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最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
事件、もしくは秘密
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私が協力する話 パート⑤

ちょっと早く投稿できました!!

ストックを作れるように頑張ります…!

 

 

 

 

これがザウロスかぁ…

ザウロスは私と同じくらいの年に見える青年の姿をしていた。

黒い髪と金の瞳で、彼から感じられる魔力は確かにアトゥーロ様に次ぐ。


「すみません、ザウロスさん、何仰ってるか分からないので黙るかちゃんと話すかどちらかにして貰えます?」

「話せないだろう…」

「あぁ、そうでしたね。じゃあ黙ってて下さい」


私はハンマーをザウロスの目の前に突き立てた。

ザウロスはビクリと身体を強ばらせたが、諦めずに私を睨んできた。

仕方ないので私も無表情になって威圧する。

あ、でも聞きたいことがあるんだった。


「…ねぇ、ザウロスさん。質問に素直に答えてくれたら無傷で帰してあげます。だから、煩く鳴かないでくださいね」


指を鳴らすことで猿轡は簡単に外れた。

途端、ザウロスが喚こうとしたので私はハンマーを振りかぶってザウロスをぶっ飛ばした。

それを見た周りが一気に緊張したのがわかったが私は止まらずに吹っ飛んだザウロスへ向かって歩く。


「私の質問だけに答えて下さい。それ以外の発言は許しません」

「ぐっ…ふざ、けるな…っ」

「今結構怒ってるんですよ。リタに手出してくれるしナーダさん傷付けてくれるしお腹痛かったしリタ泣かせるしリタに魔力使わせるしリタ泣かせるし」

「キリヤ殿、儂らが泣きそうなんだが」

「アトゥーロ様うるさいです。さて、ザウロスさん。キメラをどうやって手に入れたんですか?」

「余が、教えると、でも?」

「へぇ?別にいいんですよ。私特製の自白剤を飲ませてあげるだけですから」


異空間から小瓶を取り出して、彼の目の前で振った。

この自白剤はちゃんと記憶が残るタイプである。

ふはは、薬が抜けたら泣いて引きこもるような質問してやろう。


「…其の方、何者だ?」

「私は私ですよ。それ以外にどう答えろと?」

「ふん…キメラを手に入れたのは余ではない。余の部下が連れてきた。生憎、その部下は死んでいるようだがな」


ザウロスが視線をやった先には死体が転がっていた。

この城で唯一の死体だ。


「…やっぱりそうでしたか。キメラについてはどんな説明をされてましたか?」

「新たな研究の成果と。一人の魔族に魔力を与えることでより強い個体を作るのだと聞いている。まぁ、余は端から信じてなどいなかったがな」

「キメラはいつ持ち込まれましたか?」

「昨日だ」

「…この城を襲撃した理由を」

「決まっておる…ユリアーデを取り返すためだ!」


…ん?

ユリアーデ?

私は振り返ってアトゥーロ様を見た。

彼はユリアーデを抱えたまま、ユリアーデの頬にキスしてみせる。

ザウロスから魔法が放たれたが私の魔法で打ち消しておいた。


「放せアトゥーロ!ユリアーデは余の…」

「儂のものだ。お前のような若僧にくれてなどやらん」


睨み合う二人の間から退き、ナーダたちに話し掛ける。


「ザウロスさんってユリアーデさんのこと好きなんですね」

「…そうみたいね」

「そうらしいですね…」

「そうらしいな」


ナーダたちもはじめて知ったらしく、驚いた様子で睨み合う二人を見ている。


「僕としてはアトゥーロ様の方が驚きでしたが」

「あたしもよ。魔王様はユリアーデのこと好きだったのね…」


ナーダとザクロはそれぞれ驚いた様子でアトゥーロ様を見ていたが、ギルは一人首を傾げている。


「そうか?魔王はユリアーデ以外視界に入らないってくらいだったと思うんだが…」

「うそ!?ギル気付いてたの!?」

「ギルが!?どうしたんですか?何か変なものでも食べたのですか?」

「…お前等な…」


私も驚いた。なんたって、アトゥーロ様に掛けた呪いの時、私の魔力だと気づかなかった唯一の男なのだから。

ユリアーデとアトゥーロ様は私が強者であることを直ぐに気づき、ナーダやザクロも私に何か訳があるんだろう、くらいには思っている。城のみなさんも何かしら感づいているようで、ギルは鈍感なんだな、くらいには思っていた。


「…キリヤまで何なんだその表情は…」

「…いえ、鈍感だと思っていたものですから」

「…」


ギルはぐっと言葉に詰まり、うなだれた。

何だ、気にしてるんだ?

