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〈完結済み〉俺は善人にはなれない   作者: 気衒い
第9章 フォレスト国

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第122話 ジュエリーショップ





服屋"C-L"の隣には数多くの煌びやかな宝石を取り扱うジュエリーショップがあった。その名も宝石店"レオーナ"。レオナが店長を務め、紫組の組員達が店員を務めるこの店では冒険者活動の際に見つけた珍しい鉱石を加工して作った宝石の数々が売られており、ネックレスや指輪、バングルなどその種類も豊富で稀少性から価格もそれなりにする。これは高価格自体が付加価値となっており、価値の高い宝石を安く売ってしまってはその宝石自体が軽く見られ価値が下がってしまうからだ。とは言っても全てが珍しい宝石ばかりという訳ではない。比較的入手しやすい鉱石を加工して作られたものは安く売られており、ちょっとだけオシャレをしたいという女性が気軽に買えるようなものもちゃんと置いてある。ちなみにこの宝石店は組長であるバイラが提案し、レオナがそれに乗っかり、組員達が渋々頷いてやることになったのである。バイラは美しく綺麗なものが好きで服飾関係かジュエリー関係の店をやってみたいと思っていたのだが、スィーエルのところが服屋をやるということを聞き、宝石店をやることにしたのだ。元々、こういうことに興味があり、ファッションや小物などについても詳しい。したがって、普通の服でのコーディネートはもちろん、ドレスコーデなどもお手の物である。一方、レオナはそういったことに関心自体を向けたことがなかったがバイラからレクチャーを受けるとどんどん知識を深め、今では立派に店長として立ち振る舞えるほど成長している。そして、副長メアリーを含む残りの組員達だが、以前の海賊時代は戦いやその日の暮らしを考えることで精一杯で着飾ることなど考えたこともなかった。それを知ったバイラは自分を奮い立たせると同時に物凄いやる気に満ち溢れ、自分の持てる知識や経験を最大限、組員達に教授しようと頑張った。その結果、スポンジのようにどんどんとそれを吸収した彼女達は生まれ変わり、今では普段の姿勢や歩き方からして、上品になり、"レオーナ"の店員として立っていても全然恥ずかしくないほどにまでなっている。外観・内装・店員、その全てから高級感が溢れており、今のところ、苦情などは一切入っていない為、成功していると言えるだろう。この店は特に人数制限を設けておらず、競合他店もない為、引換券なども存在しない。1日の来店数が他の事業と比べるとそこまで多くはないがたまに価格の高い宝石を買う客がいてくれるおかげで今のところの予測でいくと今後も黒字が続いていくと思われる。また自分の為ではなく、誰かに渡すプレゼント用に買っていく客も地味にいて、その売り上げも馬鹿にはできない。現に俺も視察ついでにいくつか買おうと選んでいたほどだ。


「どれがいいかな……………」


「盟主様、何を選んでるの〜?」


「ああ、ネックレスと指輪なんだがちょっと迷っていてな」


「ふ〜ん。良ければ、ボクが選んであげるの」


「いや、大丈夫だ……………っと、これにするか」


「どれなの〜?……………え、これって」


「特に深い意味はないぞ」


「まだ何も言ってないの」


「顔が全て物語ってた」


「顔に出ちゃったの」


「とりあえず、会計をしたいんだが」


「分かったの」


その後、店員達とも軽く話をしてから店を出た。中でもやはりというべきか、バイラが最も張り切っていて、俺の目にはその姿がとても好ましく映った。






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