表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
事件、もしくは秘密
87/134

私が協力する話 パート②

明けましておめでとうございます!

キリヤたちは相も変わらず元気そうですね!

今年もよろしくお願い致します。



 

 

 

 

 

私はユリアーデに守られて、城の一角にいた。

部屋にはアトゥーロ様もいて、扉付近には一応バリケードが作られている。

リタはナーダとギル、ザクロに守られているはずだ。

また、ナクタさんやドーラさん、ルルやララなど、この城の戦力の殆どはリタを守ることに従事しているはずである。


時間は、昨日に遡る。





「協力しましょうか?」


私がそう言うと、アトゥーロ様はパアッと顔を輝かせた。

ユリアーデも目を輝かせ、嬉しそうにしている。

一人、ギルだけが不服そうな顔をした。


「協力するって言ったって何ができるんだ」

「…囮?」

「そうだな。キリヤ殿なら囮役は最適だろう」

「待て、危険すぎるだろう!」

「大丈夫。私と、アトゥーロ、で、キリヤ、守る、よ」


ユリアーデの発言に、ギルは考え込んだ。

暫く考え、ため息を吐く。


「…わかった。リタはナーダと俺とザクロで守ろう。魔王とユリアーデの二人なら何とかなるだろ」


そう言って、ギルは渋々とだが了承してくれた。

それから私たちは作戦を考え…




今に至るわけである。

作戦は至極簡単。

二手に分かれてぶっ潰せ、である。

主に狙われるのはアトゥーロ様らしいので、こちらは手薄だ。

アトゥーロ様の次に狙われるのは私とリタなので、リタの方は警備が厳重なのである。

昨日の話し合いが終わり、寝ていたら襲撃され、作戦通りに別れ、今は籠城戦だ。

流石に魔族を一気に相手するのはユリアーデもアトゥーロ様も大変らしく、窓から入ろうとする奴らを取りあえず殲滅している。

あー、痛そう。

あれきっと全治半年くらいだよ。

敵は半分はこちらに来た。

主にアトゥーロ様の首を狙い、たまに私を殺そうとするやつらがいるが、悉くユリアーデに半殺しにされている。

私はボーッと突っ立っているだけだ。

敵はあまり頭が良いわけではないらしい。

面倒臭い。


「ユリアーデさん、リタたちの方は大丈夫ですかねー」

「大丈夫、だよ。あの、三人、上位、8人に、入る、し」

「8人?えーっと、ナーダさんは5人に入るって言ってましたけど」

「うん、多分、一番強いの、アトゥーロ、で、次に、他種族、排他思考の、リーダーが、強い。ギルと、ナーダと、ゾーラが、次、かな?で、ザクロが次に、くる、よ」

「へぇ…ユリアーデさんは?」

「さぁ、ね。みんな、私と、戦って、くれなくて、よく、わから、ない」


…そんなに戦うの嫌がられるって、相当ですよ、ユリアーデさん…

ユリアーデの話では、8人の残り二人は他種族排他思考の魔族集団の中にいるらしい。

それは中々面倒だなぁ…


「キリヤ、そろそろ」

「そうですね…私も動きますか…」


ちょうど、扉付近のバリケードがぶち壊された。

…なんてこった。ぶち壊された椅子が飛んできたぞ。


「アトゥーロ!!」


ユリアーデが叫ぶのと同時に、アトゥーロ様に向かって魔法が飛んできた。

炎属性の魔法は真っ直ぐにアトゥーロ様に向かい、そしてアトゥーロ様があっさりと消した。

今の結構強い魔法だったんだろうに…


「くく…まぁ、魔王様には俺如きじゃ通用しねぇよなぁ」


その声は私の背後から聞こえた。


「ぐっ…」

「キリヤ!」

「キリヤ殿!」


声の主…ゾーラは迷いもなく私の腹に腕を貫通させた。

下を見ればゾーラの褐色の腕が私の腹から見えた。

…痛ってぇな…


「こんな魔力の欠片もねぇ人間なんざ食いたくねぇんだがよぉ。ザウロス様が消せって言うもんだからなぁ」


ゾーラは貫通させた腕を引き抜き、途中で私の肝臓を抜き取って行った。

ゾーラはそのまま肝臓を口に運んだ。

…ぎゃー、猟奇的!

そして咀嚼し、飲み込む。


「…どう、して…」

「あぁ?」

「私の、肝、臓を…」

「どうしてだと?んなの適当に抜いたのが肝臓だっただけ、…あ?」

「いやね、肝臓って苦くない?不味いと思うんだけど。まぁ、人間の肝臓なんて食べたことないけど…え、美味しかった?」

「な、なん…」


私は腹を押さえて普通に立っていた。

まぁ、痛覚は遮断してるし、直ぐに再生させてるし、問題は特にない。

ゾーラは平然と立つ私を見て茫然としていた。

信じられないのだろう。

ユリアーデやアトゥーロ様も信じられないような物を見る顔でこちらを見ていた。


「あぁ…そうだ、その肝臓だけど…多すぎる魔力が含まれてるんだけど…大丈夫だった?」

「ぐっ、ぇ、」


ゾーラは突然に喉と腹を押さえて倒れ、呻き始めた。


「やっぱり。食中毒だね、きっと。迂闊に人間なんて食べるもんじゃないよ。もし、相手が自分より強い場合、どうするの?」


私の準備といえば、攻撃されて、何処か食べられるシチュエーションになった場合、どうするかということだった。

え?そんなシチュエーションはない?

…いやでも…結果的にはそうなっちゃったじゃん!

最初は油断させたいから、無双するのはちょっとなぁ、と思いこうして攻撃を受ける結果になったわけである。

抜き取られる瞬間に、私の魔力をこれでもかと詰め込み、ゾーラの体内では私の魔力が暴れ回ってるに違いない。

他人に魔力を分け与える場合と魔力を叩き込む場合とでは、魔力の質が異なり、分け与えた場合は直ぐに馴染むが、叩き込むと死ぬほどの痛みを味わうことになる。

ゾーラが死ぬ寸前レベルの魔力を入れておいたので、死ぬほど苦しいが死にはしないだろう。

アトゥーロ様とユリアーデを見ると、それぞれ顔を青くしていた。

…味方にそんなことしないって。


「キリヤ殿、あの呪いは本当に温泉に入れないだけなのか?温泉に触ったら爆発するとかそういう呪いでは…」

「違います。至って普通の呪いです」

「キリヤ、お腹、もう、痛く、ない、の?という、か、怖い…」

「痛覚切ってましたから。怖いって…まぁ猟奇的ではありますけど…」

「うん、だから、他の、魔族、逃げて、行った、けどね」


そう言えばと思って周りを見渡して見れば、誰も居なかった。

…あらまぁ


「…この様子だとナーダたちの方にザウロスが行ってるな。儂らも向かおう」

「うん、賛成」

「そうですね…ちょっと、急ぎましょうか」


少し嫌な予感がしている。

その為にも、リタの元に早く向かわないと…





 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