ということは誰かに指摘されたことがあるのだろうか。


「さてと…まぁ聞きたいことは聞き終わったので、ザウロスさんの処分は好きにしてください。その後ろで縛られてる芋虫たちも」

「ええ。いい加減彼らをどうにかしなければいけませんでしたから。協力感謝します。後日アルテルリアには魔族の国は全面的にキメラ事件について協力する旨を伝えます」


あ、その件忘れられてなかったんだ。

…私は忘れてたけどね!


「よろしくお願いします」

「キリヤには別件でお礼をしたいのですが…何か欲しいものなどはありますか?」

「うーん…リタがナーダさんと仮契約したので、リタの待遇を良いものにしてくれさえすればなんでもいいです」

「分かりました。今までと変わらずに」


待遇を良いもの、と言ったが今までと同じでいいや、と思っていたのをザクロは気づいてくれていたようだ。

私はリタに目を向けた。

ナーダとなにやら話していて、楽しそうである。

うん。リタならナーダたちといい関係を作っていけるだろう。

これで魔族と人間の交流も増えていくといいな。


「すみませんアトゥーロ様、睨み合いもいいですが、ユリアーデさんをちゃんと寝台に連れて行ったほうがいいと思います」

「そうだな…ザクロ、こいつらを頼んだ」

「…仕方ありませんね。ユリアーデに不埒な真似はせずにさっさと帰ってきてください」

「…………わかった」


返事に結構な間があったので、私たちはアトゥーロ様に白い目を向けた。

アトゥーロ様は気にせずにユリアーデを連れて広間を出て行った。


「…さて。すみませんキリヤ。まだ協力をしていただきたいのですが」

「構いませんよ。とりあえず…」


実はずっと喚いていたザウロスにハンマーで一撃を食らわせて黙らせた。

あ、顔面ではなく腹部への攻撃だよ。


「…」

「…」

「…」

「静かになって良かったです。とりあえずこいつらを牢屋に運べばいいですか?」

「…キリヤにはあそこに避難させているこの城の者達とあの中央にいる獣人とエルフをお願いします」


ところであの獣人とエルフはどうしてここに?と聞かれたのでキメラの材料の一つだったみたいで分解してもとに戻したみたいですよ、と言っておいた。

ザクロやナーダには私がやったと思われているらしく、変な目で見られた。

全く以て心外である。

私はドーラさんたちやエルフを浮かせ、獣人だけは抱えて広間を出て行った。





とりあえず、ドーラさんたち使用人はそれぞれの部屋で寝かせ、獣人とエルフは客間らしい一部屋に寝かせた。

エルフは可愛らしい女の子で、多分今50歳くらいだと思う。

人間でいうなら14歳くらいかな?

獣人のほうは多分、狼の獣人らしく、可愛らしい耳とふさふさな尻尾をもっている。

獣人は魔法や魔術が使えない。

そして、それら魔力に関する力の作用を受けにくい。

なので私は彼を抱えて来たのである。

当分目を覚まさなそうなので、私は広間に戻ることにした。

途中、4、5人抱えたザクロに会い、ザウロスはどうなったのか聞いた。

ザウロスは魔力封じを施され、早々に牢屋に連れて行かれたらしい。

人手が足りなさそうなので、私が襲われた方を手伝いに行くことにした。

こちらにはまだ誰も来ていなかった。

確かにアトゥーロ様とユリアーデが無双していたので、ほとんどの奴らは気絶していて、一部痛みで呻いている。

その呻いている奴らを先に魔力封じを施した。


「ぐ、ぅぇ、…」


未だに呻くゾーラを発見した。

今のゾーラに魔力封じを施すと死ぬので彼は最後でいいだろう。

私に気づく様子もなく、部屋の隅でどうにか私の魔力を己の魔力に変換しようとがんばっている。

気絶しているやつらにも魔力封じを施して全部浮かせた。

…ゾーラどうしよう…

面倒になってきて、気絶させてゾーラも浮かぶ一員にさせて、牢屋へ向かった。

牢屋にはギルがいて、私が浮かせて連れてきた連中を見て微妙な顔をされた。


「ギルさん。今のゾーラに魔力封じすると死ぬので牢屋に魔力封じの魔法を組み込んでもらえませんか?」

「…何したんだ?」

「いえ特には…魔力叩き込んだだけです」

「…キリヤは一体何者だ?賢者の知り合いと聞いたがキリヤこそが賢者なんじゃないのか?」




 

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