにされている生徒は今までに何人も見てきました。実際、私のクラスにもそういった人がいます。その度に悲しくなり、他の人まで助ける余裕のない自分を悔しく思いました。なんて、自分は無力なのだろうと。しかし、同情する暇があるのなら、もっと頑張って不遇な立場に置かれている人を守りたいとそこからさらに勉学へ熱が入りました。そうして現在の成績へと至ったのです。学年も1つ上がって2年生となり、後輩も入ってきました。ですが、その数は私達が入学した時と比べ、少し減っています。噂では近隣国の学院へ通う人が多くなり、年々入学者の数が減少しているとか……………たとえ、どれだけ成績優良者がいようともそもそもの生徒数が少なければ、近隣国よりも学院成績が低くなってしまうのは必至。その為、セントラル魔法学院全体の評価は現在もなお下がり続けているそうです。これもまた私がより頑張るようになった要因の1つです。努力して、学院の誇りとなり私が生徒達を引っ張っていこうとモチベーションを高くして気を引き締めていた……………まさにそんな時でした。"邪神災害"と呼ばれる大事件が起きたのは。世界を滅ぼさんとする邪神、またその復活を目論んだアスターロ教と呼ばれる組織。これらのせいで世界各地では多大な被害が出ました。とはいっても邪神は復活した瞬間に英雄シンヤ・モリタニとその側近によって討伐され、アスターロ教の者達も英雄のクランメンバーが殲滅していったので、彼らがいなかったそれ以外の地域での話ですが……………兎にも角にもその恐怖のせいで学院全体の士気も下がり、勉学にやる気が入らない生徒が続出しました。挙句の果てには退学者まで出てきてしまい、皆戦うことを怖れるようになってしまったのです。そして、その余波は私が所属するクラスにまで来ました。このままではまずいと私は焦りましたし、とんだ間の悪さに嘆きました。これから生徒達を引っ張っていこうという時になんてこと…………しかし、こういう時こそ気合を入れ直して、私が……………


「え〜突然ではありますが、明日からこのクラスに特別講師の方がいらっしゃいます」


ん?


「先生!それは一体、どういうことなんでしょうか?」


あまりにも突然すぎる連絡事項に頭が混乱する中、他の生徒が質問をします。


「え〜正直、私はもう今日で先生を辞めるんですわ。例の件で心が折れてしまってね、ははっ。ここを離れて遠くの国で農業をやりながら、のんびり幸せに過ごしたい。これ、本音ね」


な、な、なんということを!?それでも一教師ですか!生徒達に教える喜びを感じたくてその職に就いたのではないのですか!そこに一切の誇りはないのですか!


「あ、あとその講師はとんでもない方達だから。失礼のないようにね〜じゃあ、さよなら〜」


教師は軽いノリで最後の挨拶を行い、教室を出ていきました。後に残されたのは私を含め唖然とするクラスの人達。まさか、ここまでとは。災害によってそれほど心が打ち砕かれているなんて思ってもみませんでした。あの教師は元々、真面目な人であんな言葉遣いではありませんでしたし、1つ前の授業までは今まで通りしっかりと教えて下さっていました。それがこんなことになるなんて……………


「これは早急に手を打つ必要がありますね」



私は誰にともなく呟きました。明日、来るのがどんな方達かは分かりませんが、生徒達を引っ張っていくのは私の役目です。それを邪魔させる訳にはいきません……………絶対に。










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